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第2章 無限の力
見つからない手がかり
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実がいなくなってから、四日ばかりが過ぎた。
未だに、実が帰ってきたというような報告は全くない。
桜理が言うとおり、相手は徹底的に実の逃げ道を絶っているのかもしれない。
ただ、桜理が今も普通に過ごせていることから、実質的に実の命は保障されていることになる。
無事でいてくれているといいのだが……
「拓也お兄ちゃん。実、大丈夫かなぁ?」
沈黙が広がっている部屋で、ユエが琥珀のペンダントを握り締めながら不安げに呟いた。
その言葉に桜理が怯えたように肩を揺らしたのを視界の端で見つつ、拓也は困ったように笑ってユエの頭をなでた。
「きっと大丈夫だよ。」
表面では穏やかさを保ちつつも、拓也の心の内は悶々としていた。
(尚希の奴、どこ行ってんだ……)
実もさることながら、確認したいことがあると言って出ていってしまった尚希も、未だに帰ってきていないのだ。
確かに時間がかかるかもしれないと言っていたが、ここまでかかるなんて聞いていない。
「………」
拓也は、向かいでうつむいている桜理を見つめる。
桜理の様子は、毎日こんな感じだ。
主がこんなに落ち込んでいるということもあって、他の世話役や守衛たちも控えめになってしまい、屋敷全体は火が消えたような重い空気に満ちていた。
拓也は思わず息をつく。
実のことに関しては自分もやきもきしているので、桜理に気落ちするなというのは酷な話だと思う。
だが、この屋敷の空気に飲まれて、自分自身もそれなりに疲弊してきているというのが本音だ。
鼻につく香りだってよろしくない。
「ごめんなさい。私のせいで……」
拓也の溜め息に含まれた疲労を読み取ったのか、桜理が沈んだ声でそう言った。
「だから、桜理のせいじゃないって。大丈夫だから、気にするなよ。」
もう何度目のやり取りだろうか。
決まってこの後は、気まずげな沈黙が満ちるだけ。
だが、今日は少し違った。
「……この後、どうすればいいのかしら。」
今までは黙るか謝るかのどちらかだった桜理が、ふいにそんなことを言ってきた。
そしてそれは、ここ最近自分もずっと考えていることだった。
「おれは、今すぐにでも実を助けに行きたいと思ってる。でも……」
大きく息を吐き出して、拓也はソファーの背もたれに体を預ける。
「一昨日、桜理の話と記憶を元に、桜理が連れていかれたっていう場所にこっそり行ってみたんだ。でも、そこはすでに人が全くいない状態だったよ。多分、実を捕まえてすぐに別の場所に移動したんだろうな。手がかりを探したけど、人がいた痕跡が綺麗さっぱり消されてたわ。」
話しながら、調査に向かった時のことを思い返す。
あそこは、人の痕跡どころか実の香りすらひどく希薄で、それを追うには限界があった。
追っ手がかからないよう、細心の注意を払って移動したのだろう。
それに、実の香りがあそこまで消されているということは、相手の仲間に魔法が使える人間がいるのかもしれない。
「ぼくも、拓也に頼んで一回タリオンに戻ったんだけどさ……」
次に口を開いたのは、ユエの膝の上に座っているドラードだ。
「実のおじいちゃんの家を守ってるハエルなら、血の繋がりで実を捜せないかと思って。ハエルも真っ青になって色々と試してくれたみたいなんだけど、結局何も分からなかったって言ってたよ。ミスったなぁ…。こんなことになるんだったら、ユエと契約した時に実との契約を切るんじゃなかったよ……」
ドラードは、しゅんとうなだれる。
その歯痒さには同情しかないので、拓也は「気にするな。」と告げて、ドラードの頭を軽く叩いてやることしかできなかった。
拓也とドラードの双方から話を聞き、桜理はそっと息をつく。
「じゃあ、実の居場所は簡単には割り出せないのね。」
「そうだな……」
桜理にそう答えながら、拓也は難しそうに眉を寄せた。
実の居場所が分からない以上、まずはその手がかりを探すしかないのだが、それすらもどこから手をつけていいのか判断しかねる状況だった。
闇雲に探って相手にそれを勘付かれたら、実をまた別の場所へ移されてしまうかもしれない。
「何か、いい方法があれば……」
もどかしさに奥歯を噛み締めた、その時―――
「諦めるのはまだ早いぞ。」
ふと、第三者の声が飛び込んできた。
未だに、実が帰ってきたというような報告は全くない。
桜理が言うとおり、相手は徹底的に実の逃げ道を絶っているのかもしれない。
ただ、桜理が今も普通に過ごせていることから、実質的に実の命は保障されていることになる。
無事でいてくれているといいのだが……
「拓也お兄ちゃん。実、大丈夫かなぁ?」
沈黙が広がっている部屋で、ユエが琥珀のペンダントを握り締めながら不安げに呟いた。
その言葉に桜理が怯えたように肩を揺らしたのを視界の端で見つつ、拓也は困ったように笑ってユエの頭をなでた。
「きっと大丈夫だよ。」
表面では穏やかさを保ちつつも、拓也の心の内は悶々としていた。
(尚希の奴、どこ行ってんだ……)
実もさることながら、確認したいことがあると言って出ていってしまった尚希も、未だに帰ってきていないのだ。
確かに時間がかかるかもしれないと言っていたが、ここまでかかるなんて聞いていない。
「………」
拓也は、向かいでうつむいている桜理を見つめる。
桜理の様子は、毎日こんな感じだ。
主がこんなに落ち込んでいるということもあって、他の世話役や守衛たちも控えめになってしまい、屋敷全体は火が消えたような重い空気に満ちていた。
拓也は思わず息をつく。
実のことに関しては自分もやきもきしているので、桜理に気落ちするなというのは酷な話だと思う。
だが、この屋敷の空気に飲まれて、自分自身もそれなりに疲弊してきているというのが本音だ。
鼻につく香りだってよろしくない。
「ごめんなさい。私のせいで……」
拓也の溜め息に含まれた疲労を読み取ったのか、桜理が沈んだ声でそう言った。
「だから、桜理のせいじゃないって。大丈夫だから、気にするなよ。」
もう何度目のやり取りだろうか。
決まってこの後は、気まずげな沈黙が満ちるだけ。
だが、今日は少し違った。
「……この後、どうすればいいのかしら。」
今までは黙るか謝るかのどちらかだった桜理が、ふいにそんなことを言ってきた。
そしてそれは、ここ最近自分もずっと考えていることだった。
「おれは、今すぐにでも実を助けに行きたいと思ってる。でも……」
大きく息を吐き出して、拓也はソファーの背もたれに体を預ける。
「一昨日、桜理の話と記憶を元に、桜理が連れていかれたっていう場所にこっそり行ってみたんだ。でも、そこはすでに人が全くいない状態だったよ。多分、実を捕まえてすぐに別の場所に移動したんだろうな。手がかりを探したけど、人がいた痕跡が綺麗さっぱり消されてたわ。」
話しながら、調査に向かった時のことを思い返す。
あそこは、人の痕跡どころか実の香りすらひどく希薄で、それを追うには限界があった。
追っ手がかからないよう、細心の注意を払って移動したのだろう。
それに、実の香りがあそこまで消されているということは、相手の仲間に魔法が使える人間がいるのかもしれない。
「ぼくも、拓也に頼んで一回タリオンに戻ったんだけどさ……」
次に口を開いたのは、ユエの膝の上に座っているドラードだ。
「実のおじいちゃんの家を守ってるハエルなら、血の繋がりで実を捜せないかと思って。ハエルも真っ青になって色々と試してくれたみたいなんだけど、結局何も分からなかったって言ってたよ。ミスったなぁ…。こんなことになるんだったら、ユエと契約した時に実との契約を切るんじゃなかったよ……」
ドラードは、しゅんとうなだれる。
その歯痒さには同情しかないので、拓也は「気にするな。」と告げて、ドラードの頭を軽く叩いてやることしかできなかった。
拓也とドラードの双方から話を聞き、桜理はそっと息をつく。
「じゃあ、実の居場所は簡単には割り出せないのね。」
「そうだな……」
桜理にそう答えながら、拓也は難しそうに眉を寄せた。
実の居場所が分からない以上、まずはその手がかりを探すしかないのだが、それすらもどこから手をつけていいのか判断しかねる状況だった。
闇雲に探って相手にそれを勘付かれたら、実をまた別の場所へ移されてしまうかもしれない。
「何か、いい方法があれば……」
もどかしさに奥歯を噛み締めた、その時―――
「諦めるのはまだ早いぞ。」
ふと、第三者の声が飛び込んできた。
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