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連載2
忘れられた神々4
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「……っ」
差し込んで来た光は、陽光だった。
今は夜のはずなのに、いったいどういうことなんだろう。まるで夏の正午の太陽みたいに、明るい。
地下通路の暗闇との差異に、目がちかちかして慣れるのに少し時間がかかった。
「地下通路をさらに下った先にこんな場所があるなんて……」
ぐるりと四方を取り囲むのは、切りたった崖。
いや、崖というのは、少し齟齬があるかもしれない。
だって崖は遙か上空で折りたたまるように水平になっていて、穴を開けたように少しだけ見える空をのぞけば、まるで箱みたいにこの空間を覆ってしまっている。
穴から除く空は、時間通りの夜の闇が広がっているのに、その下で散々と輝く小さな玩具のような太陽が、私たちのいる場所を昼間のように明るく照らしだしていた。
「……あれは、魔術で作り上げた疑似太陽か……?」
兄様は眉間に皺を寄せながら、散々と輝くそれを見上げた。
「普通の太陽同様にあまり長くは見れないから、観察が難しいな……しかし、魔術であんなものまで作れるなんて」
「どれほど力ある魔術師だって、普通はこんなもの作れませんよ。仮に作れたとしてもせいぜいほんの短い間だけです。それなのにあの太陽は、私がこの場所を見つけた頃から……いや、おそらくは遙か昔からずっとこの場所を照らし続けているんです。……神の所業としか思えない」
「すみません。シャルル王子。あそこにある倒壊しかけの、苔むした建物は……?」
四方を囲む崖の一辺に背中を合わせるようにして、古ぼけた建物が一軒建っていた。
苔や蔦植物に侵されて、いったいその建物がどういう見た目のもので、どういった目的のものか、さっぱりわからない。
柱のあちこちが悪くなっているのか、傾いていて、少し衝撃をくわえれば簡単に崩壊させてしまいそうだ。
「ああ。……あれは神殿です」
「神殿!?」
「あれを見せたくて、聖女様を訪ねたのです。……着いてきてください」
疑似太陽に照らされる、植物に侵された神殿には、物悲しさとともに、不思議な美しさがあった。
それなのに、一歩近づくたびに心臓の鼓動が早くなっていき、変な脂汗がこめかみを伝った。
何だかひどく喉が渇く。
ーーあれに、近づいてはいけない。
本能が、私に警告する。
あれはーー【災厄の魔女】と同じ種類の……否、それ以上に邪悪な存在だと。
「……大丈夫か。ディアナ。顔色が悪いぞ」
「……大丈夫……それより、兄様は何も感じない?」
「いや……特には。入った瞬間にあれが崩壊してディアナが怪我をしないかが、心配なぐらいだ」
シャルル王子も平気な様子でさっさと神殿の中に入って行ってしまったし、この嫌な感じは私だけのものなのだろう。
建物自体が、恐らく聖女である私を拒絶している。
差し込んで来た光は、陽光だった。
今は夜のはずなのに、いったいどういうことなんだろう。まるで夏の正午の太陽みたいに、明るい。
地下通路の暗闇との差異に、目がちかちかして慣れるのに少し時間がかかった。
「地下通路をさらに下った先にこんな場所があるなんて……」
ぐるりと四方を取り囲むのは、切りたった崖。
いや、崖というのは、少し齟齬があるかもしれない。
だって崖は遙か上空で折りたたまるように水平になっていて、穴を開けたように少しだけ見える空をのぞけば、まるで箱みたいにこの空間を覆ってしまっている。
穴から除く空は、時間通りの夜の闇が広がっているのに、その下で散々と輝く小さな玩具のような太陽が、私たちのいる場所を昼間のように明るく照らしだしていた。
「……あれは、魔術で作り上げた疑似太陽か……?」
兄様は眉間に皺を寄せながら、散々と輝くそれを見上げた。
「普通の太陽同様にあまり長くは見れないから、観察が難しいな……しかし、魔術であんなものまで作れるなんて」
「どれほど力ある魔術師だって、普通はこんなもの作れませんよ。仮に作れたとしてもせいぜいほんの短い間だけです。それなのにあの太陽は、私がこの場所を見つけた頃から……いや、おそらくは遙か昔からずっとこの場所を照らし続けているんです。……神の所業としか思えない」
「すみません。シャルル王子。あそこにある倒壊しかけの、苔むした建物は……?」
四方を囲む崖の一辺に背中を合わせるようにして、古ぼけた建物が一軒建っていた。
苔や蔦植物に侵されて、いったいその建物がどういう見た目のもので、どういった目的のものか、さっぱりわからない。
柱のあちこちが悪くなっているのか、傾いていて、少し衝撃をくわえれば簡単に崩壊させてしまいそうだ。
「ああ。……あれは神殿です」
「神殿!?」
「あれを見せたくて、聖女様を訪ねたのです。……着いてきてください」
疑似太陽に照らされる、植物に侵された神殿には、物悲しさとともに、不思議な美しさがあった。
それなのに、一歩近づくたびに心臓の鼓動が早くなっていき、変な脂汗がこめかみを伝った。
何だかひどく喉が渇く。
ーーあれに、近づいてはいけない。
本能が、私に警告する。
あれはーー【災厄の魔女】と同じ種類の……否、それ以上に邪悪な存在だと。
「……大丈夫か。ディアナ。顔色が悪いぞ」
「……大丈夫……それより、兄様は何も感じない?」
「いや……特には。入った瞬間にあれが崩壊してディアナが怪我をしないかが、心配なぐらいだ」
シャルル王子も平気な様子でさっさと神殿の中に入って行ってしまったし、この嫌な感じは私だけのものなのだろう。
建物自体が、恐らく聖女である私を拒絶している。
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