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198. 三件の共同制作
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やっぱり、おどろいている。
自分だけタダ働きする気だったんだ……
もーーっ!
おどろいた親方が聞いてきた。
「パール? 三件って、おれのところも入っているのか?」
「そうだよ! 仕事を持っていって、いろいろわたしの要望を話さないといけないでしょ? それって一番肝心じゃない! わたしのこともいっぱいわかっているし。親方がキチンとお金を受け取ってくれないと、また気軽にいろいろ頼めないからね。これはぜったい三件だよ!」
砂金を三本と金貨を三十枚それから白金貨一枚を出して、これぐらいで前金は足りるか聞いてみた。
「おまえ、白金貨……ああ、十分だ! みんなよろこぶよ」
「よかった。経費がどれくらいいるのかわからないから、出来上がってからでも途中でもいまでも教えてくれたらいくらでも払うから言ってね! お金は、持っているから、心配しないで!」
「ハァーッ!! パール、おまえ早く護衛をつけろ! 危なっかしくって、こっちがハラハラする」
「そうですよ、パールさん! いくらなんでも、何も言われていないのに白金貨をポンッと出すなんて……世間知らずもいいところです!」
「そうなの?」
「この金額を前金だと言ってポンッと渡すことができるのは、貴族でも大貴族か王族ぐらいだな。まあでも、これだけもらえるならホントに良いモノが作れるから、作り手としても楽しいがな!」
「ホント!? よかった! わたしはお金に困ってないから、みんなが気分良く作ってくれるようにしたいんだよ。新しいモノだしね!」
「ああ、わかっている。金が足りなくなったらまた頼む」
「うん。一応は、白金貨が経費? で、残りが三件の支度金? のつもりだから少なかったら教えてね!」
「支度金……これで十分だ。それじゃあ、もう少し詳しく教えてくれるか?」
「うん、わかった」
親方ならまあ良いかと、ソードからもらった紙を数枚とインクをつけなくてもいいペンを出してチェリーに『前世の記憶』から出してもらった『プール』をイメージして、だいたいの絵を描いていく。
親方はジッとペンを見たあと、ハァーっとため息をひとつついて、それからは何事もなったように話しだす。
自分も紙にメモしたり書いたり、三人で意見を出し合い案外本格的なプールが出来上がった。
「親方、これはもしかしたら……他の貴族もほしがるすごいモノが出来上がるんじゃないでしょうか……」
「ああ、ここまで凝ったモノじゃなくてもいいからな……売れるだろうな……」
「親方! かわいいテオが間違って溺れないように、一段高いところには柵も作ってね。あとそこでテオと遊んだり寝れる椅子を作ってリンゴ果汁なんかを飲んだりするから、小さなテーブルなんかも横に置ける少し広めのスペースにしてね。あっ! そこの場所には日除けもいるかな? テオが日焼けしたらいけないからね」
「わかった……パール。その一段高いところから、おまえもしかして飛び込む気なのか?」
「アハハ、それができたら最高だけど、それならもう少し深くする? でもわたしの顔は外に出してね。それからテオが遊ぶところの水位はテオに危険のない十センチから二十センチぐらいまで? そこでテオは、ペチャペチャ遊ぶの! テオが遊ぶ一段高いところでは、シーナたちがテオを見ているだろうから、おとなが十人乗っても底が抜けないように丈夫に作ってね」
「ああ、その下の空洞の部分を利用して段階的に水が抜けていくよう工夫するから頑丈に作ってやる。安心していいぞ」
「ありがとう! まあ無理なら、魔法でわたしが水を抜くこともできるし」
「パール、それはできるだけひとりのときにしろ。テオやシーナの前ではちゃんと普通に水を抜いた方がいいぞ。テオたちは普通の人族なんだろ?」
「そうですよ! それになんですか? このペンは? 便利すぎるでしょ! 平気で人になんでも見せてはいけませんよ。ホントにボクでも心配になるぐらい、パールさんは危なっかしいですね」
「そうだろ!?」
親方もうなずいていた。
「まだ、十歳だからだよ! もう少ししたら、きっとしっかりするはずだし……」
プール!
なんだか思っていたよりも、すごいモノができそうだ。
「じゃあ、親方。水の魔石がいるんじゃないの?」
そう言ってから、ひとつほどほどの大きさのモノをだしてみる。
なっ!!
「パール!! これは、大きすぎる! その半分ぐらいの大きさの魔石でいいぞ!」
「えっ! そうなの? そんなのでお水出せるの?」
「パールさん、その大きさの魔石は王室用ですよ! それで庶民の子どものためのプールを作ったら、ひんしゅくを買ってしまいます!」
言われた通り、半分よりちょっと大きいぐらいの魔石を出して渡しておく。
親方がこれでだいぶ材料費が浮いたと言ってくれた。
魔石代が高くつくらしい。
よかった。
思う存分、ステキなプールを作ってね!
「これだけ良いモノなら、テオだけじゃなくわたしがおとなになっても、そのまま使うよ!」
「そうしてくれ!」
「パールさん、これを庭にずっと出しておくんですか?」
「違うよ、魔法袋にしまっておくんだよ」
「魔法袋か……」
なんだかだいぶまとまってきたし、あとの細かいことは親方に任せてメリッサのところへ行こうかな?
「じゃあ、これでわたしは次に行くね」
「ああ、ベビーベッドはあと一ヶ月もしたらできているからいつでも取りにこい。このプールって言ったか? これは、一年ぐらい期限は大丈夫なんだな?」
「うん、期限は別にないよ。テオが大きくなったのなら、広い方のプールの水を減らして遊ぶつもりだし。それにわたしがこれからずっと使うつもりだから、数年のズレは気にしないよ。良いモノ作ってね。あっ!? じゃあ、一段高いところに登るハシゴか階段がいるね! 気づけて良かった」
「そうだな、テオが大きくなったら下で遊んで上で休憩するんだな……わかった」
「パールさん、これからメリッサのところへ行く気ですか?」
「うん、そうだよ」
「今日からメリッサは友達のところへ三日ほど休息しに行くと言っていましたから、留守のはずですよ」
「ああ、そんなことを言っていたな……疲れたから今度の休みは友達のところへ行くと言ってたぞ」
「そうです」
「うわっ、よかった。知らずに行くところだった。教えてくれてありがとう! じゃあこのまま今回は帰るよ」
「ああ、気をつけて帰るんだぞ! パール、はやく護衛をつけろよ!」
「あはは! わかったよ、親方。またくるね」
プールも注文できたし、なんだか楽しいモノができそうだ。
メリッサが留守だとわかったから、今日は素直にライのところへ帰ろうかな?
でもその前に、少しテオに会ってから帰ろう!
ワープを覚えてホントよかったよ。
♢♢♢
「ただいまー!! テオーーっ!!」
かわいいお顔は、どこかな~?
パールお姉さんですよ~っ!!
自分だけタダ働きする気だったんだ……
もーーっ!
おどろいた親方が聞いてきた。
「パール? 三件って、おれのところも入っているのか?」
「そうだよ! 仕事を持っていって、いろいろわたしの要望を話さないといけないでしょ? それって一番肝心じゃない! わたしのこともいっぱいわかっているし。親方がキチンとお金を受け取ってくれないと、また気軽にいろいろ頼めないからね。これはぜったい三件だよ!」
砂金を三本と金貨を三十枚それから白金貨一枚を出して、これぐらいで前金は足りるか聞いてみた。
「おまえ、白金貨……ああ、十分だ! みんなよろこぶよ」
「よかった。経費がどれくらいいるのかわからないから、出来上がってからでも途中でもいまでも教えてくれたらいくらでも払うから言ってね! お金は、持っているから、心配しないで!」
「ハァーッ!! パール、おまえ早く護衛をつけろ! 危なっかしくって、こっちがハラハラする」
「そうですよ、パールさん! いくらなんでも、何も言われていないのに白金貨をポンッと出すなんて……世間知らずもいいところです!」
「そうなの?」
「この金額を前金だと言ってポンッと渡すことができるのは、貴族でも大貴族か王族ぐらいだな。まあでも、これだけもらえるならホントに良いモノが作れるから、作り手としても楽しいがな!」
「ホント!? よかった! わたしはお金に困ってないから、みんなが気分良く作ってくれるようにしたいんだよ。新しいモノだしね!」
「ああ、わかっている。金が足りなくなったらまた頼む」
「うん。一応は、白金貨が経費? で、残りが三件の支度金? のつもりだから少なかったら教えてね!」
「支度金……これで十分だ。それじゃあ、もう少し詳しく教えてくれるか?」
「うん、わかった」
親方ならまあ良いかと、ソードからもらった紙を数枚とインクをつけなくてもいいペンを出してチェリーに『前世の記憶』から出してもらった『プール』をイメージして、だいたいの絵を描いていく。
親方はジッとペンを見たあと、ハァーっとため息をひとつついて、それからは何事もなったように話しだす。
自分も紙にメモしたり書いたり、三人で意見を出し合い案外本格的なプールが出来上がった。
「親方、これはもしかしたら……他の貴族もほしがるすごいモノが出来上がるんじゃないでしょうか……」
「ああ、ここまで凝ったモノじゃなくてもいいからな……売れるだろうな……」
「親方! かわいいテオが間違って溺れないように、一段高いところには柵も作ってね。あとそこでテオと遊んだり寝れる椅子を作ってリンゴ果汁なんかを飲んだりするから、小さなテーブルなんかも横に置ける少し広めのスペースにしてね。あっ! そこの場所には日除けもいるかな? テオが日焼けしたらいけないからね」
「わかった……パール。その一段高いところから、おまえもしかして飛び込む気なのか?」
「アハハ、それができたら最高だけど、それならもう少し深くする? でもわたしの顔は外に出してね。それからテオが遊ぶところの水位はテオに危険のない十センチから二十センチぐらいまで? そこでテオは、ペチャペチャ遊ぶの! テオが遊ぶ一段高いところでは、シーナたちがテオを見ているだろうから、おとなが十人乗っても底が抜けないように丈夫に作ってね」
「ああ、その下の空洞の部分を利用して段階的に水が抜けていくよう工夫するから頑丈に作ってやる。安心していいぞ」
「ありがとう! まあ無理なら、魔法でわたしが水を抜くこともできるし」
「パール、それはできるだけひとりのときにしろ。テオやシーナの前ではちゃんと普通に水を抜いた方がいいぞ。テオたちは普通の人族なんだろ?」
「そうですよ! それになんですか? このペンは? 便利すぎるでしょ! 平気で人になんでも見せてはいけませんよ。ホントにボクでも心配になるぐらい、パールさんは危なっかしいですね」
「そうだろ!?」
親方もうなずいていた。
「まだ、十歳だからだよ! もう少ししたら、きっとしっかりするはずだし……」
プール!
なんだか思っていたよりも、すごいモノができそうだ。
「じゃあ、親方。水の魔石がいるんじゃないの?」
そう言ってから、ひとつほどほどの大きさのモノをだしてみる。
なっ!!
「パール!! これは、大きすぎる! その半分ぐらいの大きさの魔石でいいぞ!」
「えっ! そうなの? そんなのでお水出せるの?」
「パールさん、その大きさの魔石は王室用ですよ! それで庶民の子どものためのプールを作ったら、ひんしゅくを買ってしまいます!」
言われた通り、半分よりちょっと大きいぐらいの魔石を出して渡しておく。
親方がこれでだいぶ材料費が浮いたと言ってくれた。
魔石代が高くつくらしい。
よかった。
思う存分、ステキなプールを作ってね!
「これだけ良いモノなら、テオだけじゃなくわたしがおとなになっても、そのまま使うよ!」
「そうしてくれ!」
「パールさん、これを庭にずっと出しておくんですか?」
「違うよ、魔法袋にしまっておくんだよ」
「魔法袋か……」
なんだかだいぶまとまってきたし、あとの細かいことは親方に任せてメリッサのところへ行こうかな?
「じゃあ、これでわたしは次に行くね」
「ああ、ベビーベッドはあと一ヶ月もしたらできているからいつでも取りにこい。このプールって言ったか? これは、一年ぐらい期限は大丈夫なんだな?」
「うん、期限は別にないよ。テオが大きくなったのなら、広い方のプールの水を減らして遊ぶつもりだし。それにわたしがこれからずっと使うつもりだから、数年のズレは気にしないよ。良いモノ作ってね。あっ!? じゃあ、一段高いところに登るハシゴか階段がいるね! 気づけて良かった」
「そうだな、テオが大きくなったら下で遊んで上で休憩するんだな……わかった」
「パールさん、これからメリッサのところへ行く気ですか?」
「うん、そうだよ」
「今日からメリッサは友達のところへ三日ほど休息しに行くと言っていましたから、留守のはずですよ」
「ああ、そんなことを言っていたな……疲れたから今度の休みは友達のところへ行くと言ってたぞ」
「そうです」
「うわっ、よかった。知らずに行くところだった。教えてくれてありがとう! じゃあこのまま今回は帰るよ」
「ああ、気をつけて帰るんだぞ! パール、はやく護衛をつけろよ!」
「あはは! わかったよ、親方。またくるね」
プールも注文できたし、なんだか楽しいモノができそうだ。
メリッサが留守だとわかったから、今日は素直にライのところへ帰ろうかな?
でもその前に、少しテオに会ってから帰ろう!
ワープを覚えてホントよかったよ。
♢♢♢
「ただいまー!! テオーーっ!!」
かわいいお顔は、どこかな~?
パールお姉さんですよ~っ!!
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