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顔を変えた過去
命を懸けた頭脳戦
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一方、達也と小島が東南アジアで、売春婦相手に悦楽な時を過ごしている頃、日本では沢渡が会社を仕切っていた。
沢渡は、達也が実に用心深い性格の持ち主故に、社内の至るところに盗聴器が仕掛けてあると判断して、業者に依頼して各部屋をくまなく探し、結果、十数個の盗聴器が発見された。
「やっぱり、仕掛けてあったんですね」
「うむ、これで全部だろう。とにかく、私は新しい会社を一日でも早く軌道に乗せ、今いる社員達を、新たな会社に移すよう、色々と動いている。すまんが、もう少しの辛抱だ」
「副社長…」
沢渡の考えは、千尋が築き上げた会社に見切りをつけ、新たに沢渡が社長として設立した会社を軸として、動いている最中だった。
そして、達也抹殺の為、例の弁護士と手を組んだ。
この弁護士は、高額な報酬を要求するが、依頼された仕事は完璧に遂行する。
それ故に、依頼してくるほとんどの客は、裏社会に通ずる者ばかりだ。
沢渡は達也に伴い、何度かこの弁護士に仕事を依頼していくうちに、親しい間柄になっていった。
互いにただ者ではない、裏社会にも顔が利く者同士、という事で、プライベートでも、酒を酌み交わす程の関係になっていた。
勿論、達也には内緒で。
沢渡は弁護士の名前を知らないし、聞くつもりもない。
弁護士も、沢渡が数多の修羅場を潜り抜けてきた人物だと見抜き、余計な事は一切言わない。
二人で酒を飲み、他愛のない話をしたり、ある時は、全く会話はせずに、カウンターに並んで静かに酒を飲む、という事もある。
それは、お互い何を考えてるのか分かる為、心の中で会話しているようにも感じる。
今日も裏路地にある小さなバーで、二人は並んでスコッチを飲んでいた。
「沢渡さんよ…」
珍しく弁護士から、話を振ってきた。
「ん?どうしました?」
弁護士は葉巻に火を点け、煙を燻らせながら、話を切り出した。
「アンタ、いつまであのバカを放っておくつもりだい?」
達也の事である。
「さぁ、この世の中にも、必殺仕事人みたいな人物がいればいいんですがね」
沢渡は二杯目のスコッチを口にした。
「…ふっ…じゃあ、そろそろ開始かい?」
「…今、海外に旅行に行ってますよ。何を思ったのか、一ヶ月程、東南アジアに旅行するとか言ってましたよ」
「はっ、バカなガキだ。て事は、一ヶ月後、日本に着いてからっ、て事でいいのかな?」
沢渡は弁護士に顔を向け、一言「お願いします。そちらに全て、お任せ致しますので」
そう言って、頭を下げた。
「でもあんなガキ、いつでも社長から引きずり降ろす事は出来たろうに。何故、今までほったらかしにしてたんだい?」
それは、鴨志田との痴態があったからだ。
迂闊な事は出来なかった。
「いつ本性を出すのか。それを待ってましたが、こうも早く、ボロが出るとは思ってませんでしたよ」
「アイツは幼い子供と一緒で、オモチャに夢中になって、遊んで飽きたら壊す。
それで、また新しいオモチャで遊んで、また壊す…その繰り返しだな」
「仰る通りです。子供が悪さしたら、叱ってやるのが大人の役目ですからね」
「…大人の役目か…」
「その時は連絡してくれ。いつでも用意は出来るよう、準備はしておく」
「では、またお伺い致します」
弁護士は店を出た。
沢渡は一人バーに残り、静かにグラスを傾けていた。
「母親に似たのか、それとも、どこかで歪んでしまったのか…」
千尋も達也と一緒で、狂気に満ちた面を持っている。
ある日、いつものようにベッドを共にした際、千尋はとんでもない事を沢渡にお願いした。
「…ねぇ、沢渡さん。今度亮輔も混じえて三人でヤリたいわ、ダメかしら?」
「亮輔くん?何故亮輔くんを?」
「…実はね。私、亮輔とも関係を持ってるの」
「お前は、何を言ってるのか分かってるのか?仮にもお前は亮輔くんの母親だぞ!それを、三人でだと?お前のやってる事は、近親相姦なんだぞ!」
「それがどうしたの?私はヤリたくなったから、亮輔と関係を持ったの…」
「それじゃ亮輔くんは、お前のオモチャじゃないか!」
「でも、不思議と飽きないのよね…あの子と何度も肌を合わせても…だから、沢渡さんさえ良ければ亮輔と一緒にヤッてみない?」
「お前は狂ってる!決して、してはいけない事をしてるんだぞっ!亮輔くんは、お前のオモチャじゃないんだ!」
あの時も、狂気に満ちた妖しい目をしていた。
達也は、千尋の悪い部分の血を引いてしまったのか?
独占欲が強く、本能のままに行動する。
そして、飽きたら粉々になるまで壊す。
いくら19才の未成年とはいえ、達也はあまりにも踏み込んでは行けない領域に入ってしまった。
いずれ、破滅するタイプだろう。
だが、我々大人がそろそろ躾をしなきゃ、オモチャを次々と遊んでは壊していく。
歯止めが効かなくならないうちに、始末するのが一番の方法だ。
千尋が失踪したのも、達也の手によって消された可能性が高い。
その次は亮輔を狙い、最終的には、自分がターゲットにされると予感した。
沢渡と達也、親子程の年が離れた者同士の、命を懸けた頭脳戦が、この時から始まっていたのだ。
沢渡は、達也が実に用心深い性格の持ち主故に、社内の至るところに盗聴器が仕掛けてあると判断して、業者に依頼して各部屋をくまなく探し、結果、十数個の盗聴器が発見された。
「やっぱり、仕掛けてあったんですね」
「うむ、これで全部だろう。とにかく、私は新しい会社を一日でも早く軌道に乗せ、今いる社員達を、新たな会社に移すよう、色々と動いている。すまんが、もう少しの辛抱だ」
「副社長…」
沢渡の考えは、千尋が築き上げた会社に見切りをつけ、新たに沢渡が社長として設立した会社を軸として、動いている最中だった。
そして、達也抹殺の為、例の弁護士と手を組んだ。
この弁護士は、高額な報酬を要求するが、依頼された仕事は完璧に遂行する。
それ故に、依頼してくるほとんどの客は、裏社会に通ずる者ばかりだ。
沢渡は達也に伴い、何度かこの弁護士に仕事を依頼していくうちに、親しい間柄になっていった。
互いにただ者ではない、裏社会にも顔が利く者同士、という事で、プライベートでも、酒を酌み交わす程の関係になっていた。
勿論、達也には内緒で。
沢渡は弁護士の名前を知らないし、聞くつもりもない。
弁護士も、沢渡が数多の修羅場を潜り抜けてきた人物だと見抜き、余計な事は一切言わない。
二人で酒を飲み、他愛のない話をしたり、ある時は、全く会話はせずに、カウンターに並んで静かに酒を飲む、という事もある。
それは、お互い何を考えてるのか分かる為、心の中で会話しているようにも感じる。
今日も裏路地にある小さなバーで、二人は並んでスコッチを飲んでいた。
「沢渡さんよ…」
珍しく弁護士から、話を振ってきた。
「ん?どうしました?」
弁護士は葉巻に火を点け、煙を燻らせながら、話を切り出した。
「アンタ、いつまであのバカを放っておくつもりだい?」
達也の事である。
「さぁ、この世の中にも、必殺仕事人みたいな人物がいればいいんですがね」
沢渡は二杯目のスコッチを口にした。
「…ふっ…じゃあ、そろそろ開始かい?」
「…今、海外に旅行に行ってますよ。何を思ったのか、一ヶ月程、東南アジアに旅行するとか言ってましたよ」
「はっ、バカなガキだ。て事は、一ヶ月後、日本に着いてからっ、て事でいいのかな?」
沢渡は弁護士に顔を向け、一言「お願いします。そちらに全て、お任せ致しますので」
そう言って、頭を下げた。
「でもあんなガキ、いつでも社長から引きずり降ろす事は出来たろうに。何故、今までほったらかしにしてたんだい?」
それは、鴨志田との痴態があったからだ。
迂闊な事は出来なかった。
「いつ本性を出すのか。それを待ってましたが、こうも早く、ボロが出るとは思ってませんでしたよ」
「アイツは幼い子供と一緒で、オモチャに夢中になって、遊んで飽きたら壊す。
それで、また新しいオモチャで遊んで、また壊す…その繰り返しだな」
「仰る通りです。子供が悪さしたら、叱ってやるのが大人の役目ですからね」
「…大人の役目か…」
「その時は連絡してくれ。いつでも用意は出来るよう、準備はしておく」
「では、またお伺い致します」
弁護士は店を出た。
沢渡は一人バーに残り、静かにグラスを傾けていた。
「母親に似たのか、それとも、どこかで歪んでしまったのか…」
千尋も達也と一緒で、狂気に満ちた面を持っている。
ある日、いつものようにベッドを共にした際、千尋はとんでもない事を沢渡にお願いした。
「…ねぇ、沢渡さん。今度亮輔も混じえて三人でヤリたいわ、ダメかしら?」
「亮輔くん?何故亮輔くんを?」
「…実はね。私、亮輔とも関係を持ってるの」
「お前は、何を言ってるのか分かってるのか?仮にもお前は亮輔くんの母親だぞ!それを、三人でだと?お前のやってる事は、近親相姦なんだぞ!」
「それがどうしたの?私はヤリたくなったから、亮輔と関係を持ったの…」
「それじゃ亮輔くんは、お前のオモチャじゃないか!」
「でも、不思議と飽きないのよね…あの子と何度も肌を合わせても…だから、沢渡さんさえ良ければ亮輔と一緒にヤッてみない?」
「お前は狂ってる!決して、してはいけない事をしてるんだぞっ!亮輔くんは、お前のオモチャじゃないんだ!」
あの時も、狂気に満ちた妖しい目をしていた。
達也は、千尋の悪い部分の血を引いてしまったのか?
独占欲が強く、本能のままに行動する。
そして、飽きたら粉々になるまで壊す。
いくら19才の未成年とはいえ、達也はあまりにも踏み込んでは行けない領域に入ってしまった。
いずれ、破滅するタイプだろう。
だが、我々大人がそろそろ躾をしなきゃ、オモチャを次々と遊んでは壊していく。
歯止めが効かなくならないうちに、始末するのが一番の方法だ。
千尋が失踪したのも、達也の手によって消された可能性が高い。
その次は亮輔を狙い、最終的には、自分がターゲットにされると予感した。
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