悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!

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呪いの行方①

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少し時間が遡る──

シオンが豪運のスキルを手に入れてしばらく経った頃である。

「クソッ!どうして急に上手く行かなくなった!今までは魔薬を与えて傲慢になり評価が下がっていたのに!」

ライトの異母兄弟である1歳年下のクロウは憤っていた。目障りな正妃から産まれたライトを陥れて、自分が王太子になる野望に陰りが出てきたからだ。

「あの令嬢に叩きのめされて決定的な失態をしたはずなのに、その後から魔薬の飴をやっても効果が無くなった!どういうことだ?」

クロウは原因がわからず苛立っていた。自室では微笑みの王子の仮面が剥がれていた。

「せっかくアークモン侯爵家の後ろ楯を得たと言うのに、最近のライトは前にも増して勉学、剣術の訓練に身を入れていらしいな。このまま成長されると困るぞ」

部屋の中をウロウロと落ち着きなく歩いていると、窓を叩く音が聞こえた。

「なんだ?鳥か?」

王城の上層にある部屋に来れる者は限られる。無視しようとしたが無意識に興味を懐き、カーテンを開けた。

「な、なんだ!?」

窓の外には黒いスライムのような物が張り付いていた。クロウは慌てて後ろに下がり、誰かを呼ぼうとしたが──

『待て!貴様に話がある』

!?

「スライムが喋った!?」
『クククッ、スライムか…………良い感じに濁った魂に呼ばれて来てみれば、この国の王子とは都合がいいぞ』

不気味なスライムは、ズズズッ窓の隙間から部屋に入ってきた。

「待て!それ以上近付けば人を呼ぶぞ!」

警戒心を露わにしてスライムに警告した。

『まぁ良い。このままで話そう。貴様、力が欲しくないか?』

それは悪魔との契約であった。

「貴様は何者だ!知らぬ相手と契約など出来るか!」
『まぁ確かにな。私はこの世界ではない異世界の(邪)神であった者の成れの果てよ』

!?

「神だと?笑わせるな。この世に神などいるものか!神が居た所で、欲しい物は全て自分の力で手に入れなければならない。そんな神など、居ても居なくても一緒だ」

クロウの言葉に邪神は心の底から愉快そうに笑った。

『クハハハッ!素晴らしい回答だな。居ても居なくとも同じとはな』

「それより成れの果てとはどういう事だ?」

純粋な好奇心で訪ねてしまった。

『神の世界にも戦争があるのだよ。我は情けなく負けた敗者であり、死の間際に現世に残った力(呪い)の残滓である』

「ふっ、負けた神などに興味はない!さっさと消え去れ!」
『まぁそう言うな。このままでは貴様の野望は達成できないだろう。お前の兄は毒と呪いを無効化する魔道具を身に着けたようだが?そのせいで、すでに貴様が魔薬を渡していたこともバレているだろうな』

クロウは驚いた顔をして目の前のスライムを凝視した。

「貴様…………どうしてその事を!いや、その前にライトが毒を無効化する魔道具を身に着けただと?」

目の前のスライムの言う事が正しければ、最近のライトの事も納得できる。
契約は一考する価値があるか?

『クハハハッ!どうする?すでに貴様の母も監視が付いておるみたいだぞ?下手に行動すれば即座に捕まるだろう。それに我と契約すれば、一部とはいえ(邪)神の力が行使できるようになるぞ?無論、魔力も劇的に上がり上級魔法も使えるようになるだろう。どうだ?』

邪神の提案はクロウには魅力的なものであった。



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