迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

文字の大きさ
203 / 221

203. お店で買った黒いモノ

しおりを挟む
 店を出てしばらく歩いて誰も人がいない木の影まで二人で行き、骨董品のお店で買った黒いモノは全部腰のマジックバッグへ収納する。
 いまは人もまわりにいない。
 
「このままここから帰えろうか?」

「ああ、それはいいけどパール、こんな黒い板や棒を何に使うんだい? ホントに部屋に飾るのかい?」

「そうだよね、気になるだろうけどまずは中間地点までいくよ」


「ワープ!!」


「今回は、ここで少し休憩」

 ボードの四隅に魔道具を置いて空のテントを取り出す。

 テーブルと椅子も出して、すぐ魔力ポーションを飲んでおく。

「この安全確保がもう少しどうにかならないかね? パールは魔力切れであまり動けないのに、急に地上へ現れてしまうし、そのときの地上の状況もわからないからやっぱり不安だね」

「そうなんだよ。それがこのボードの弱点でもあるんだ」

「パールの家の庭で少し研究しようか?」

「わたしの庭で?」

「そうさ、あそこが一番安全だろ? ここだと、人にはそう見られることはないけど、魔獣の心配がホントにあるから危険すぎる」

「ああ、そうか……でもブレンダ、なんの研究?」

「降りるときの方法。空中に降りられないか? とか、そのときにわたしがサッと飛び降りるとかね。いろいろ試しておいてもいいだろ?」

「そうか、試して損はないよね!」

 思いつかなかった、さすがブレンダ!


 ふぅーっ。
 ちょっとだけ、休憩。
 
 いろんなベリーが乗ったパイと、オレンジ果汁を出して二人で食べながら、あの方法この方法と少し話し合いになった。

 そして、さっきの黒い板や棒について……

「これはナイショの話しだよ……ブレンダ。向こうで聞いた話しだから……まだ、誰にも言わないでくれる?」

「ああ、わたしはパールの護衛だからね。パールについての秘密は、王妃様にも言わないよ。これも王妃様に確認したことなんだよ。パールは迷い人でもあるから、秘密が多いだろ?」

「うわっ!? そうなんだ、王妃様にもう確認してたの? ありがとうブレンダ……」

「ハンッ、当たり前のことさ! 女に秘密が多いのは、いつの時代も一緒だよ」

「へーぇ? なんだか、カッコいいね!」

 二人で笑い合って、パイをもうひとかけ食べて話しだす。

「あの板や棒は、ちょっと黒が以上に濃くって普通と違うのがわかるでしょ?」

「ああ、黒過ぎて気味が悪いぐらいだけどね」

「そう。あれはね、魔道具なの。そして、持ち主が亡くなってしまって登録した魔力がこの世にもうないから、あんな風に段々と黒く百年以上かけてなったモノ」

「なんだってっ!? あれは魔道具? 登録者が死んだから黒くなっているのかい?」

「そうだよ。そして、あれだけ黒くなったモノだと百年以上経っているってことでもあるから、新しく登録し直せるんだよ」

「なっ、なっ、なんだって?! そんなことがっ、ホントにそんなすごいことができるのかい? それが知れ渡ったら、たいへんな騒ぎになるよ!! 特に、今のピアンタの王様は強欲で有名だからねっ!」

「やっぱり、そうなるでしょ? どうしてピアンタに向こうの魔道具があったのか? 不思議だよね? でも簡単には登録し直せないからまあ、大丈夫だとは思うけど……」

「それは、どういうことだい?」

「登録を解除するには、前の持ち主よりも多い魔力をその魔道具に注がないとダメなんだよ。だからまず、人族は無理かな?」

「そうなのかい?」

「たぶんね……でも何か、とんでもない方法で魔力を注がれたら、この世界の三国のバランスがどうなるか分からないでしょ? だから出来るだけわたしが集めておいた方がいいかなって思ったんだよ」

「パールなら、登録し直せるのかい?」

「んーっ、わからない? いまの段階では、子どもだから無理っぽいかな? おとなになって、からだも大きくなったらもう少し魔力も増えて、そしたら一度試してみてもいいけど……まだまだ先だね」

「フゥーッ、ああ、そうだね。いまだって一度でラメール王国まで帰れないぐらいだから……まあ、そうだろうね」

「うん。あんなところに魔道具があってビックリしたけど、これからもわたしやブレンダが黒いモノが変わっていて好きだということにして、骨董品のお店を覗いてまわるのもアリかも」

「それが良さそうだね。あと今回のピアンタで思ったことだけど、ピアンタへ行くときにこのラメールの騎士服は目立ちすぎる。違う騎士服を作ってそのときに、黒を基調にしたら説得力も増すかもしれないね」

「いい案だよ! どこか騎士服を特別に作ってくれる良いところをブレンダは知ってるのかな?」

「ああ、いつも作ってもらっているところがあるから、一度そこで相談してみようかね」

「うわーっ、楽しそう! わたしも一緒に行ってもいい?」

「それは構わないけど、別に大して何もないところだよ」

「いいよ!」

「フッ、かわった子だね」

 これからも二人で、黒い魔道具を集めることで話はまとまった。


  ♢♢♢


「ただいまーっ!」

「おかえり! パール、ブレンダ待ってたのよー!」

 シーナがテオを抱いて笑顔で迎えてくれる。

「家族の絵をね、描いてもらうことしたのよ。それで一度全員で並んでもらって場所を決めてほしいそうなんだけど、どう並ぶのがいいと思う?」

「すごいことはじめるんだね、シーナ。じゃあ、一室どこか空けてそこに椅子を数客置いて、残りの人は立つ?」

「まあ、それが無難だな」

 マークもうなずいている。

「絵描きさんって、よく見つけられたよね?」

「そうでしょ? わたしもビックリしたのよ。お父さんが急に言い出してね。どこからか、見つけてきたみたいなのよ」

「ふ~ん、そうなんだ。テオがいま赤ちゃんでかわいいときだからね、気持ちはわかるよ! シーナがテオを抱いてマークと一緒に中央で椅子に座って、あとは立っていたらいいんじゃない?」

 そんな話をしていると、トムさんが絵描きの人を連れてやってきた。

 テオを抱いたシーナとマークを座らせて、その前にわたしもどこから持ってきたのか、小さな低い椅子に座らされた。
 あとは、シーナの横にトムさんとトーマス。
 マークの横にブレンダが立ってしばらくポーズをとらされる。

「わたしも入って、いいのかい?」

 ブレンダが聞いてきたから。

「当たり前でしょ! ブレンダとこれからわたしは、ずっと一緒なんだから、家族と同じだよ!」

「そうだぞ! ブレンダも家族の一員だ! ちゃんと入ってくれよ」

 トムさんもうなずいて、ブレンダに告げていた。

「ああ、そうだね……」

 しばらくみんなでポーズをとって、そのあとは一人ずつ絵描きさんと向き合って描いてもらうようだった。

 まずは、暇なわたしからなのか?

 あとの人はいつでも家にいるからと言われて、ブレンダと二人で、しばらくいろんなポーズをとらされた。

 モデルもたいへんだな……

 でも、これで楽しみが増えた。

 あとは、出来上がりを待つだけだよねっ!

 


 

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

処理中です...