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いざ、決戦の地へ②
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本来なら、こういう危機的状況にアストルディアが駆けつけてくれることは、大喜びで歓迎すべき所だ。
自分で言うのもなんだが、俺はアストルディアに非常に大切にされてきた。実際そのおかげで、獣人達はアストルディアの報復を恐れて、俺に監禁以上のことはしなかったしな。
戦うなら一人の方がいいと言ったが、アストルディアなら話は別だ。アストルディアは俺と違ってきちんと駒の育成はできていたし、王族の嗜み?として、大勢を率いて戦う訓練も重ねてきたと聞いている。共闘に慣れない俺にも、きっと合わせて戦ってくれるはず。一人最強でありさえすればいいと、ネグレクト気味に英雄にされた俺とは根本的に違うのだ。……なんてか、これもWじじいの策略の一つだよな。改めて考えると。ジジイ達が求めたのは自分達が動かせる兵器の作成であって、戦闘の指導者じゃねぇもんな。当然と言えば当然の結果か。
アストルディアが助けに来てさえくれば、もはやその時点で勝ち確。約束された大団円。俺達二人が協力すれば、ヴィダルスはもちろん、他の誰にも負ける気はしない。……のではあるのだけど。
『誰も、お前の言葉なんか信じねぇよ。エドワード。もし仮に、アストルディアがニルカグル殺しの犯人でないのなら……あいつはきっと、お前を犯人だと思っているさ。お前にハメられた、まんまと罪をかぶせられた、ってなァ』
『知ってるか、エドワード。狼獣人は番に対して愛情深い分、裏切られた時の反動は凄まじいんだ。きっと今頃アストルディアは、お前のことを殺したいくらい憎んでるはずだ』
……ヴィダルスのこの言葉が、ボディブローのようにじわじわ効いてきてるんだよなあ。もはや呪い。
アストルディアなら大丈夫。仮に誤解していたとしても話せばわかると自分に言い聞かせてきたけど……やっぱり運命の強制力が怖い。
他の獣人達はアストルディアが狼獣人というだけで、番の俺に無条件に味方すると思ってるようだけど。同族であり、アストルディアと付き合いが長いヴィダルスの方が、アストルディアの解像度は高いのではと思ってしまう。もちろん、この言葉自体が、俺の心を折る為のデタラメの可能性も考慮はしているけれど。
その気になれば俺の救出なんて簡単あろうアストルディアが、今の今までやって来てないことが、ヴィダルスの言葉の正しさを、証明している気がして。
「……今はまだ、来ないでくれる方が嬉しいかな」
「兄上?」
「何でもない。……レオ。お前は戦闘能力では劣るかもしれないが、次期領主としての能力は俺より勝っている。これから父上が、ネーバ山麓付近の領民に避難指示を出すはずだから、お前はそれを手伝ってくれ。父上は親としては問題がある人だが、領主としては尊敬に値する人だ。きっとその経験は、お前の糧になる」
考えても仕方ないことに、思い悩んでいる時間はない。
心配そうなレオの肩を叩き、どこか苦しげな顔の親父を真っ直ぐ見据える。
「……それでは、父上。後のことはよろしくお願いします。レオのことも」
「ああ。……また、明日会おう」
「ええ、必ず」
それだけ言い残すと、俺はネーバ山へ転移した。
「……うう。魔力枯渇状態ってこんな感じか。くそだるい」
元々転移魔道具に魔力を半分取られてたせいで、二つの結界を念入りに強化して、破られた際の親父への警報機能もつけたら完全に魔力がなくなった。
最上級のマジックポーションを、何本もお腹タプタプになるまで飲んだら大分回復したが、残念ながら俺にはMPゲージが見えないので、実際完璧に回復したかはわからない。わからないけど、体力回復のポーションも飲んだから、いい加減腹が限界だ。油断したら吐きそう。
「ポーション使ったせいで、体調悪くしたら本末転倒じゃねぇか……体力回復の方は聖魔法使えば良かった」
でも、決戦の前にできるだけ魔力温存しておきたかったんだよな。……頼むから、今はまだ来てくれるなよ。ヴィダルス。まだ夜だから、大丈夫だとは思うが。
近くの木にもたれかかって休んでると、大分体が楽になってきた。
代わりに腹の子が、ポーションの海に溺れることを抗議するように、思いきり腹の中から蹴り上げてくる。
「……ごめん、ごめん。もう飲まないから、もうしばらく我慢してくれ」
自分で言うのもなんだが、俺はアストルディアに非常に大切にされてきた。実際そのおかげで、獣人達はアストルディアの報復を恐れて、俺に監禁以上のことはしなかったしな。
戦うなら一人の方がいいと言ったが、アストルディアなら話は別だ。アストルディアは俺と違ってきちんと駒の育成はできていたし、王族の嗜み?として、大勢を率いて戦う訓練も重ねてきたと聞いている。共闘に慣れない俺にも、きっと合わせて戦ってくれるはず。一人最強でありさえすればいいと、ネグレクト気味に英雄にされた俺とは根本的に違うのだ。……なんてか、これもWじじいの策略の一つだよな。改めて考えると。ジジイ達が求めたのは自分達が動かせる兵器の作成であって、戦闘の指導者じゃねぇもんな。当然と言えば当然の結果か。
アストルディアが助けに来てさえくれば、もはやその時点で勝ち確。約束された大団円。俺達二人が協力すれば、ヴィダルスはもちろん、他の誰にも負ける気はしない。……のではあるのだけど。
『誰も、お前の言葉なんか信じねぇよ。エドワード。もし仮に、アストルディアがニルカグル殺しの犯人でないのなら……あいつはきっと、お前を犯人だと思っているさ。お前にハメられた、まんまと罪をかぶせられた、ってなァ』
『知ってるか、エドワード。狼獣人は番に対して愛情深い分、裏切られた時の反動は凄まじいんだ。きっと今頃アストルディアは、お前のことを殺したいくらい憎んでるはずだ』
……ヴィダルスのこの言葉が、ボディブローのようにじわじわ効いてきてるんだよなあ。もはや呪い。
アストルディアなら大丈夫。仮に誤解していたとしても話せばわかると自分に言い聞かせてきたけど……やっぱり運命の強制力が怖い。
他の獣人達はアストルディアが狼獣人というだけで、番の俺に無条件に味方すると思ってるようだけど。同族であり、アストルディアと付き合いが長いヴィダルスの方が、アストルディアの解像度は高いのではと思ってしまう。もちろん、この言葉自体が、俺の心を折る為のデタラメの可能性も考慮はしているけれど。
その気になれば俺の救出なんて簡単あろうアストルディアが、今の今までやって来てないことが、ヴィダルスの言葉の正しさを、証明している気がして。
「……今はまだ、来ないでくれる方が嬉しいかな」
「兄上?」
「何でもない。……レオ。お前は戦闘能力では劣るかもしれないが、次期領主としての能力は俺より勝っている。これから父上が、ネーバ山麓付近の領民に避難指示を出すはずだから、お前はそれを手伝ってくれ。父上は親としては問題がある人だが、領主としては尊敬に値する人だ。きっとその経験は、お前の糧になる」
考えても仕方ないことに、思い悩んでいる時間はない。
心配そうなレオの肩を叩き、どこか苦しげな顔の親父を真っ直ぐ見据える。
「……それでは、父上。後のことはよろしくお願いします。レオのことも」
「ああ。……また、明日会おう」
「ええ、必ず」
それだけ言い残すと、俺はネーバ山へ転移した。
「……うう。魔力枯渇状態ってこんな感じか。くそだるい」
元々転移魔道具に魔力を半分取られてたせいで、二つの結界を念入りに強化して、破られた際の親父への警報機能もつけたら完全に魔力がなくなった。
最上級のマジックポーションを、何本もお腹タプタプになるまで飲んだら大分回復したが、残念ながら俺にはMPゲージが見えないので、実際完璧に回復したかはわからない。わからないけど、体力回復のポーションも飲んだから、いい加減腹が限界だ。油断したら吐きそう。
「ポーション使ったせいで、体調悪くしたら本末転倒じゃねぇか……体力回復の方は聖魔法使えば良かった」
でも、決戦の前にできるだけ魔力温存しておきたかったんだよな。……頼むから、今はまだ来てくれるなよ。ヴィダルス。まだ夜だから、大丈夫だとは思うが。
近くの木にもたれかかって休んでると、大分体が楽になってきた。
代わりに腹の子が、ポーションの海に溺れることを抗議するように、思いきり腹の中から蹴り上げてくる。
「……ごめん、ごめん。もう飲まないから、もうしばらく我慢してくれ」
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