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第2章 声
気疲れマックス
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それからしばし。
「皆様、本当にお似合いですわ。」
満足げに、女性たちは頷き合う。
「………」
「………」
一体、どれだけの時間が流れたのだろう。
気疲れがピークに達して、もはや言葉を紡ぐ余裕もない実と拓也。
そんな二人に対し―――
「ありがとう。助かったよ。」
尚希は一人だけ爽やかな笑みを浮かべて、女性たちに向かい合っていた。
「申し訳ございません。こんなにお時間を取らせるつもりはありませんでしたのに……」
「それだけ、あなたたちの仕事への熱意が強いってことでしょう。それはすばらしいことです。この服がオレたちに似合っているということは、あなたたちの目が確かだってことですよ。だけど個人的には、この服はあなたたちが着た方がもっと魅力的な気がするんだけど。」
「まあ、尚希様ったら。そんなにお褒めいただいても、新しい服しか出てきませんことよ!」
女性たちは頬をほんのりと赤らめながらも、嬉しそうに笑った。
「それにしても実様、本当にこれはつけませんの?」
言う女性の手には薔薇の髪飾りが。
それを見た実は、静かに首を振る。
「お願いだから、それだけは…。なんか、頭でじゃらじゃらしてるのが嫌で。」
我慢するのは、服の動きにくさだけで勘弁してほしい。
そんなものをつけたって、どうせ邪魔くさくて外してしまうのが目に見えている。
「むう…。服とセットのデザインだから、絶対に似合いますのに。」
残念そうにしながらも、これ以上は食い下がる気はないらしい。
女性は髪飾りを箱にしまい、代わりに別の何かを取り出した。
「そうでしたわ。最後にこれを。」
すっと女性の手が伸びてきて、耳に何かをつけていった。
どうやら、イヤリングだったようだ。
拓也と尚希にも、同じものがつけられる。
蓮の花をイメージしたような、淡い桃色の石でできた飾りだ。
「これは、長様の関係者であることを示すものですわ。この立ち入り禁止階層に入るためのものですので、できる限り外さないでくださいませ。」
説明しながら笑いかけてくる女性の耳にも、同じデザインの飾りが光っている。
そしてこれが本当に最後の仕事だったのか、女性たちは一礼して部屋を出ていった。
女性たちの気配が遠ざかると、室内には驚くほどの静寂が満ちる。
「……はあぁぁ。」
ふと、その静寂を拓也の盛大な溜め息が壊した。
拓也は思い切り脱力して、ずるずるとソファーの背もたれに体を沈めていく。
「つ、疲れた……」
「まったくだよ。」
拓也に同意する実に至っては、すでにベッドに突っ伏している状態だ。
「まあまあ。あの人たちも、熱が入っただけだって。」
尚希は苦笑する。
「つーかさ、なんでお前は平気そうなわけ?」
「オレ? オレは……」
拓也に半目で問われ、尚希は何かを思い返すように虚空を見上げる。
「まあ、オレは立場上、何度かああいう目に遭ってるからな。」
どこに行っても、女性のパワフルさは変わらないものだ。
尚希はそう言って、くすりと笑った。
その時、また部屋を仕切る布が揺れる。
「皆様お揃いでしたか。そろそろ、お食事にしませんか?」
入ってきたクルオルは、実たちの姿に何も言うこともなく用件だけを告げた。
そんなクルオルを見るなり、実はすぐに思い至る。
「ねぇ……わざと止めに入らなかったよね?」
部屋の周囲に誰かの気配があることには、ずっと前から気付いていたのだ。
さすがに誰のものとまでは分からなかったが、クルオルが入ってきた瞬間にピンときた。
「ああ、ばれてしまいましたか。」
特に隠す様子もなく、クルオルはあっさりと認めた。
「いつもはノルン様が適度に彼女たちの相手をしているのですが、瞑想の時期は彼女たちもストレス発散の仕事ができないようで。」
「……俺らって、客なんだよね?」
普通、客人を部下の鬱憤のはけ口にします?
色々と突っ込みたいことはあるのだが、あっさりとしすぎたクルオルの態度に文句を言う気も失せてしまった。
仕方なく、ここは何も言わずにクルオルの提案に乗っかってやることにしておいた。
「皆様、本当にお似合いですわ。」
満足げに、女性たちは頷き合う。
「………」
「………」
一体、どれだけの時間が流れたのだろう。
気疲れがピークに達して、もはや言葉を紡ぐ余裕もない実と拓也。
そんな二人に対し―――
「ありがとう。助かったよ。」
尚希は一人だけ爽やかな笑みを浮かべて、女性たちに向かい合っていた。
「申し訳ございません。こんなにお時間を取らせるつもりはありませんでしたのに……」
「それだけ、あなたたちの仕事への熱意が強いってことでしょう。それはすばらしいことです。この服がオレたちに似合っているということは、あなたたちの目が確かだってことですよ。だけど個人的には、この服はあなたたちが着た方がもっと魅力的な気がするんだけど。」
「まあ、尚希様ったら。そんなにお褒めいただいても、新しい服しか出てきませんことよ!」
女性たちは頬をほんのりと赤らめながらも、嬉しそうに笑った。
「それにしても実様、本当にこれはつけませんの?」
言う女性の手には薔薇の髪飾りが。
それを見た実は、静かに首を振る。
「お願いだから、それだけは…。なんか、頭でじゃらじゃらしてるのが嫌で。」
我慢するのは、服の動きにくさだけで勘弁してほしい。
そんなものをつけたって、どうせ邪魔くさくて外してしまうのが目に見えている。
「むう…。服とセットのデザインだから、絶対に似合いますのに。」
残念そうにしながらも、これ以上は食い下がる気はないらしい。
女性は髪飾りを箱にしまい、代わりに別の何かを取り出した。
「そうでしたわ。最後にこれを。」
すっと女性の手が伸びてきて、耳に何かをつけていった。
どうやら、イヤリングだったようだ。
拓也と尚希にも、同じものがつけられる。
蓮の花をイメージしたような、淡い桃色の石でできた飾りだ。
「これは、長様の関係者であることを示すものですわ。この立ち入り禁止階層に入るためのものですので、できる限り外さないでくださいませ。」
説明しながら笑いかけてくる女性の耳にも、同じデザインの飾りが光っている。
そしてこれが本当に最後の仕事だったのか、女性たちは一礼して部屋を出ていった。
女性たちの気配が遠ざかると、室内には驚くほどの静寂が満ちる。
「……はあぁぁ。」
ふと、その静寂を拓也の盛大な溜め息が壊した。
拓也は思い切り脱力して、ずるずるとソファーの背もたれに体を沈めていく。
「つ、疲れた……」
「まったくだよ。」
拓也に同意する実に至っては、すでにベッドに突っ伏している状態だ。
「まあまあ。あの人たちも、熱が入っただけだって。」
尚希は苦笑する。
「つーかさ、なんでお前は平気そうなわけ?」
「オレ? オレは……」
拓也に半目で問われ、尚希は何かを思い返すように虚空を見上げる。
「まあ、オレは立場上、何度かああいう目に遭ってるからな。」
どこに行っても、女性のパワフルさは変わらないものだ。
尚希はそう言って、くすりと笑った。
その時、また部屋を仕切る布が揺れる。
「皆様お揃いでしたか。そろそろ、お食事にしませんか?」
入ってきたクルオルは、実たちの姿に何も言うこともなく用件だけを告げた。
そんなクルオルを見るなり、実はすぐに思い至る。
「ねぇ……わざと止めに入らなかったよね?」
部屋の周囲に誰かの気配があることには、ずっと前から気付いていたのだ。
さすがに誰のものとまでは分からなかったが、クルオルが入ってきた瞬間にピンときた。
「ああ、ばれてしまいましたか。」
特に隠す様子もなく、クルオルはあっさりと認めた。
「いつもはノルン様が適度に彼女たちの相手をしているのですが、瞑想の時期は彼女たちもストレス発散の仕事ができないようで。」
「……俺らって、客なんだよね?」
普通、客人を部下の鬱憤のはけ口にします?
色々と突っ込みたいことはあるのだが、あっさりとしすぎたクルオルの態度に文句を言う気も失せてしまった。
仕方なく、ここは何も言わずにクルオルの提案に乗っかってやることにしておいた。
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