外れギフト魔石抜き取りの奇跡！〜スライムからの黄金ルート！婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

第一章 冒険者編

第44話 報告

　戦いが終わり、ロイとテリーがポーションを飲んで回復したが、オークの討伐証明部位と、魔石を回収していたミランダが戻ってきた。

「ロイ様、大丈夫かい？アタイがヘマをやっちまって悪かったな」

　ミランダは何故かロイ様と呼ぶが、口調は粗雑。体のラインは無駄な肉がなく、細身で出るところはしっかり出ていて女を主張しているが、口調や態度はおっさんのそれである。
　羞恥心も薄く、ビキニアーマー姿をジロジロと、女を値踏みする不躾な視線をものともしない。むしろ何見てやがる！と襟首を掴んだり、頭突きを食らわす男勝りの性格。
　しかし根は優しい。

　斥候を兼ねて、倒したオークの処理をしていた。

　ミランダが戻った頃に、ようやくテリーも立ち上がることが出きるまで回復していた。

「申し訳ない。私の判断ミスです。ナイトが率いていたと思い込んでしまい、皆さんを危険にさらしてしまいました」

「いえ。最終判断はリーダーである僕がしましたから、テリーさんが謝る必要はありませんよ」

「そう言ってくれると有り難い。エリナさん。怪我はありませんでしたか？」

「お陰様で。テリー様が身を挺して庇ってくれなければ今頃私は屍を晒していたでしょう」

「えっと、ちょっと気になるので、僕とテリーさんで集落を確認しようと思います。ミランダさんの偵察結果だともぬけの殻のようですが。もし戦闘になったら皆逃げて下さい。僕とテリーさんなら何とか切り抜けられますから」

「ロイ、無茶はしないでね」

　先程のスライムの体液を中級回復ポーションの入っていた瓶に入れ、ロイはそれを持ってテリーと調べに行った。

　程なくして燃え盛る集落を背に２人が戻ってきた。

「目ぼしい物はなかったよ。テリーさんの話だと、作りかけの集落で、間違いなくあのジェネラルが率いていたって。で、火をかけてきたんだ」

「それは間違いないが、なぜこのような場所に集落を作ろうとしたのか、それが解せないのです。ギルドマスターに報告して、判断を任せましょう」

　そうして6人は火が消えたのを確認し、町へと戻り始めた。

　夕暮れが訪れ、町への帰路についたロイたちの頭上は既に暗くなり、無数の星がきらめいていた。彼らはその息を呑むような美しい夜空を仰ぎ見ながら、充実した一日の出来事を振り返っていた。冒険の日々は予測不可能な事態が満載で、今日も例外ではなかった。

「今日は本当に色々あったな・・・」

　ロイが感慨深げにつぶやくと、隣にいたテリーが同意の意を示すように頷いた。

「そうだね。でも、みんな無事で本当に良かったよ」

　テリーの言葉に全員が安堵の息をついた。

「エリナさん、ミランダさん、ベリーズさんのおかげで僕もソニアも無事だよ。ありがとう」

　ロイが感謝の意を表すと、エリナは優しく微笑んだ。

「私たちはロイさんと一緒なら、どんな困難も乗り越えられると思いますわ。ロイさんは本当にアイアンランクなのですか？」

「ほら、僕って外れ加護を得たからと家を追い出されたけど、元々騎士たる父から剣を習っていたから、非戦闘系のギフトでも何とかなったんだ。それにソニアがいたから使える手なんだ」

「次も一緒に行くぜ！しかし、思いきった手をロイ様は使うじゃないか！気に入ったぜ！」

　ミランダも元気よく宣言し、その言葉に皆が笑顔を見せた。この一体感が彼らの強さの源だった。

　町に戻ると、彼らの足取りは自然とギルドへと向かった。今回の任務で討伐したオークの証明部位と魔石を提出するためだ。
　夜になり暗くなっているにもかかわらず、ギルド内は様々な冒険者で賑わっており、彼らの帰還を暖かく迎えてくれた。

　ギルドマスターは彼らの報告を真剣な面持ちで聞き入れた。
　ジェネラルが率いる群れとの遭遇は、予想外の事態だった。

「なるほど・・・ジェネラルが率いていたとは…これはただ事ではない。お前たちの報告は非常に貴重だ。上層部にもしっかりと伝えさせてもらう」

「今回、ロイ君がいなければ誰かが死んでいたでしょう」

「うむ。今日はゆっくり休んで、明日に備えてくれ。これはギルドからの感謝の印だ」

　深い感謝の言葉と共に、ギルドマスターは本来の報酬とは別にお金が入った袋を投げ渡した。

　その夜、ベリーズたちはロイが泊まっている宿に移り、明日への準備をしながらこれからの冒険について熱心に話し合った。彼らの絆はさらに深まり、共に冒険を続ける決意を新たにした。星が瞬く夜空の下、彼らの前には新たな物語が広がっており、彼らの冒険はまだまだ終わらない。