処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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連載2

幸せの条件6

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「……どうして諦める必要があるの?」

「どうしても何もないだろ……俺はお前の兄なんだぞ」

 兄様は、こめかみの辺りを押さえながらため息を吐いた。

「俺は最初から本当の兄妹じゃないことを知っていたけど、お前はそうじゃない。お前を傷つけるだけだと思っていたから、本当のことは伝えるつもりはなかったし、本当のことを伝えたところで何も変わらないと思ってた。ずっと兄だと思っていた男を、本当はいとこだと知ったところで、簡単に異性だなんて思えるわけがないだろう?」

「…………」

「だから、俺はディアナが成長するに従ってますます強くなっていく思いを、拗らせた兄妹愛の延長だと思おうとした。町に行って他の女の子と付き合えば、忘れられると、ただの家族愛だと割り切れると信じたかった」

 兄様は痛みに耐えるかのように目を伏せてから、ゆっくり首を横に振って自嘲の笑みを浮かべた。

「ーーでも無理だった。ディアナ以上に大切に想える相手なんかいない。誰といても、ディアナの顔がちらついて、すぐにでもディアナのいる家に帰りたかった。こんな気持ちで付き合ってたなら、相手に失礼だからすぐ別れたよ。結局全て無駄なあがきだった」

「っなら、どうして……」

 ならどうして、兄様は私が妹以上の存在になろうとすることを拒絶するんだろう。
 他に私以上に大切な存在がいないというなら、受け入れて欲しい。
 兄様も本当はそれを望んでいるというのなら。

「俺は色々な女の子と関わったうえで、結論をだした。でも、お前はそうじゃない」

「え?」

「お前は俺以外の同世代の男のことを知らない。せいぜいシャルル王子くらいか? お前はずっと家族しかいない狭い世界で生きてきたから、外の世界を知らないんだ」

「そんなこと……」

「あるだろう? 俺はーーディアナが俺を選んだ後、外の世界を知って後悔するのが怖い」

 震えた声で告げられた言葉は、あまりにも見当違いなもので、思わず絶句した。

「俺は俺自身をよく知っている。お前の前では良い兄でいようと色々と格好つけてはきたが、結局のところ自分の復讐心に囚われるあまり、お前を守ることを忘れるような矮小な男だ。……ディアナの隣にいるのにはふさわしくない」

 ……いや、兄様何を言っているの?
 自分のことよく知っているって言うけど、私からすれば全然わかってないよ。

「俺を選んだ後に、ディアナは俺に幻滅するかもしれない。他の男の方がよかったと思うかもしれない。……でも、そうなっても俺は絶対に、お前を離せない。みっともなくすがって、無理やり縛りつけようとするだろう」
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