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連載2
決戦の時16
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ルシトリアには、混沌の神であるトリアスを排除する理由はあっても、秩序の神ルトーを排除する理由はないはずだ。
聖女を矢面に立たせたいのだとしても、聖女に力を与えた神として、聖女信仰と抱き合わせで民に信仰させればよかっただけなのに、何故ルトーまで消してしまったのだろう。
私の問いかけに、予言者は本心が分からない作り物のような表情で微笑んだ。
「ルトー自身が望んだからですよ」
「ルトーが望んだ?」
「はい。トリアスとルトーは兄弟神で対存在。片方が滅びない限り、もう片方も存在し続けます。ルトーはトリアスを封じるために、自ら民に忘れられることを望んだのです」
微笑む幼い予言者の姿は、ゆっくりと老人のそれに変わっていく。
「さあ、これで私が人によって作られた神に知っていることはおしまいです。満足していただけましたか?」
:……これは、明らかに話を終わらせたがっているな。
予言者を私ができる精一杯強い眼差しで睨みつけてみたが、予言者は好好爺然で微笑みながら、ひげを撫でるばかりだった。
多分私が何を質問してもまともに答えてくれる気はないだろう。
「……わかりました。帰ります」
「あ、聖女様。お待ちください」
一瞬で青年姿にもどった予言者が、背中を向けて去ろうとした私の手を取った。
「あなたがセーヌヴェットに向かう前に差し上げたいものがあるんです。左手をお貸しください」
私が了承する前に、予言者は既に勝手に私の左手を手に取っていた。
予言者が手をかざした瞬間、温かいのか冷たいのかよく分からない不思議な感覚が、左手の薬指を包みこむ。
「これは……指輪?」
感覚が治まるなり、左手の薬指にいつの間にかはまっていたシンプルなデザインの銀の指輪を掲げてみせると、予言者は満足そうに目を細めた。
「はい。私の力で作った、特別な指輪です。もしあなたがセーヌヴェットで命の危機に瀕した場合、自動的にこの聖堂に転移する魔法がかかっています」
「ちょ、ちょっと待ってください! その場合転移されるのは私だけってことですよね?」
「はい。もちろん」
「なら、要りません! 返します!」
私が命の危機に瀕するような状況なら、きっと同行している兄様だって同じ状況なはずだ。
それなのに兄様だけを置いて自分だけここに転移されるなんて絶対にごめんだ。
「あれ……はずれない?」
聖女を矢面に立たせたいのだとしても、聖女に力を与えた神として、聖女信仰と抱き合わせで民に信仰させればよかっただけなのに、何故ルトーまで消してしまったのだろう。
私の問いかけに、予言者は本心が分からない作り物のような表情で微笑んだ。
「ルトー自身が望んだからですよ」
「ルトーが望んだ?」
「はい。トリアスとルトーは兄弟神で対存在。片方が滅びない限り、もう片方も存在し続けます。ルトーはトリアスを封じるために、自ら民に忘れられることを望んだのです」
微笑む幼い予言者の姿は、ゆっくりと老人のそれに変わっていく。
「さあ、これで私が人によって作られた神に知っていることはおしまいです。満足していただけましたか?」
:……これは、明らかに話を終わらせたがっているな。
予言者を私ができる精一杯強い眼差しで睨みつけてみたが、予言者は好好爺然で微笑みながら、ひげを撫でるばかりだった。
多分私が何を質問してもまともに答えてくれる気はないだろう。
「……わかりました。帰ります」
「あ、聖女様。お待ちください」
一瞬で青年姿にもどった予言者が、背中を向けて去ろうとした私の手を取った。
「あなたがセーヌヴェットに向かう前に差し上げたいものがあるんです。左手をお貸しください」
私が了承する前に、予言者は既に勝手に私の左手を手に取っていた。
予言者が手をかざした瞬間、温かいのか冷たいのかよく分からない不思議な感覚が、左手の薬指を包みこむ。
「これは……指輪?」
感覚が治まるなり、左手の薬指にいつの間にかはまっていたシンプルなデザインの銀の指輪を掲げてみせると、予言者は満足そうに目を細めた。
「はい。私の力で作った、特別な指輪です。もしあなたがセーヌヴェットで命の危機に瀕した場合、自動的にこの聖堂に転移する魔法がかかっています」
「ちょ、ちょっと待ってください! その場合転移されるのは私だけってことですよね?」
「はい。もちろん」
「なら、要りません! 返します!」
私が命の危機に瀕するような状況なら、きっと同行している兄様だって同じ状況なはずだ。
それなのに兄様だけを置いて自分だけここに転移されるなんて絶対にごめんだ。
「あれ……はずれない?」
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