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第1章 ウェールの民
もう一人の指揮者
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意外に思ったのだが、岩の中に作られた居住区には階段があった。
話を聞くところによると、まだ上手く飛べない子供のために必要なのだそうだ。
また、およそ百年に一度行われる長を決める儀式の際には、真の意志の強さを確かめるために翼の使用が禁止され、長を目指す者は谷底から階段で最上階を目指すらしい。
固い岩の中にこんなに複雑な住居空間を作るとは、ウェールの民の技術力は相当なものなのかもしれない。
そんなことを思いながら階段を下っていると、二階ほど下りたところで下に待ち構えている人物がいるのが見えた。
「おや、これはヴィオル様。いかがなされましたか?」
クルオルは立ち止まると、待っていた男性にそう訊ねる。
「先ほど、お前と一緒に戻ってきた者たちからの報告を聞いてな。ここで待っていた。」
「そうでしたか。お待たせして申し訳ありません。」
クルオルは頭を下げて詫び、次に実たちへと視線を向ける。
「先ほども、お話には出ましたね。こちらは、ノルン様の兄君であるヴィオル様です。外へ出てしまう私に代わって、ノルン様捜索の指揮を執っておられます。」
クルオルの紹介が終わったタイミングで、実たちは軽い会釈をする。
肩ほどまで伸びる、流れるようにまっすぐな金髪。
左目は長い前髪でほとんど隠れ、切れ長の赤い右目だけがこちらを見据えている。
その瞳と視線は、猛禽類を思わせるように鋭い。
なんとなく、あまりいい印象を持てない男性だ。
クルオルと対面した時とは明らかに違う、もやもやとした気分。
それを気取られないように、実は引きつりそうになる口元をしっかりと引き結んだ。
しばし無言で実たちを眺めていたヴィオルだったが、実たちの表情に困惑が浮かぶと、すぐに目を閉じて頭を下げた。
「この度は私たちの問題に巻き込んでしまい、申し訳ないと思っています。弟に代わり、謝罪します。」
「あ……いや……」
予想に反して下手に出られ、実は少しだけたじろぐ。
「こんな時間ではありますが、お時間をいただけますか? 事態は急を要するので、少しでも話し合っておきたい。軽食を用意させています。」
返事を聞くこともなく実たちに背を向けたヴィオルの中には、断られるという展開は用意されていないらしい。
弟の失踪に、気が逸っているのだろうか。
頭の片隅でそう思いながら、ヴィオルとクルオルの後ろに続く実だった。
話を聞くところによると、まだ上手く飛べない子供のために必要なのだそうだ。
また、およそ百年に一度行われる長を決める儀式の際には、真の意志の強さを確かめるために翼の使用が禁止され、長を目指す者は谷底から階段で最上階を目指すらしい。
固い岩の中にこんなに複雑な住居空間を作るとは、ウェールの民の技術力は相当なものなのかもしれない。
そんなことを思いながら階段を下っていると、二階ほど下りたところで下に待ち構えている人物がいるのが見えた。
「おや、これはヴィオル様。いかがなされましたか?」
クルオルは立ち止まると、待っていた男性にそう訊ねる。
「先ほど、お前と一緒に戻ってきた者たちからの報告を聞いてな。ここで待っていた。」
「そうでしたか。お待たせして申し訳ありません。」
クルオルは頭を下げて詫び、次に実たちへと視線を向ける。
「先ほども、お話には出ましたね。こちらは、ノルン様の兄君であるヴィオル様です。外へ出てしまう私に代わって、ノルン様捜索の指揮を執っておられます。」
クルオルの紹介が終わったタイミングで、実たちは軽い会釈をする。
肩ほどまで伸びる、流れるようにまっすぐな金髪。
左目は長い前髪でほとんど隠れ、切れ長の赤い右目だけがこちらを見据えている。
その瞳と視線は、猛禽類を思わせるように鋭い。
なんとなく、あまりいい印象を持てない男性だ。
クルオルと対面した時とは明らかに違う、もやもやとした気分。
それを気取られないように、実は引きつりそうになる口元をしっかりと引き結んだ。
しばし無言で実たちを眺めていたヴィオルだったが、実たちの表情に困惑が浮かぶと、すぐに目を閉じて頭を下げた。
「この度は私たちの問題に巻き込んでしまい、申し訳ないと思っています。弟に代わり、謝罪します。」
「あ……いや……」
予想に反して下手に出られ、実は少しだけたじろぐ。
「こんな時間ではありますが、お時間をいただけますか? 事態は急を要するので、少しでも話し合っておきたい。軽食を用意させています。」
返事を聞くこともなく実たちに背を向けたヴィオルの中には、断られるという展開は用意されていないらしい。
弟の失踪に、気が逸っているのだろうか。
頭の片隅でそう思いながら、ヴィオルとクルオルの後ろに続く実だった。
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