処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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連載2

神との戦い24

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「どうしてっ……兄様、どうしてっ!」

「なんだ。ディアナ。俺を信じてくれるんじゃなかったのか?」

「っそれとこれとは話が違うっ!!」

 兄様を信じた結果、裏切られて傷つくのが私なら、そんな代償はいくらでも受け入れられる。
 でも、その代償が兄様自身なら、話は別だ。
 その原因が私にあるのならば、よけいに。

「取り消して、兄様っ! 今すぐ契約を取り消してよっ!」

「神の名のもとで行われた契約の時点で、取り消しなんかできるはずがないだろ。できたとしても、取り消すつもりなんかないしな」

 半泣きで訴える私の言葉をあっさり否定した兄様は、剝き身の【黎明】を肩に担いで、予言者に向き直る。

「ーーそれじゃあ、賭けを始めようか。お前の神体を一発で壊せばいいんだったよな」

 兄様のその言葉を聞くなり、予言者は心底おかしそうにお腹を抱えて笑い出した。

「まさか本当に契約をするなんて、あなたは本当、頭がお花畑の愚かものですね! 当代聖女様の言葉を素直に聞き入れて、一人脱出してればよかったものを!」

 こみ上げる笑いを堪えるかのように、くつくつと喉を鳴らしながら、予言者はどこか芝居がかった仕草で両手を広げた。

「さあ、チャンスは一度だけです。神体が隠されていると思った場所に向かって剣を振りなさい。何なら、私に直接剣を振っていただいても構いませんよ?  あなたがそれで私を殺せる自信があるのならば」 

 兄様は、馬鹿にしたような表情の予言者を冷めた表情で見ながら、少しだけ黙り込んだ。

「……一つだけ確認しても良いか」

「はい。何なりと。答えるかどうかは質問と私の気分次第ですが」

「お前は……初代聖女を愛していたんだよな?」

 予言者の顔から、一瞬にして笑みが消えた。

「……だとしたら何だって言うんです」

「何だもかんだもない。俺の質問に答えてくれ」

「あなたの質問に答える義務はさらさらありませんが、まあいいでしょう。……当然愛してましたよ。彼女が亡くなった後も、再び会うことを切望し、当代聖女を殺そうとするくらいに」

「なら、答えは簡単だ」

 そのままつかつかと予言者の脇を通り過ぎた兄様は、後ろにいる予言者の反応を確かめることもせずに、迷いなく【黎明】を振りかぶる。

「お前が心から初代聖女を愛していたならばーー神体を隠すのはここしかないだろう」

 そしてそのまま目の前にある初代聖女の像に向かって、まっすぐ振り下ろしたのだった。
 





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