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連載2
忘れられた神々5
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「もし辛いなら、お前だけ外で待っていてもいいんだぞ。これだけ閉鎖的な場所なら、【災厄の魔女】の手先が現れる可能性も低いだろうしな」
兄様の優しい提案に、きっぱりと首を横に振る。
「……ううん。行くよ。行かなきゃいけない気がするんだ」
私は、あの神殿に行かなければならない。
そうじゃなければ、【災厄の魔女】は倒せない。そんな気がするから。
兄様に支えられながら、今にも崩れ落ちそうな神殿に足を踏み入れる。
神殿の中はほこりっぽく、木でできていた礼拝用の椅子は虫に食われていて、すぐそばを通っただけで崩れ落ちてしまうくらいにぼろぼろだった。
「聖女様!こっちです。こっちにご神体が残ってます」
大きく手を振るシャルル王子のもとに近づくと、ますますあの嫌な感じが大きくなった。
一歩一歩が、まるで足に大きな鉄の弾でもぶら下げているかのように重い。
「これは……剣?」
シャルル王子が勝手に開けたらしい豪奢で立派な箱に入っていたのは、一振りの美しい剣だった。まるで夜闇を溶かしてコーティングしたかのように、まっ黒で、明かりもないのにぼんやり光っている。
「箱には、古代語で『トリアスの神剣』と刻まれていました」
「それだけか? 他には何も書かれていなかったか?」
「あと、『神の許可なく勝手にこの剣に触れし者は呪われる』とも書いてましたね」
「…………お前」
「ああ!そんな引いた目で見ないでください、お兄様! 私は一応この剣に触っていませんから! 箱を開けただけですから!」
兄様とシャルル王子が言い合いしている間、私はずっとトリアスの神剣を眺めていた。
先ほどまでとは比にならないくらいの汗がだらだらとこめかみの辺りを濡らして、息が苦しくなった。
間違いない。私のあの「嫌な感じ」の原因は、この剣だ。
【災厄の魔女の呪い】みたいに黒い霧になって見えたりはしないけど、この剣から【災厄の魔女】と同じ……いや、もしかしたらそれ以上の力が伝わってくる。
「……兄様。シャルル王子。少しこの剣から離れてもらってもいいですか。絶対にこの剣には触れないで」
私の言葉に従って、兄様やシャルル王子が距離を置いたのを確かめてから、一人剣に向き直る。
「私の力でこの剣の持つ力を封印できないか……試してみます」
兄様の優しい提案に、きっぱりと首を横に振る。
「……ううん。行くよ。行かなきゃいけない気がするんだ」
私は、あの神殿に行かなければならない。
そうじゃなければ、【災厄の魔女】は倒せない。そんな気がするから。
兄様に支えられながら、今にも崩れ落ちそうな神殿に足を踏み入れる。
神殿の中はほこりっぽく、木でできていた礼拝用の椅子は虫に食われていて、すぐそばを通っただけで崩れ落ちてしまうくらいにぼろぼろだった。
「聖女様!こっちです。こっちにご神体が残ってます」
大きく手を振るシャルル王子のもとに近づくと、ますますあの嫌な感じが大きくなった。
一歩一歩が、まるで足に大きな鉄の弾でもぶら下げているかのように重い。
「これは……剣?」
シャルル王子が勝手に開けたらしい豪奢で立派な箱に入っていたのは、一振りの美しい剣だった。まるで夜闇を溶かしてコーティングしたかのように、まっ黒で、明かりもないのにぼんやり光っている。
「箱には、古代語で『トリアスの神剣』と刻まれていました」
「それだけか? 他には何も書かれていなかったか?」
「あと、『神の許可なく勝手にこの剣に触れし者は呪われる』とも書いてましたね」
「…………お前」
「ああ!そんな引いた目で見ないでください、お兄様! 私は一応この剣に触っていませんから! 箱を開けただけですから!」
兄様とシャルル王子が言い合いしている間、私はずっとトリアスの神剣を眺めていた。
先ほどまでとは比にならないくらいの汗がだらだらとこめかみの辺りを濡らして、息が苦しくなった。
間違いない。私のあの「嫌な感じ」の原因は、この剣だ。
【災厄の魔女の呪い】みたいに黒い霧になって見えたりはしないけど、この剣から【災厄の魔女】と同じ……いや、もしかしたらそれ以上の力が伝わってくる。
「……兄様。シャルル王子。少しこの剣から離れてもらってもいいですか。絶対にこの剣には触れないで」
私の言葉に従って、兄様やシャルル王子が距離を置いたのを確かめてから、一人剣に向き直る。
「私の力でこの剣の持つ力を封印できないか……試してみます」
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