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試合開始④
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咄嗟に、水魔法と聖魔法を合わせたオリジナル魔法を展開する。
いつもは詠唱が厨二っぽくて恥ずかしいから小声でゴニョゴニョ言ってるが、緊急時はそうも言ってられない。
詠唱が終わった途端、消防車のホースから出たような回復魔法混じりの水が、勢いよくナナークの体にぶち当たり火を消した。水圧がちと痛いだろうが、火傷だけじゃなくそのダメージも癒やすはずだから、すまんが耐えてくれ。火事の時をイメージして作った魔法だから、個人に直接ぶつける想定はしてなかったんだ。
魔法を使った試合の厄介なところは、相手が負けを認めるラインと、相手を死なせない為に制御すべきラインが必ずしも一致するとは限らないところだ。ナナークが自力で火を消して、なお戦闘を続行してきた可能性もある為、正直俺のこの行動が正しかったのかはわからない。……冷静になってみれば王宮兵団長が、中級魔法が直撃した程度で死ぬとも思えないしな。聖魔法も使えるクリスの判断に任せるべきだったか。
まあ、でもナナークは人格ができた人物なので、敵に助けられた時点で潔く敗北を認める気もする。敵に情けをかけられたと、いきなりキレて人格が豹変する可能性も否定できないが。
さて、鬼が出るか、蛇が出るか。
クリスが張った結界内に充満する煙が消えるのを、暫く静かに待つ。……火でやられなくとも、このままじゃ酸欠で二人ともやられそうだな。煙そのものを、亜空間収納しとこう。あと、転移魔法の応用で空間に穴を作って、外の空気を入れて、と。
煙が晴れた先に現れたのは……お腹の部分の毛が無惨に焼け焦げて黒の部分を増した、ホワイトタイガー。
さすがに聖魔法でも毛の修復まではできないんだよな。これ、お腹まだらにハゲちゃうなあ。顔に被害がなくて良かったと思うべきか。
火傷は完全に修復したはずなのに、ナナークはぼおっとしていて、戦闘を再開する様子はない。魔法を食らった(&ハゲた)のが、それだけショックだったのか。それとも潔く負けを認めたのか。
「審判さん?」
「え、ええと。……ワシヤミアさん。戦闘続行の意思がないということは、ここで敗退になってしまいますが、よろしいでしょうか」
「…………ああ」
「よろしいんですね? ならーー勝者、エドワード・ネルドゥース!」
正直ナナークはまだまだ本領発揮してない気もするが……まあ、親善試合ならこんなものか。魔力譲渡の実験もできたし、他にも色々勉強になった。何より、王宮兵団長と戦って、相手はあわや丸焦げの状態なのに対し、自分はわずかな頬の凍傷だけで勝てたという事実が大きい。
「聖魔法で癒やしましたが、火傷の具合は大丈夫ですか。ワシヤミアさん。念の為、ちゃんと医務室でも診てもらってくださいね」
内心ではめちゃくち浮かれているのを隠して、いつの間にか獣面状態に戻っていたナナークに優しい笑顔を向けると、瞬時にナナークの顔が赤く染まった。ん?
「……き」
「き?」
「き、君の気持ちは嬉しいが、私と君とでは魔力の相性が悪い! それに親善試合とはいえ、君に負けた私が君に相応しいとは思えない!」
……………んん?
「勘違いしないで欲しいんだが、君の気持ちは本当に嬉しいんだ! 君のように魔力量が多くて強い人に、そんなふうに想ってもらえるなんて、獣人としては譽れでしかない。もし魔力の相性さえ良ければ、敗北の情けなさを飲み込んででも、私は君の気持ちを受け入れただろう。だが、私はワシヤミア家の跡取りなんだ。魔力の性質が攻撃に反映されるくらい魔力が高いこともあり、一族中から子どもを期待されている。私の気持ちだけで、君を受け入れるわけにはいかないんだ! どうかわかってくれ!」
え、何。告白してもないのに、一方的にフラれてんだけど。
すごく誠実でまともな人だと思った分……てか、断り方すら誠実でまともな人な分、ショックデカいんだが。
いつもは詠唱が厨二っぽくて恥ずかしいから小声でゴニョゴニョ言ってるが、緊急時はそうも言ってられない。
詠唱が終わった途端、消防車のホースから出たような回復魔法混じりの水が、勢いよくナナークの体にぶち当たり火を消した。水圧がちと痛いだろうが、火傷だけじゃなくそのダメージも癒やすはずだから、すまんが耐えてくれ。火事の時をイメージして作った魔法だから、個人に直接ぶつける想定はしてなかったんだ。
魔法を使った試合の厄介なところは、相手が負けを認めるラインと、相手を死なせない為に制御すべきラインが必ずしも一致するとは限らないところだ。ナナークが自力で火を消して、なお戦闘を続行してきた可能性もある為、正直俺のこの行動が正しかったのかはわからない。……冷静になってみれば王宮兵団長が、中級魔法が直撃した程度で死ぬとも思えないしな。聖魔法も使えるクリスの判断に任せるべきだったか。
まあ、でもナナークは人格ができた人物なので、敵に助けられた時点で潔く敗北を認める気もする。敵に情けをかけられたと、いきなりキレて人格が豹変する可能性も否定できないが。
さて、鬼が出るか、蛇が出るか。
クリスが張った結界内に充満する煙が消えるのを、暫く静かに待つ。……火でやられなくとも、このままじゃ酸欠で二人ともやられそうだな。煙そのものを、亜空間収納しとこう。あと、転移魔法の応用で空間に穴を作って、外の空気を入れて、と。
煙が晴れた先に現れたのは……お腹の部分の毛が無惨に焼け焦げて黒の部分を増した、ホワイトタイガー。
さすがに聖魔法でも毛の修復まではできないんだよな。これ、お腹まだらにハゲちゃうなあ。顔に被害がなくて良かったと思うべきか。
火傷は完全に修復したはずなのに、ナナークはぼおっとしていて、戦闘を再開する様子はない。魔法を食らった(&ハゲた)のが、それだけショックだったのか。それとも潔く負けを認めたのか。
「審判さん?」
「え、ええと。……ワシヤミアさん。戦闘続行の意思がないということは、ここで敗退になってしまいますが、よろしいでしょうか」
「…………ああ」
「よろしいんですね? ならーー勝者、エドワード・ネルドゥース!」
正直ナナークはまだまだ本領発揮してない気もするが……まあ、親善試合ならこんなものか。魔力譲渡の実験もできたし、他にも色々勉強になった。何より、王宮兵団長と戦って、相手はあわや丸焦げの状態なのに対し、自分はわずかな頬の凍傷だけで勝てたという事実が大きい。
「聖魔法で癒やしましたが、火傷の具合は大丈夫ですか。ワシヤミアさん。念の為、ちゃんと医務室でも診てもらってくださいね」
内心ではめちゃくち浮かれているのを隠して、いつの間にか獣面状態に戻っていたナナークに優しい笑顔を向けると、瞬時にナナークの顔が赤く染まった。ん?
「……き」
「き?」
「き、君の気持ちは嬉しいが、私と君とでは魔力の相性が悪い! それに親善試合とはいえ、君に負けた私が君に相応しいとは思えない!」
……………んん?
「勘違いしないで欲しいんだが、君の気持ちは本当に嬉しいんだ! 君のように魔力量が多くて強い人に、そんなふうに想ってもらえるなんて、獣人としては譽れでしかない。もし魔力の相性さえ良ければ、敗北の情けなさを飲み込んででも、私は君の気持ちを受け入れただろう。だが、私はワシヤミア家の跡取りなんだ。魔力の性質が攻撃に反映されるくらい魔力が高いこともあり、一族中から子どもを期待されている。私の気持ちだけで、君を受け入れるわけにはいかないんだ! どうかわかってくれ!」
え、何。告白してもないのに、一方的にフラれてんだけど。
すごく誠実でまともな人だと思った分……てか、断り方すら誠実でまともな人な分、ショックデカいんだが。
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