快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体

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新たな出発

一生付きまとう

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授業中、凜がオレの顔を覗きこみながら心配そうに声をかけた。

「古賀くん、大丈夫?何か顔色悪いけど。おまけに眉間にシワなんか寄せて、何かあったの?」

眉間にシワ…?

そんな険しい顔してたのか、オレは。

「いや、何でもない。ただ眠いから眠気を覚ます為にガマンしてるだけだから」

オレは黒板に書かれている数学の公式をノートに書いた。

「ちゃんと寝てるの?いつも何時に寝てるの?」

「大体12時から1時の間には寝てるけど」

「で、朝は何時に起きてるの?」

「6時ちょい前かな」

「ダメだよ、もう少し早く寝なきゃ。いくら若いっていっても寝不足は良くないんだから」

言われなくても分かってる。

何かとオレの事を心配してるみたいだが、大きなお世話だ。


それよりも、明日は鴨志田の月命日だ。

ちょうど週末だし、墓参りに行ってみよう。

せめて、実母の月命日は線香でもあげに行こう。

授業が終わり、凜がオレにカラオケに行こうと誘った。

「またあの連中と行くならオレは行かないから」

時代錯誤なヤンキー達の話に付き合うつもりはない。

「違うよ~、今日は古賀くんと二人だけで行こうよ?ね?」


二人きり?


「別にいいけど、明日は母親の墓参りに行くから長くは居られないよ」

「そうか、明日お母さんの墓参りなんだ…じゃあ止めとく?」

「いや、少しなら大丈夫。そんなに遅くならなければ問題ないよ」

どうせ一人になっても、行く所は風俗しか無い。

オレたちは学校の近くにあるカラオケボックスへ行った。

「そういえばこの前、古賀くん歌わなかったよね?私、古賀くんの歌聴いてみたいな」

歌か…

オレは数少ないレパートリーの曲を歌った。

相変わらず、サビの部分を外し、声が裏返ってしまう。
それでも凜はオレの歌をちゃんと聴いていた。

「すごーい、この歌難しいんだよ。ちょっと音程外れてたけど、大丈夫だよ」

凜がパチパチと拍手してくれた。

「じゃあ、次は私が歌うね」

凜は慣れたようにマイクを握り、何度も歌った事があるだろう、曲を歌った。

歌い慣れてるせいか、サビやビブラートもしっかりと歌い上げた。

「上手いじゃん。よくカラオケには行くの?」

そうじゃなきゃ、こんなに歌いこなせないはずだ。

「うーん、たまに独カラしたりするかなぁ、何かストレス発散の為に行ったりしてるよ」

「独カラって何?」

「えー、知らないの?お一人様でカラオケに行くことだよ。よく一人でカラオケに来る人多いみたいだよ」

一人でカラオケかよ。空しくならないのか、そんな事して。

「何で一人でカラオケに行くの?誰も聴いてないのに一人で歌ってつまんなくない?」

「そんな事ないよ~、普段歌わない曲とか、この歌を練習するために一人で来るとか、そういう人いっぱいいるんだから」

どうもオレは世間の事には疎いみたいだ。

テレビなんて滅多に見ないし、何の曲が流行ってるのか、何が流行なのかさえ知らない。

第一、そんな余裕すら無かった。


後は凜が1人で何曲も歌い、二時間程、カラオケルームにいた。

帰りは途中まで同じ方向だったので、歩きながら色々と話をした。

仕事の事、学校の事、家庭の事等を。

凜も女子高を中退した後はかなり苦労したらしい。

しかし、そんな面を出さずに明るく振る舞う彼女は、芯が強いのだろう。

オレは他人に自分の事を多く語らない。

知られたくないというのが、本心だ。
育ての母とセックスばかりしてました、何て言えるはずもない。

でも、こうやって人と接するのは1人でいる時に比べればかならマシだ。

というより、これが本来の16才のあるべき行動なのかも知れない。

確かに他人は信じない、恋愛などするつもり等毛頭ない。

だが、表向きとはいえ、人との繋がりはあった方がいいに決まってる。

それなりの人脈を作れば、いざという時に役に立つはずだ。

【クククッ、お前が人脈だ?笑わせんな…お前は一生オレの幻影に苦しむんだよ…何か幸せを感じた時、必ずオレの事を思い出すだろう。もっと苦しめ、苦しむんだよ、お前は!】

頭の中で兄の声がする…

また眉間のシワが1つ増えたような気がした。
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