義父の連れ子から逃れたい。猛勉強して志望校変更したら、家庭内ストーカーになった義弟

東山 庭子

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クリスマス編

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「おはよう愚民ども!!南の婚約者、佐久間蓮が復活しましたーーー!!!♡♡♡♡♡」

蓮に手を引かれて入った教室で、声高に復縁宣言をする蓮の隣で、赤面しながら俯く私……ああ逃げたい……。

「今後も妻の南共々、よろしくお願いしま~~す♡♡♡♡」
「はあ!?何でそうなってんだよッッ!?」
「フハハハハ!!残念だったなぁ横恋慕狙いの竹永ぁぁ~~!!やはり南の夫は俺だけ!!俺以外有り得ない!!俺オンリー!!唯一無二の俺!!ジャストワン俺!!」
「うるせぇぇぇーーーッッ!!!手放したんじゃなかったのかよ!?」
「そう、手放した……手放したら、南の方から来てくれましたぁぁ~~~~!!!♡♡♡♡♡」

テンション高過ぎて、キャラがおかしな方向に行っている蓮の隣でただただ赤面する私に、七海たちが声をかける。

「やっぱりね~~♡♡♡ 分からないとか言いながら、しっかり考えてたんじゃん♡♡♡」
「うん……心配かけてごめんね」
「気にすんなよ~~♪ 自分の気持ちに気付けて良かったね♡♡♡」


朝、目が覚めたら目の前で蓮がシクシク泣いていた。何事かと思ったら布団の中の湿った感触と独特の匂いで全てを察した。何だかオネショがバレた小さな子供みたいだと思ったら可愛くて、つい頭を撫でてしまったけど、コレって本当に恋愛感情なのかな……ちょっとよく分からなくなってきた。それを口に出したら蓮が絶望するから言わないけど……。


「ちっっくしょ~~~!!!南ぃぃーーッッ!!お前が好きだぁぁーーーッッ!!♡♡♡ 蓮と別れて俺と付き合ってくれぇぇーーーッッ!!」
「ふざけんなテメーーー!!!」

突然、竹永君が自暴自棄になって絶叫告白をしてきた。面食らっていると

「私は蓮君のことが好きでぇぇ~~す!!転入する前から密かに大好きでした!!私と付き合ってください!!よろしくお願いしま~~~す!!♡♡♡」

後ろの席から立ち上がった水野さんが、どさくさに紛れて絶叫告白をした。

「私は竹永のことが好きでしたぁぁーーー!!!南のことは諦めて私と付き合ってぇぇーーー!!!♡♡♡」

さらに結衣が絶叫告白をする。

「ちょっと待ったぁぁーーー!!結衣は俺のモノだぁぁーーー!!結婚してくださぁぁーーーい!!!♡♡♡」

相原君も叫びだす。

「水野さんが好きだぁぁーーー!!!蓮みたいなヤリチンストーカーなんてやめとけーー!!僕にしとけよぉぉーーー!!♡♡♡」

猿渡君も叫びだした。

「南ぃぃーーー!!文化祭に来てたイケメン君紹介してぇぇーーー!!♡♡♡」
「俺にはあの時の黒髪美女を紹介してくれぇぇーーー!!♡♡♡」
「椿ちゃんはダメェェーーー!!」

もうしっちゃかめっちゃかの大絶叫の応酬である。因みに最後のセリフは七海である。

丹沢君がパンパンと手を叩き

「ややこしいから一旦整理しよう」

と、黒板に人物相関図を書き始めた。

「え~~と、まず僕と竹永君が佐久間さんのことが好きでーー……」
「「ちょっと待てクソメガネ!!?」」

蓮と竹永君が同時に叫ぶ。息ぴったりだな……。

朝っぱらから大告白大会になり、担任が止めるまでワチャワチャと騒いでいた。普段大人しいけど、愉快なクラスである。




「七海……本気じゃない……よね……?」
「えっ?なっ……何がぁぁ~~?」
「つば……何でもない……本気じゃないなら良いんだ……」

椿は女の子大好きだけど、普通に彼氏がいたこともある。つまり性癖はノーマルなのだ。

「そうだよ七海ちゃん、あんなチンピラ止めとけ?」
「蓮……それは私怨だよね……?」
「やだなぁ~~!!……別にそんなんじゃないってば~~!!」

どこか挙動不審な七海の耳には、アメジストのピアスが揺れている。まあ、単純にデザインが可愛いから着けてるだけなのかもしれないけど。



「そう言えば、彼氏出来た」

牛カルビを頬張りながら、椿が唐突にそう告げた。

椿と亜耶に、お付き合いを始めたという報告&今までのお詫びも兼ねて、焼肉を奢ることにした私たち。椿の報告に、時間が一瞬止まった。

「裏切り者ォォーーーッッ!!?」

真っ先に声をあげたのは亜耶だった。

「なんでやねん。自分がフラれたからって、こっちに当たるなよ」
「え?またフラれてたの?」
「うるせーーーッッ!!!」

おお……いつもの優しい亜耶じゃない……。優しさとは、その人が満たされていてこそ他人にも与えられるものなんだなぁ、とつくづく思った。

「くっっそ……何で俺ばっかり……」
「お前は既に大本命に憑かれてるんだよw 」

そう言えば以前、亜耶がすぐフラれるのは前世の因縁的なこと言ってたな……。

「なんか……ごめんな……亜耶にはめっちゃお世話になったのに……俺ばっかり幸せでぇぇ~~♡♡♡」
「ノロケたいだけじゃねーーか!!?」
「ノロケたいに決まってんだろ?♡♡♡」

蓮……今の亜耶の神経を逆撫でしないで……。

「まあまあ……椿の彼氏って、同じ学校の人?」
「ふふ~~ん♡ 一個下の中3だ♡ チンピラに絡まれてるところを助けて貰ってな~~♡♡」
「はぁ~~??お前チンピラくらい返り討ちに出来るだろ!?か弱いフリして年下たぶらかしたのかぁ??」

とうとう亜耶がイチャモンつけ始めた……。そう、椿は強いのである。中学の時は演劇部だった椿だが、剣道部の大事な大会に助っ人としてちょいちょい駆り出され、対戦相手を情け容赦無く瞬殺する様子から、他校の生徒から「バーサーカー」という渾名が付けられていた。

「ふん、勇敢な男を立てて何が悪い。まぁそんな訳で、今までのように遊びに行けないから」
「あ、そう……良かった……」
「オイコラ聞こえてんぞ!?」

蓮の呟きを椿は聞き逃さなかった……。蓮、椿が苦手だもんね……。

「そっか……寂しいけど、おめでとう♡♡♡」
「ありがとう南♡」
「亜耶も……素敵な人と巡り会えると良いね……」
「うるせーーー!!!」

今日は何を言っても逆鱗に触れるっぽい……。

「ちくしょ~~……お前ら……幸せになれよなぁ~~……」
「何でソフトドリンクで酔っ払いみたいになるんだよ……」

やさぐれでいても面白い亜耶を宥めつつ、焼肉を楽しんだ。




「南、ちゃんと食べれた……?」
「食べたよ~~♡ 気遣ってくれてありがとね♡」

蓮は私があまり肉が得意ではないことを気にしていたけど、野菜を挟めば肉もそれなりに食べれるのだ。

「それより、クリスマス楽しみだね♡♡♡」
「うん♡♡ 超楽しみ♡♡♡」

クリスマスイブは毎年、パパはママを連れて高級ホテルのディナーをする。この日ばかりは、我々子供たちは遠慮しなければならないのだ。険悪な義弟と二人きりになるのが嫌で、クリスマスは必ず予定を入れていたことを思い出した。しかし今年はなんとホテルディナーの優待券をパパがくれたのである。毎年パパとママが行くホテルの系列の、地方都市にあるホテル。ついでだからと部屋も取ってくれて、降って湧いた小旅行に心躍らせているのだ♡♡♡ 旅行も楽しみだけど、蓮へのプレゼントも買わなければ!!



「蓮君が好きそうなものねぇ~~……なんか南南ってうるさいイメージしかないけど……」

買い物に付き合ってくれているのは、七海だ。

「蓮君なら、南がくれる物なら何でも後生大事にしそうw 」

ペンダントはずっと身に付けてるみたいだし、お守りは鞄に付けている。蓮の部屋にある木製のボックスには、美術館とか神社仏閣とかのチケットの半券が入ってる。そう考えると相当重いな……。

「下手に消耗品にしない方がいいんじゃない?ボロボロになっても使いそうだもん」

割とシャレにならないことを言われ、レインウェアで良いかな~~?なんて暢気な考えを改めた。

文房具コーナーを通りがかり、飾られているガラスペンに見惚れていると、隣に高級筆記具のボールペンが並んでいた。これなら学校でも社会に出ても使えるし、インクを替えればずっと使える。

「よし!これにしよう」

ボールペンをプレゼント包装してもらい、七海と合流する。

「あ、ねえ、このバレッタ、椿ちゃんに似合うと思わない?」

嬉しそうにそう言う七海。その気持ちが友情であることを願って、苦笑いでその場を誤魔化した。






「お城でっっかぁぁ~~い!!♡♡♡」

駅から地下鉄に乗り換えて、有名なお城を訪れる。お店が並ぶ通りを抜けてお城に辿り着くと、有名なシンボルに出迎えられた。広い敷地を色々見て回ったら、お昼にはお腹ペコペコになっていた。

「ここまで来たらさぁ……名物の鰻、食べたくない?」
「はっ!?南のエッチ!!?♡♡♡」
「なんでやねん!?」

思わずツッコんでしまったけど、よくよく考えたら滋養強壮の食材だった。

「嫌なら別にいいけど……」
「いや、ここまで来たんだ……食べよう……ただ、後で替えのパンツを買いに行かせて欲しい……」
「あ、なんだそんなこと?蓮のパンツは5枚持って来てるから大丈夫だよ☆」
「なんか……ごめんね……」

こんなこともあろうかと、ちゃんと荷造りは完璧にしてきたのだ☆ 全く、手のかかる恋人がいると大変だ♪
 

有名ブロガーオススメのお店に行き、鰻重を頂いた。

「うっま!!♡♡ 鰻美味ぁぁ~~い♡♡♡」
「美味しいね~~♡♡♡」

せっかくだからと、うまきや骨煎餅も頂くと

「ディナーちゃんと食べれる?」

と苦笑いする蓮。

「食べれる食べれる~~♡♡♡ そのためにも、午後も運動しなきゃね!!」
「運動ッッ!!?♡♡♡」
「……何で全部そっち方向になるのよ……」

下心丸見えの蓮を引き連れ、午後は某商店街を歩き回った。



高層階で頂くハーフビュッフェのイタリアンディナー。お肉とお魚のメインを決めて夜景を眺めながら頂くお料理は、お昼の鰻とは別ジャンルの美味しさだった♡♡♡

「早くお酒が飲める年になりたいね~~♡♡♡」
「そうだね♡ 俺の前以外で飲まないでほしいけど……」
「お酒飲めるようになったらさ、酒蔵とか見学に行こうよ♡♡♡」
「……話聞いてる……?」
「え?プレゼント?ちゃんと用意してますよ~~♡♡♡」
「ま、いっか……」

何故か呆れ顔の蓮に、プレゼントを差し出す。

「開けていい……?」
「どうぞ~~?」

丁寧に包み紙を開け、中身を確認すると、目尻に涙を浮かべた。

「……ありがとう……めっちゃ大事に使うね♡♡♡」

喜んでくれてホッとしていると、似たような大きさの箱を差し出された。

堤を開けると、中にガラスペンが入っていた。

「えっ!?えっ!?コレ……川原さんの作品じゃん!!どうやって手に入れたの!?」
「半年前から予約してたんだ~~♡♡♡」

半年前とは、夏休みより前だ……添い寝を始めた頃じゃなかったか?そんな頃からクリスマスを視野に入れていたとは……恐ろしい子……!!

手に取って灯りにかざすと、ペン先が光を反射してキラキラ輝く。憧れの工芸品……夢みたい……。

「嘘みたい……嬉しい……ありがとう♡♡♡ このガラスペンで蓮にお手紙書くね?♡♡♡」
「嬉し過ぎて爆発しそう!!♡♡♡ じゃあ俺はこのボールペンで手紙書くよ♡♡♡」

バカップル丸出しの会話をしていた私たち。蓮の後ろに控えてるホテルマンが孫を見るような目をしていたのは……気のせいだろう……。





その後スイーツを欲張り過ぎた私は、部屋に着く頃にはすっかり満腹で眠くなっていた。

「ふぉぉ~~!!♡♡♡ 部屋の夜景もいい感じ~~♡♡♡」
「俺たちみたいな若造には分不相応な気もするけど……」
「何言ってんの!!若さを言い訳に目の前の楽しみを逃してたら一生人生楽しめないよ!?パパに感謝しながらありがたく楽しめば良いんだよ♡♡♡」
「南の、そういう思い切りの良いとこ、ホント大好きだわ……」
「え~~?照れるぅぅ~~♡♡♡」
「……そーいうとこやぞ……」
「いやぁ、マジな話さ、何してもしなくても非難する人はするからさ、それなら自分が生きたいように生きようよ。あ、蓮は既に生きたいように生きてるか!」
「そんなことないよ……ずっと我慢するクセが付いてたもん……だから一度爆発すると、どうにもならなくなるって言うか……」
「ああ~~なるほど~~……」
「納得しないで!?」

珍しく蓮がツッコミ役だ。こんなんますますボケたくなるじゃないか♡♡♡

「よしっ!チューでもするか!?」
「男前過ぎるッッ!!」
「クリスマスだから特別なことしよう!!私一度深いキスしてみたかったんだよね~~♡♡♡ 蓮は中学の時に経験済みだろうけど」
「あのさ……いちいち中学の時のこと引き合いに出されると、俺はもう何も言えなくなるんですけど……」
「あはははww」

ベッドに腰掛け、剥れる蓮が手を広げている。蓮に向かってダイブすると、二人揃ってマットレスに沈んだ♡♡♡





ーーーーーーー


えっ!?深いキスって、ディープキスってこと!?♡♡♡ 南ってそういうこと言うタイプだっけ!!?♡♡♡

ベッドに沈むと、至近距離に南の顔……♡♡♡

ああどうしよう……昼の鰻のせいで、俺っ……俺ぇぇ~~~ッッ!!♡♡♡♡♡




今年は父さんのファインプレーにより、恋人になった南との初めてのクリスマスがさらにスペシャルなものになる予感満載だった♡♡♡ 南が出掛けている隙にガラス作家川原氏のガラスペンを取りに行き、プレゼントの用意は万端だ。旅行の荷造りは南にお任せし、俺たちは某地方都市に降り立った。


お城にはしゃぐ南は世界一可愛い♡♡♡ ここに亜耶がいれば、歴史考察とかして南をもっと楽しませていたんだろうけど、残念ながら俺にそんな教養は無い。

「ごめんね歴史に疎くて……」
「そんなこと気にしなくて良いのに……それに分かんないよ?いつか歴史に目覚めて将来は佐久間大教授が爆誕してるかも♡♡♡」

そう言って笑う南に気持ちが救われる。俺は何度、南に救われてるんだろう♡♡♡ そんなことを思いながらフワフワしていると

「ここまで来たらさぁ……名物の鰻、食べたくない?」

なんてエッチなことを言い出す始末♡♡♡ しかもパンツの替えも5枚も用意してくれてるなんて……なんて出来た妻なんだ!?♡♡♡

鰻重をガッツリ食べてしまった俺は、南に腕組みされながら商店街を歩き、鎮まれ鎮まりたまえと股間の祟り神を鎮めるのに必死だった。



夜景の見えるホテルの高層階でプレゼントを渡される。包み紙を開けると、高級なボールペンだった♡♡♡ ずっと使ってほしいって南も思ってくれたのかな?だったら嬉しいな♡♡♡

「嘘みたい……嬉しい……ありがとう♡♡♡ このガラスペンで蓮にお手紙書くね?♡♡♡」

そんなこと言われたら、嬉しくてまた漏らしそうだよ……こんなところで漏らしたら一生の汚点になりそうだから我慢するけど。

しかも部屋に入ったら……深いキスしたいって……♡♡♡ えっ……してもいいの……?♡♡♡ 

南を抱き締めて勢い良く起き上がり、ベッドの上で座る。俺を見つめる南の瞳が潤んでる……♡♡♡ 思い切って唇を重ね合わせると、キュッと目を瞑る可愛い南……♡♡♡ 

「……口……開けた方がいい……?」
「うっ……うん……無理はしないでね……?」

少し口を開いて待っている南に恐る恐る舌を伸ばす♡♡♡ 南の唇と俺の舌がくっ付いた時、スルッと出てきた南の舌が俺の舌先に絡まった♡♡♡

「んっ……!?♡♡♡」
「ん~~♡♡♡」

服を掴まれ、ぐいっと寄せられて、舌が深く絡まってしまう♡♡♡

クチュ……クチュ……

後頭部を掴まれて……口内に南の舌が入ってくる♡♡♡ 口の端からツゥッ…と垂れる涎に気付いた南は、ゆっくり舌先で拭ってくれる……♡♡♡ クチュクチュと舌を絡められ、舌先を唇で挟んでちゅぽんと小さな音がすると、南の唇が離れた……

「んふふ……♡♡♡ 気持ち良かった……♡♡♡」
「南……荷物の中から……パンツ、出してくれる……?」
「あちゃー……」


俺は荷物から出して貰ったパンツを受け取り、静かにバスルームに入ったのだった……。



「いやいや……いやいやいや……いやいやいやいや……アレはしょうがない……アレはしょーがなくない!?♡♡♡♡ 何なのアレ!?エロ過ぎじゃない??♡♡♡ え?南ホントに未経験!?え!?」

湯船の中でバシャバシャとお湯を被りながら先程のキスを思い返す♡♡♡ ……めっちゃ気持ち良かった♡♡♡ 自分の舌を指で摘むと、股間がキュンとなってしまう♡♡♡

「はぁ~~……これ以上俺を幸せにして、どうしたいんだよぉ~~♡♡♡ ああああ南ぃぃ~~~♡♡♡」
「蓮?お風呂長くない?」
「うわぁーーーーッッ!!?」
「……のぼせてないなら良いんだけど……」
「ちょっ……覗かないでよエッチ!!?」
「ごめんって……早くお風呂代わってね?」
「分かった!分かったから!!」
「パンツ洗っておいたからね?」
「分かったからもぉーーーッッ!!!」

……え??今なんて??汚れたパンツ……洗ったの……?

「南のバカぁぁーーーーッッ!!!」
「うるさいっ!早く代わりなさい!!」


……その後……大いに拗ねた俺は、南と同じ部屋にいながらベッドの端で、蹲った……

「もう……何拗ねてんの?」
「ほっといてよ……バカ南……」
「何なの?もう……おやすみ……」

いやいやいや……何スヤスヤ眠ってんの!?あんなエッチなキスしといて……人のパンツ洗っといて……何のフォローも無く寝る!?なんつーか……もっとヨシヨシしてくれるとか……ギュッて抱き締めてくれるとか……何かあっても良いんじゃないのッッ!!?

「むぅ~~……チューしてやろ……♡♡♡」
「私が寝てる時は手を出さないんじゃなかったの?」
「うわぁ!!?もうっ!!起きてたのかよっっ!?」
「もぉ~~……いつまで拗ねてんの~~……ほら、おいで」
「むぅぅ~~……ぎゅーしてよぉぉ~~……♡♡♡」
「ヨシヨシ、良い子ね~~♡♡♡」

ギュッと頭を抱き締めてくれて、ナデナデしてくれて……蕩けそうなくらい幸せなんだけど……目の前に、その……南のたわわな南ちゃんが目の前に……♡♡♡♡♡

「アカーーーーン!!!俺は!!母さんの信頼に応えるんやぁぁーーーッッ!!!」
「あはははは!!」

南の奴、おちょくってるな!?クソ……クッソ……クッッソ幸せなんじゃあぁぁーーー~~ッッ!!!♡♡♡♡♡




「クロワッサンうめぇぇ~~♡♡♡」

俺は一晩中モンモンムラムラしてたってのに……そのせいで殆ど眠れなくてグロッキーだってのに……ホテル名物のクロワッサンを幸せそうに頬張る南……いや、南が幸せなら良いんだよ……きっとこれはどうしようもない男女の差だもんね……南は悪くない……。

「オムレツおかわりしちゃお~~♡♡ 蓮も要るでしょ?」
「あ、うん」

俺への気遣いも忘れない南に心が暖かくなる一方で、どこまでもマイペースな南が憎たらしくもあって……

「ハイ、蓮はプレーンだよね♡♡♡」
「ありがとう♡♡♡」

まあ、どんな南も大好きなんだけど♡♡♡



因みに後日、南がガラスペンで書いてくれた手紙を読んだ俺は、喜びのあまり膝から崩れ落ちた。こんな手のかかる情けない俺だけど、末長くよろしくね、南……♡♡♡
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