106 / 189
レンタルボーイ、金持ちの玩具
瓜田という男の存在
しおりを挟む
オレは調子に乗り過ぎた。
仕事をすれば、必ず100万単位の小遣いを貰った。
最初はこんなに貰っていいものかと驚いた。
だが、それに慣れてくるうちにオレの金銭感覚は麻痺していった。
翌日、オーナー所へ行く前に美容室に行った。
ホスト風の茶髪のロン毛を短くカットし、黒く染め直した。
その足でオーナーのマンションに行き、今までの非礼を詫びた。
ブランド物で身を固めた服装も、シルバーアクセサリーも外し、デニムにパーカー、スニーカーという当初のスタイルでリビングのソファーに座っているオーナーに土下座をした。
「この度は大変申し訳ありませんでした。これからは心を入れ替え、真面目に仕事しますので、どうかまたよろしくお願いします!」
オーナーは冷ややかな眼差しでオレを一瞥した。
「まぁ、随分と殊勝な言葉ね。昨日も言ったと思うけど、ペナルティとしてアナタの取り分は当分二割。
そして、お客様からいただいたお小遣いの半分はこっちが貰う。それでいいわね?」
暫くはかなりキツい生活になるが仕方ない、オレにはこれしか生きる道がないのだ。
「はい…分かりました」
「よし。それじゃ、瓜田くん。彼を送ってちょうだい」
「畏まりました」
オレと瓜田はマンションを出て、相手との待ち合わせ場所へ向かった。
車内では重苦しい空気が漂っていた。
「亮輔さん、少しは頭冷やしましたか?」
「はい…オレがバカでした…」
「でも、無理もないですよ。あんなに大金が貰えるんですからね。まぁ、これも勉強ですよ」
温和な表情だ。
ところで、この人は何で運転手なんてしてるのだろうか。
「瓜田さん」
「はい」
「瓜田さんは何で運転手やってるんですか?」
一度聞いてみたかった。
この人は常にオーナーと一緒にいて、オレたち会員の送迎をしている。
一体何処に住んでいるのだろうか?
「う~ん、質問次第では守秘義務があるので。答えられる質問には答えますよ」
「何故、運転手やってるんですか?っていうのは答える事が出来ないのですか?」
「いや、そんな事はありませんよ。私も以前は亮輔さんと同じように、色んな方を相手にしました。
勿論、男女問わずに」
以前はレンタル会員だったのか…
「でも、それが何故、運転手に?」
「そうですねぇ、途中からオーナー専属のレンタル会員になった、とでも言うんでしょうかね。まぁ、それと送迎する人も必要でしたからね。それからは、運転手としてオーナーに仕えてますよ」
オーナー専属…
あのオーナーも女だ。そういう相手が欲しかったんだろうか。
「私は物心ついた時から、親がいなくて祖父母に育てられたんですがね。まぁ、立て続けに他界してしまって、祖父母の知り合いだったオーナーに拾われるような形で、この仕事を手伝ってるうちに、気がついたら運転手やってた、そんな感じですかね」
オーナーが瓜田の祖父母と知り合い?
あのオーナーは一体何者なんだろうか。
「瓜田さん、オーナーは全く自分の名を名乗らないのですが、それは何でですか?」
祖父母と知り合いならばオーナーの名前は知っているはずだ。
「申し訳ありません、それは守秘義務なもので」
「じゃあ、瓜田さんはオーナーの名前を知ってるって事ですか?」
「う~ん、それも微妙な質問ですね~、一応知ってはいますが、果たしてそれが本名なのかどうか。私にも分かりかねますね」
不思議だ…何でそこまでして名前を隠したがるのか。
ただ、この世界は間違いなく裏社会だ。てことはヤクザ者なのか?
「瓜田さん、もう一つお聞きしたいのですが?」
「何でしょうか?」
「オーナーや瓜田さんはヤクザですか?直球な質問で申し訳ないのですが…」
さすがにこれは答えられないだろうな。
「いや~、痛いとこ突いてきますね。はっきり言えば、私やオーナーはカタギの人間ではないですね」
という事は、ヤクザか…
でも、ヤクザ者には見えない程、穏やかな人物だ。
オーナーはともかく、瓜田は爽やかな好青年で、いつもスーツを着ている。
この人がヤクザ?
いわゆる、インテリヤクザなのか?
「真っ当な人間かそうじゃないか。
それは別にヤクザの世界じゃなくても、普通の社会でもいるじゃないですか?
真っ当な生き方をしてないのに、サラリーマンをしてる人もいれば、真っ当な生き方をしてるヤクザな人もいます。
要はその人の考え方次第で真っ当かそうじゃないか、結局は人間性がものを言うんじゃないか。
私はそう思いますね」
その人の人間性か…
オレはどっちなんだろうか。
真っ当ではないだろうな。
となると、オレはヤクザな人間なのか?
「私はどちらかと言えば、グレーな人間です。白にもなれるし、黒にもなれる。その境界線はどこか?と問われると、上手く表現出来ませんが、表の世界でも、裏の世界でも生きていける。多分、オーナーもそうじゃないでしょうかね。
まぁ、改めて聞いたことはないですが」
グレーな存在か…
考えようによっちゃ、どちらにもなれる、厄介な立場な人間なのか。
「でも安心してください。私は至って、ごくフツーの人間ですよ。人間って、正義にもなれるが、悪魔にもなれる。世の中で一番残酷なのは人間ですからね」
何だか深い話だな…
まだオレのような子供には理解出来ない。
人生論というか、何なのか知らないが、この人はまだ、20代半ばぐらいの人だ。
随分と達観した物の見方をする人だ。
そんな人をも、配下にするオーナーって一体…?
「さぁ、着きましたよ。亮輔さん、暫くの間、信用を取り戻すのに時間はかかるでしょうが、これからは誠心誠意、お客様の要求にお応えください。
きっと信頼は回復します」
「はい、ありがとうございます」
オレは初心に戻って、瓜田の言うとおり、信頼を回復させるしかないのだ。
仕事をすれば、必ず100万単位の小遣いを貰った。
最初はこんなに貰っていいものかと驚いた。
だが、それに慣れてくるうちにオレの金銭感覚は麻痺していった。
翌日、オーナー所へ行く前に美容室に行った。
ホスト風の茶髪のロン毛を短くカットし、黒く染め直した。
その足でオーナーのマンションに行き、今までの非礼を詫びた。
ブランド物で身を固めた服装も、シルバーアクセサリーも外し、デニムにパーカー、スニーカーという当初のスタイルでリビングのソファーに座っているオーナーに土下座をした。
「この度は大変申し訳ありませんでした。これからは心を入れ替え、真面目に仕事しますので、どうかまたよろしくお願いします!」
オーナーは冷ややかな眼差しでオレを一瞥した。
「まぁ、随分と殊勝な言葉ね。昨日も言ったと思うけど、ペナルティとしてアナタの取り分は当分二割。
そして、お客様からいただいたお小遣いの半分はこっちが貰う。それでいいわね?」
暫くはかなりキツい生活になるが仕方ない、オレにはこれしか生きる道がないのだ。
「はい…分かりました」
「よし。それじゃ、瓜田くん。彼を送ってちょうだい」
「畏まりました」
オレと瓜田はマンションを出て、相手との待ち合わせ場所へ向かった。
車内では重苦しい空気が漂っていた。
「亮輔さん、少しは頭冷やしましたか?」
「はい…オレがバカでした…」
「でも、無理もないですよ。あんなに大金が貰えるんですからね。まぁ、これも勉強ですよ」
温和な表情だ。
ところで、この人は何で運転手なんてしてるのだろうか。
「瓜田さん」
「はい」
「瓜田さんは何で運転手やってるんですか?」
一度聞いてみたかった。
この人は常にオーナーと一緒にいて、オレたち会員の送迎をしている。
一体何処に住んでいるのだろうか?
「う~ん、質問次第では守秘義務があるので。答えられる質問には答えますよ」
「何故、運転手やってるんですか?っていうのは答える事が出来ないのですか?」
「いや、そんな事はありませんよ。私も以前は亮輔さんと同じように、色んな方を相手にしました。
勿論、男女問わずに」
以前はレンタル会員だったのか…
「でも、それが何故、運転手に?」
「そうですねぇ、途中からオーナー専属のレンタル会員になった、とでも言うんでしょうかね。まぁ、それと送迎する人も必要でしたからね。それからは、運転手としてオーナーに仕えてますよ」
オーナー専属…
あのオーナーも女だ。そういう相手が欲しかったんだろうか。
「私は物心ついた時から、親がいなくて祖父母に育てられたんですがね。まぁ、立て続けに他界してしまって、祖父母の知り合いだったオーナーに拾われるような形で、この仕事を手伝ってるうちに、気がついたら運転手やってた、そんな感じですかね」
オーナーが瓜田の祖父母と知り合い?
あのオーナーは一体何者なんだろうか。
「瓜田さん、オーナーは全く自分の名を名乗らないのですが、それは何でですか?」
祖父母と知り合いならばオーナーの名前は知っているはずだ。
「申し訳ありません、それは守秘義務なもので」
「じゃあ、瓜田さんはオーナーの名前を知ってるって事ですか?」
「う~ん、それも微妙な質問ですね~、一応知ってはいますが、果たしてそれが本名なのかどうか。私にも分かりかねますね」
不思議だ…何でそこまでして名前を隠したがるのか。
ただ、この世界は間違いなく裏社会だ。てことはヤクザ者なのか?
「瓜田さん、もう一つお聞きしたいのですが?」
「何でしょうか?」
「オーナーや瓜田さんはヤクザですか?直球な質問で申し訳ないのですが…」
さすがにこれは答えられないだろうな。
「いや~、痛いとこ突いてきますね。はっきり言えば、私やオーナーはカタギの人間ではないですね」
という事は、ヤクザか…
でも、ヤクザ者には見えない程、穏やかな人物だ。
オーナーはともかく、瓜田は爽やかな好青年で、いつもスーツを着ている。
この人がヤクザ?
いわゆる、インテリヤクザなのか?
「真っ当な人間かそうじゃないか。
それは別にヤクザの世界じゃなくても、普通の社会でもいるじゃないですか?
真っ当な生き方をしてないのに、サラリーマンをしてる人もいれば、真っ当な生き方をしてるヤクザな人もいます。
要はその人の考え方次第で真っ当かそうじゃないか、結局は人間性がものを言うんじゃないか。
私はそう思いますね」
その人の人間性か…
オレはどっちなんだろうか。
真っ当ではないだろうな。
となると、オレはヤクザな人間なのか?
「私はどちらかと言えば、グレーな人間です。白にもなれるし、黒にもなれる。その境界線はどこか?と問われると、上手く表現出来ませんが、表の世界でも、裏の世界でも生きていける。多分、オーナーもそうじゃないでしょうかね。
まぁ、改めて聞いたことはないですが」
グレーな存在か…
考えようによっちゃ、どちらにもなれる、厄介な立場な人間なのか。
「でも安心してください。私は至って、ごくフツーの人間ですよ。人間って、正義にもなれるが、悪魔にもなれる。世の中で一番残酷なのは人間ですからね」
何だか深い話だな…
まだオレのような子供には理解出来ない。
人生論というか、何なのか知らないが、この人はまだ、20代半ばぐらいの人だ。
随分と達観した物の見方をする人だ。
そんな人をも、配下にするオーナーって一体…?
「さぁ、着きましたよ。亮輔さん、暫くの間、信用を取り戻すのに時間はかかるでしょうが、これからは誠心誠意、お客様の要求にお応えください。
きっと信頼は回復します」
「はい、ありがとうございます」
オレは初心に戻って、瓜田の言うとおり、信頼を回復させるしかないのだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる