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第39話 緊急脳内会議
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雫ちゃん用に、新たにショッピングで購入したワンタッチ式のテントを設営した。もちろん代用寝具もだ。
これで彼女のプライバシー(更衣や睡眠)という「品質要求」は満たと思う。トイレ用のテントもある、抜かり無い筈だ!
俺は自分のベッド(長椅子を改造したもの)を少し離れた場所に配置し、火を落とした。
静寂が、洞窟を支配する。
だが、深夜。俺がうつらうつらとしていると、テントのジッパーが震える手で開けられる音がした。
暗闇の中、小さな人影が俺のベッドのそばまで、おずおずと近づいてくる。
「……佐東さん。夜分に申し訳ありません。まだ、起きていらっしゃいますか……?」
震える、しかしどこまでも丁寧で礼儀正しい声。俺が身体を起こすと、そこには涙で瞳を潤ませた雫ちゃんが立っていた。
「あの……もしよろしければ、ここにいても、いいでしょうか。……流石に、テントで一人だと怖くて。目を閉じると、あいつら……あの女たちの手が、背中を押された時の感覚が、消えないんです。怖くて、怖くてたまらないんです」
彼女はそこで一度言葉を切り、覚悟を決めたように俺を真っ直ぐに見つめた。
「……男の人のベッドに来ることの意味は、分かっているつもりです。いまは佐東さんを信じるしかありませんし、どのみち、佐東さんが力任せにきたら、今の私にはどうにもなりません。……それでも、一人でいるのが、恐ろしいんです」
その言葉は、俺の胸に鋭い杭を打ち込んだ。
年頃の女の子だからとテントに隔離した俺の「配慮」が、今の彼女にとっては残酷な「孤独への放置」でしかなかったのだ。隔離したのは俺の理性が持ちそうにないほどの美少女だからだ。
「……いや、分かった。済まなかったな、雫ちゃん。そうだよな。心細くないわけがない。俺の配慮が足りなかった」
俺はすぐさまベッドの端に寄り、彼女のためにスペースを開けた。
「ここにおいで。俺のことは、ただの『壁』だと思ってくれていいから」
彼女は小さく「ありがとうございます」と言って、おずおずとベッドに入ってきた。
俺は彼女に背を向け、石像のように固まる。だが、その直後。背中に柔らかい「重み」が密着した。
(……っ!?)
薄いワークウェア越しに伝わる、圧倒的な熱と弾力。推定Dカップ。
三年間、女っ気など皆無だった枯れかけの五十歳の脳内で、凄まじい勢いの「脳内緊急対策会議」が招集された。
【欲望派:2名】
「おい! 絶好の機会だろ! 男なら行っちまえよ!」
「今ここで欲望を満たして何が悪い! この地獄で唯一の救いだぞ」
【理法派:3名】
「三年前を思い出せ。彼女は助けを求めている子供だ。その手を汚すか?」
「今は従順でも、無理強いすればいずれ恨まれ、寝首を掻かれるのがオチだぞ!」
「性的蹂躙というノイズを混入させれば、この生活は破綻する。『騎士』という製品仕様を遵守せよ!」
判定:2対3。
理性が勝った。だが、背中に伝わるその柔らかさに、理性が溶けそうになる。
そんな俺の煩悩を打ち消したのは、彼女の体から漏れ出した、小さな、しかし激しい嗚咽(おえつ)だった。
「……おかあさん……おとうさん……こわいよぉ……」
震える声で家族を呼ぶ、その弱々しい響き。俺は居ても立ってもいられなくなり、ゆっくりと振り向いた。そして、泣きじゃくる彼女を力強く抱き締めた。
「……大丈夫だ。大丈夫だ、雫ちゃん。俺がいる」
三年前、俺が守れなかった愛する妻と娘。そのぬくもりが、今この腕の中にある。
俺は彼女を壊れ物のように抱き寄せ、その背中をゆっくりとさすり続けた。
(……雑念を払え。これ以上の煩悩は『不適合品』だ)
俺は意識を強引に「明日の開発業務(Mk-2の設計)」へと転換させた。不織布の繊維構造、ポリマーの吸水量……よこしまな思いが沸き上がるたびに、俺はそれを材料工学の思考で塗りつぶしていった。
これで彼女のプライバシー(更衣や睡眠)という「品質要求」は満たと思う。トイレ用のテントもある、抜かり無い筈だ!
俺は自分のベッド(長椅子を改造したもの)を少し離れた場所に配置し、火を落とした。
静寂が、洞窟を支配する。
だが、深夜。俺がうつらうつらとしていると、テントのジッパーが震える手で開けられる音がした。
暗闇の中、小さな人影が俺のベッドのそばまで、おずおずと近づいてくる。
「……佐東さん。夜分に申し訳ありません。まだ、起きていらっしゃいますか……?」
震える、しかしどこまでも丁寧で礼儀正しい声。俺が身体を起こすと、そこには涙で瞳を潤ませた雫ちゃんが立っていた。
「あの……もしよろしければ、ここにいても、いいでしょうか。……流石に、テントで一人だと怖くて。目を閉じると、あいつら……あの女たちの手が、背中を押された時の感覚が、消えないんです。怖くて、怖くてたまらないんです」
彼女はそこで一度言葉を切り、覚悟を決めたように俺を真っ直ぐに見つめた。
「……男の人のベッドに来ることの意味は、分かっているつもりです。いまは佐東さんを信じるしかありませんし、どのみち、佐東さんが力任せにきたら、今の私にはどうにもなりません。……それでも、一人でいるのが、恐ろしいんです」
その言葉は、俺の胸に鋭い杭を打ち込んだ。
年頃の女の子だからとテントに隔離した俺の「配慮」が、今の彼女にとっては残酷な「孤独への放置」でしかなかったのだ。隔離したのは俺の理性が持ちそうにないほどの美少女だからだ。
「……いや、分かった。済まなかったな、雫ちゃん。そうだよな。心細くないわけがない。俺の配慮が足りなかった」
俺はすぐさまベッドの端に寄り、彼女のためにスペースを開けた。
「ここにおいで。俺のことは、ただの『壁』だと思ってくれていいから」
彼女は小さく「ありがとうございます」と言って、おずおずとベッドに入ってきた。
俺は彼女に背を向け、石像のように固まる。だが、その直後。背中に柔らかい「重み」が密着した。
(……っ!?)
薄いワークウェア越しに伝わる、圧倒的な熱と弾力。推定Dカップ。
三年間、女っ気など皆無だった枯れかけの五十歳の脳内で、凄まじい勢いの「脳内緊急対策会議」が招集された。
【欲望派:2名】
「おい! 絶好の機会だろ! 男なら行っちまえよ!」
「今ここで欲望を満たして何が悪い! この地獄で唯一の救いだぞ」
【理法派:3名】
「三年前を思い出せ。彼女は助けを求めている子供だ。その手を汚すか?」
「今は従順でも、無理強いすればいずれ恨まれ、寝首を掻かれるのがオチだぞ!」
「性的蹂躙というノイズを混入させれば、この生活は破綻する。『騎士』という製品仕様を遵守せよ!」
判定:2対3。
理性が勝った。だが、背中に伝わるその柔らかさに、理性が溶けそうになる。
そんな俺の煩悩を打ち消したのは、彼女の体から漏れ出した、小さな、しかし激しい嗚咽(おえつ)だった。
「……おかあさん……おとうさん……こわいよぉ……」
震える声で家族を呼ぶ、その弱々しい響き。俺は居ても立ってもいられなくなり、ゆっくりと振り向いた。そして、泣きじゃくる彼女を力強く抱き締めた。
「……大丈夫だ。大丈夫だ、雫ちゃん。俺がいる」
三年前、俺が守れなかった愛する妻と娘。そのぬくもりが、今この腕の中にある。
俺は彼女を壊れ物のように抱き寄せ、その背中をゆっくりとさすり続けた。
(……雑念を払え。これ以上の煩悩は『不適合品』だ)
俺は意識を強引に「明日の開発業務(Mk-2の設計)」へと転換させた。不織布の繊維構造、ポリマーの吸水量……よこしまな思いが沸き上がるたびに、俺はそれを材料工学の思考で塗りつぶしていった。
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