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第14話 戦略的撤退と再出撃
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俺は再び幻影の壁を抜け、今度は先ほどとは違う分岐路へと足を進めた。
風向きは・・・あまりはっきりしない。だが、同じ場所で同じ相手とばかり戦っても意味がない。
魔物を倒すことは手段であって目的じゃない。最優先は『食える獲物』を見つけることだ。昨日のような骨や、死体系は勘弁願いたい。
あとミノタウロスが出たエリアは絶対に近付かない。つまり、安全マージンを取りつつ探索し、可能であれば狩るのが今のミッションだ。
「スキル……『索敵』」
スキルを発動させ、神経を研ぎ澄ます。
すると、まただ。
前方、通路の少し開けた空間に、あの冷たく、空虚な気配が一つ。
(……まさかな)
嫌な予感は、得てして当たるものだ。
壁の陰からそっと覗き込むと、いた。
前回と寸分違わぬ、錆びついた鎧とぼろぼろの剣を装備したスケルトンナイトが、意味もなくその場をうろついている。
「マジかよ……」
思わず、うめき声が漏れた。
この通路は、骸骨の巣窟なのか?
倒しても倒しても骨、骨、骨。これでは経験値と小さな魔石は手に入っても、肝心の食料が全く手に入らない。
文字通り、骨折り損だ。
だが、向こうはこちらに気づいたようだ。
眼窩の青白い光がぎらりと輝き、カチャカチャと骨を鳴らしながら突進してくる。
「ちっ、やるしかねえか!」
モチベーションは低いままだが、一度戦って勝ったという経験が、俺の動きから恐怖を消していた。
前回は防戦一方だったが、今度は違う。
俺は突進してくる相手の勢いを利用する。正面から受け止めるのではなく、半身になってすれ違いざまに、左手の円形盾(ラウンドシールド)を水平に、力任せに薙ぎ払った。
『シールドバッシュ』が直線的な「突き」だとするなら、これは盾の縁(エッジ)を斧のように叩きつける【斬撃】ならぬ【盾撃】だ。
考えてみれば、ラウンドシールドの縁(エッジ)は、数ミリの鋼鉄板をプレス加工してある。面で受ければ防具だが、縁を立ててフルスイングすれば、それはもう「刃のない斧」と変わらない。
ゴッ!!!
分厚い金属を叩いたような、鈍い衝撃。
盾の縁が、スケルトンナイトの脛骨(けいこつ)を見事に捉え、へし折った。
バランスを崩した骸骨が、派手な音を立てて前のめりに転倒する。
「よし!」
前回のように、無駄にシンバルを叩くような真似はしない。
倒れた相手の背後を取り、その頭蓋骨めがけて、左手の盾をハンマーのように振り下ろした。
ゴキャリ!
頭蓋骨が砕け散り、眼窩の光が消える。
あっけないほどの決着だった。身体に、先ほどと同じように経験値が流れ込んでくる。
「はぁ……」
俺はため息をつきながら、砕けた骨の中に転がる小さな魔石を拾い上げた。
二度目の勝利。だが、喜びはなかった。
あるのは、割に合わない肉体労働を終えた後のような、妙な疲労感だけだ。
「この通路はダメだな」
俺は決断した。
この先も骨しかいないのなら、長居は無用だ。食える相手、できればオークのような、肉になる獲物を探さねばならない。
だが、深追いは危険だ。今日はもう二回も戦った。慣れない戦闘による精神的な摩耗(ストレス)も馬鹿にならない。
集中力が切れる前に、一度拠点に戻って態勢を立て直すべきだ。
俺は二つ目の魔石をポケットにしまい込むと、すぐさま踵を返し、拠点へと引き返すことにした。
今日のところは、これ以上の深入りは危険だ!と、本能が告げていた。
それに、仕込んでおいた「種芋」の様子も気になる。そろそろ頃合いだろう。
風向きは・・・あまりはっきりしない。だが、同じ場所で同じ相手とばかり戦っても意味がない。
魔物を倒すことは手段であって目的じゃない。最優先は『食える獲物』を見つけることだ。昨日のような骨や、死体系は勘弁願いたい。
あとミノタウロスが出たエリアは絶対に近付かない。つまり、安全マージンを取りつつ探索し、可能であれば狩るのが今のミッションだ。
「スキル……『索敵』」
スキルを発動させ、神経を研ぎ澄ます。
すると、まただ。
前方、通路の少し開けた空間に、あの冷たく、空虚な気配が一つ。
(……まさかな)
嫌な予感は、得てして当たるものだ。
壁の陰からそっと覗き込むと、いた。
前回と寸分違わぬ、錆びついた鎧とぼろぼろの剣を装備したスケルトンナイトが、意味もなくその場をうろついている。
「マジかよ……」
思わず、うめき声が漏れた。
この通路は、骸骨の巣窟なのか?
倒しても倒しても骨、骨、骨。これでは経験値と小さな魔石は手に入っても、肝心の食料が全く手に入らない。
文字通り、骨折り損だ。
だが、向こうはこちらに気づいたようだ。
眼窩の青白い光がぎらりと輝き、カチャカチャと骨を鳴らしながら突進してくる。
「ちっ、やるしかねえか!」
モチベーションは低いままだが、一度戦って勝ったという経験が、俺の動きから恐怖を消していた。
前回は防戦一方だったが、今度は違う。
俺は突進してくる相手の勢いを利用する。正面から受け止めるのではなく、半身になってすれ違いざまに、左手の円形盾(ラウンドシールド)を水平に、力任せに薙ぎ払った。
『シールドバッシュ』が直線的な「突き」だとするなら、これは盾の縁(エッジ)を斧のように叩きつける【斬撃】ならぬ【盾撃】だ。
考えてみれば、ラウンドシールドの縁(エッジ)は、数ミリの鋼鉄板をプレス加工してある。面で受ければ防具だが、縁を立ててフルスイングすれば、それはもう「刃のない斧」と変わらない。
ゴッ!!!
分厚い金属を叩いたような、鈍い衝撃。
盾の縁が、スケルトンナイトの脛骨(けいこつ)を見事に捉え、へし折った。
バランスを崩した骸骨が、派手な音を立てて前のめりに転倒する。
「よし!」
前回のように、無駄にシンバルを叩くような真似はしない。
倒れた相手の背後を取り、その頭蓋骨めがけて、左手の盾をハンマーのように振り下ろした。
ゴキャリ!
頭蓋骨が砕け散り、眼窩の光が消える。
あっけないほどの決着だった。身体に、先ほどと同じように経験値が流れ込んでくる。
「はぁ……」
俺はため息をつきながら、砕けた骨の中に転がる小さな魔石を拾い上げた。
二度目の勝利。だが、喜びはなかった。
あるのは、割に合わない肉体労働を終えた後のような、妙な疲労感だけだ。
「この通路はダメだな」
俺は決断した。
この先も骨しかいないのなら、長居は無用だ。食える相手、できればオークのような、肉になる獲物を探さねばならない。
だが、深追いは危険だ。今日はもう二回も戦った。慣れない戦闘による精神的な摩耗(ストレス)も馬鹿にならない。
集中力が切れる前に、一度拠点に戻って態勢を立て直すべきだ。
俺は二つ目の魔石をポケットにしまい込むと、すぐさま踵を返し、拠点へと引き返すことにした。
今日のところは、これ以上の深入りは危険だ!と、本能が告げていた。
それに、仕込んでおいた「種芋」の様子も気になる。そろそろ頃合いだろう。
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