迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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196. 弟ができた

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 なんだか、騒がしい声で目が覚めた。

 んっ?

「パール様、お目覚めですか? シーナさんが元気な男の赤ちゃんをお産みになりましたよ」

 侍女長がサラッと話しだす。

 えーっ?! 
 いっぺんに目が覚めたっ!!

「うわーっ!?  産まれたの?  男の子だ!! 見たい!! 行かなきゃ!!」

「パール様、先にお着替えですよ。お会いになるのはそれからです」

 くっ……

 慌てて着替えて、シーナのところへ向かう。

「シーナっ!!」

 あーーっ!!

 マークがシーナの寝ているベッドの横に座って、赤ちゃんを抱いてるーーっ!?

「パール、お待たせ。産まれたわよ」

 横になっているシーナが教えてくれた。

「パール、お姉さんね。弟ができたわよ……フフッ。抱いてやって」

 マークが赤ちゃんを抱いて、わたしのところまできてくれた。

「パール、弟だぞ。抱けるか?」

「うんっ!!」

 シルエラがサッとシーナのベッドの横に、椅子を持ってきてくれる。
 そこへ座わると、マークがわたしに赤ちゃんを渡してくれた。

「ほら、お姉ちゃんだぞ……」

 あっ!? 軽い!!

「シーナ、軽いよ! 小さいし、壊れちゃいそうだよ?!」

「ウフフ、大丈夫。小さいけど、とっても元気なの。さっきまですごく大きな声で泣いていたのよ」

「そうなんだ……かわいいね……弟……」

 マークとシーナの赤ちゃん……
 わたしの弟……ちょっと、照れくさいな。

 少し抱いて見つめてから、マークにおめでとうと言って赤ちゃんをかえす。
 シーナにも抱きついておめでとうと言ったあと、布団の上からシーナのお腹をそっと触ってみる……
 へこんでる!?

「お腹……ペッチャンコだね……不思議?」

「フッ、そうね……不思議ね」

 みんなが順番に赤ちゃんを抱いて、最後にはトムさんが大泣きしていた。

「シーナ! よかったなぁ! ホントによかった! シーナが無事で、赤ちゃんも元気だ! みんな、みんなありがとう! ナンシー……わしたちの……かわいいシーナが、無事に子どもを産めたよ……う、う、う、ぅーーっ、あり が とうな……」

「料理長! よかったですねっ!」

「ああ、ああ……ありがとう、トーマス!!」

「お父さんはっ……もーーっ……」

 ナンシーさんってたしか、マークの前の奥さんたちと同じ流行病で亡くなった、シーナのお母さんだよね。
 トムさんホントはすごく、心配していたんだ……
 口には出さなかったけど、いろいろ思っていたんだな……

 まわりにいる人たちがずっとニコニコしていて、幸せな時間がそっと過ぎていく……


 そこへ、手がパン、パン! と二度叩かれて……

「さぁ、皆さん! シーナお母さんを少し休ませてあげましょう! まずは、お父さんとお母さんで少しお話ししてください」

 侍女長がシーナとマークと赤ちゃんだけを残して部屋を出て行くよう誘導する。

「おお、そうだな! ゆっくり話して、ゆっくり休めよ!」

 トムさんがうれしそうに告げると、赤ちゃんのほっぺにチョンと触れ、シーナを軽く抱きしめマークの肩をポンと叩いて出ていった。
 他のみんなもサッと部屋から出され、わたしは今からどうすればいいのかな?

 そんなことを考えていると、侍女長が告げる。

「パール様は昨日お休みになられましたが、マークさんたちは起きておられました。今からお休みになられるでしょから、パール様はライ様のお屋敷へ行かれてご報告をお願いいたします」

「そうだよね! みんな眠たいだろうから、わたしがライに報告しに行くよ」

 侍女長たちも少し片付けたら、二人の侍女を残して引き上げるみたい。
 なんでも、わたしがライのところに行くと、二人の侍女がこっちへ向かう手筈になっていて交代するそうだ。

 考えられている……
 ソードかな?

 今からみんなを、ゆっくり寝かせてあげないとね。

 ハッ!?

 じゃあ、次に赤ちゃんと会えるのは、明日?
 ちょっと、さみしいなぁ……

「パール様。赤ちゃんも頑張って産まれて来られたので、お疲れのはずですよ。少しお母さんと一緒に、お休みさせてあげましょうね」

「そうか! そうだよね。頑張って産まれてきてくれたんだし、赤ちゃんも少し休まないとね」

 わたしがひとり先にボードで、ライの屋敷へ向かう。


 朝日が、キレイ……


  ♢♢♢


 ライたちは、もう起きていた。

 食堂でくつろいでいる三人に、シーナが無事男の子を出産したと伝えると。

「そうか、男の子っ! よかったな、パール。おめでとう!」

「男の子かっ!! マークがよろこんでるだろう! ハッハッ! おめでとう!」

「おめでとうございますパール。これで宿屋も安泰ですね」

「ライ、ガント、ソードありがとう! すごく小さくておどろいたよ」

「ア、ハ、ハッ! 小さなパールがおどろいたんだ、よっぽど小さいんだろうな!」

「そうだよ! ガント! それにすごく軽いんだよ」

「産まれたところですからね。パールは昨日は眠れたのですか?」

「みんなは起きてたみんたいだけど、侍女長がわたしはいつものように寝たら良いって、ベッドに連れて行ってくれたんだ……」

「さすが、侍女長ですね」

 ソードにゆっくりお風呂に入って休憩するよう告げられる。

 そのあとはシーナの赤ちゃんのために、今日は赤ちゃんのお世話が専門の講師に直接教えてもらって、一日ゆっくり部屋で過ごし明日シーナのところへ行くよう勧められた。

「すぐにでも赤ちゃんに会いたいけど、そうするよ……侍女長にも頑張って産まれてきた赤ちゃんは、疲れているだろうから、ゆっくりお母さんと一緒に休ませてあげてくださいって言われているんだ……」

「「「さすが、侍女長っ!!!」」」

 プラムとシルエラが戻ってきた。
 わたしのお風呂の準備をしてくれている。
 しんどくないのかな……

「大丈夫ですよ。今から順番に休ませてもらいますから。いまは侍女長がソード様に言われて一番に休んでおられます」

「そうなんだ……」

「これから赤ちゃんの扱い方を教えてくださるお方は、ベテランの乳母様ですから、安心してくださいね」

「うん、ありがとう!」


 お風呂に入って、ストレッチのマッサージをたっぷり受ける。
 気持ちいいーっ!

 ハーブティーを入れてもらい休憩する。

 プラムとシルエラはここまでだ。
 

 乳母様は赤ちゃんの扱いがベテランの年配の女性だった。

 赤ちゃん人形を抱いて現れたので、ちょっとおどろいてしまう。

 本格的だな……

 まずはその人形をホントの赤ちゃんだと思って、やさしく抱くように告げられる。

 うわっ?! すごい!

 重さが赤ちゃんぐらいに調節してある人形だった……

 そこからは赤ちゃんの抱き方から、してはいけないことなんかを中心に教わる。


「もうわたしは、乳母になれるよっ!」

 昼食のとき、そうライたちに真剣に話すと、 三人がすごく笑っていた。

 なぜだ?

 お昼からも今日はいっぱい教わって、思っていた以上に有意義な一日だったな……

 そしてひとつ、思いついたことがある。

 また親方に相談しよう。

 ふ、ふ、ふ、ふ……

 なんだか、とっても楽しい。

 しばらくは、赤ちゃん中心の生活になりそうだよ!









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