67 / 125
第二章 美容薬販売編
第66話 女性の敵
しおりを挟む
顔を真赤にした男は部下たちに攻撃を指示した。
「生意気な小僧め!顔が良いからといい気になりやがって!こんな店いつでも潰してやる!お前たち、やってしまいなさい」
その男が率いてきた護衛の粗野な男たちが剣を抜くと、タニスに先導された客の女たちが、べちょっとした物をそいつたちと、叫んでいる率いてきた男に投げ始めた。
「スライムの身を食らいなさい!アンタたちなんかこうしてやるわ!出て行け!」
顔に張り付いた得体の知れぬ物、しかもスライムと言ったので、慌てて剥がす。
だが、客の女性が次々と店の中にあった飾りなどを投げ始め、店の外に追い出した。中には日傘で叩く者もおり、女相手に暴力に訴える訳にも行かず堪らず逃げ出した。
「覚えておきなさい!私にこのようなことをして、ただで済むと思わないことです」
男はありきたりな捨て台詞を吐いて去っていった。
「ふざけないで!女の敵!私達が綺麗になるのを止める権利なんてあんたにはないわよ!それに誰よあれ!」
「あの人サイラー商店の店主よ!あそこ態度が横柄で、しかも高いのよ!あそこでしか買えない化粧品があったから仕方なく行っていたけど、もう行かないわ!最低ね!」
「お騒がせしました。また、皆様のお陰で賊を撃退できました。お詫びと感謝の意を込めて、今店内に見える方に一本プレゼントさせて頂きます」
決して広くない店内は、客の数が増える予測から、普段置いている棚は今は工房にある。正確にはソニアの収納に入れ、工房にいる。
それもあ今15人ほどの客がいたのだ。
客から拍手喝采と、会計を済ませた女性たちは次々と外に並ぶ他の客に顛末と、無頼漢の名を告げた。また、並んでいる客と知り合いもいたりして、先日サンプルを貰いそこねた者も、知り合いのお肌の状態からすごい商品だと改めて理解し、サイラー商店での不買を誓い合う。
噂や口コミとは恐ろしいものだ。リックガント魔法道具店の噂はこの町の女性ならば、誰もが知っていると言っても過言ではないほど、話題を攫っていた。
もちろん貴族家の使用人の噂話や、数人の使用人がサンプルを持ち帰り、先ずは一人に飲ませ、効果を見ると、奥様や娘が飲んで絶句していたところもあり、並んでいる者の中にはメイドや執事も多かった。
予め一人あたりの個数制限を周知していたからか、個数制限に対するトラブルは殆どなかった。まとめ買いしようとしても、タニスがやんわり断り、周りの目がふざけるなと訴えるのでそうだったわねと引き下がる感じだ。
・
・
・
この日、店では特別に用意していた500本の商品が完売し、大盛況を収めた。しかし、体力回復薬は別の問題を抱えていた。
買いに来た客は女性ばかりで、男性冒険者は睨まれてしまい、その気迫に押され店内に入ることができなかった。
結局体力回復薬は10本も売れなかった。
また、本来の魔法道具も売れ行きが芳しくなかった。いや、一つも売れなかった。この状況をどう改善するかが課題となり、明日からの対策を考えなければならなくなった。そんな中、ソニアはベリーズとミランダと共に、明日販売する商品を取りに工場へ行くことになった。
彼らはこの困難な状況を乗り越え、店を再び盛り上げることができるのか、それとも新たな戦略を練らなければならないのか、これからの展開が注目される。
また、この日は念の為、宿に戻らず店内や工房に布団を出して寝ることになった。
「生意気な小僧め!顔が良いからといい気になりやがって!こんな店いつでも潰してやる!お前たち、やってしまいなさい」
その男が率いてきた護衛の粗野な男たちが剣を抜くと、タニスに先導された客の女たちが、べちょっとした物をそいつたちと、叫んでいる率いてきた男に投げ始めた。
「スライムの身を食らいなさい!アンタたちなんかこうしてやるわ!出て行け!」
顔に張り付いた得体の知れぬ物、しかもスライムと言ったので、慌てて剥がす。
だが、客の女性が次々と店の中にあった飾りなどを投げ始め、店の外に追い出した。中には日傘で叩く者もおり、女相手に暴力に訴える訳にも行かず堪らず逃げ出した。
「覚えておきなさい!私にこのようなことをして、ただで済むと思わないことです」
男はありきたりな捨て台詞を吐いて去っていった。
「ふざけないで!女の敵!私達が綺麗になるのを止める権利なんてあんたにはないわよ!それに誰よあれ!」
「あの人サイラー商店の店主よ!あそこ態度が横柄で、しかも高いのよ!あそこでしか買えない化粧品があったから仕方なく行っていたけど、もう行かないわ!最低ね!」
「お騒がせしました。また、皆様のお陰で賊を撃退できました。お詫びと感謝の意を込めて、今店内に見える方に一本プレゼントさせて頂きます」
決して広くない店内は、客の数が増える予測から、普段置いている棚は今は工房にある。正確にはソニアの収納に入れ、工房にいる。
それもあ今15人ほどの客がいたのだ。
客から拍手喝采と、会計を済ませた女性たちは次々と外に並ぶ他の客に顛末と、無頼漢の名を告げた。また、並んでいる客と知り合いもいたりして、先日サンプルを貰いそこねた者も、知り合いのお肌の状態からすごい商品だと改めて理解し、サイラー商店での不買を誓い合う。
噂や口コミとは恐ろしいものだ。リックガント魔法道具店の噂はこの町の女性ならば、誰もが知っていると言っても過言ではないほど、話題を攫っていた。
もちろん貴族家の使用人の噂話や、数人の使用人がサンプルを持ち帰り、先ずは一人に飲ませ、効果を見ると、奥様や娘が飲んで絶句していたところもあり、並んでいる者の中にはメイドや執事も多かった。
予め一人あたりの個数制限を周知していたからか、個数制限に対するトラブルは殆どなかった。まとめ買いしようとしても、タニスがやんわり断り、周りの目がふざけるなと訴えるのでそうだったわねと引き下がる感じだ。
・
・
・
この日、店では特別に用意していた500本の商品が完売し、大盛況を収めた。しかし、体力回復薬は別の問題を抱えていた。
買いに来た客は女性ばかりで、男性冒険者は睨まれてしまい、その気迫に押され店内に入ることができなかった。
結局体力回復薬は10本も売れなかった。
また、本来の魔法道具も売れ行きが芳しくなかった。いや、一つも売れなかった。この状況をどう改善するかが課題となり、明日からの対策を考えなければならなくなった。そんな中、ソニアはベリーズとミランダと共に、明日販売する商品を取りに工場へ行くことになった。
彼らはこの困難な状況を乗り越え、店を再び盛り上げることができるのか、それとも新たな戦略を練らなければならないのか、これからの展開が注目される。
また、この日は念の為、宿に戻らず店内や工房に布団を出して寝ることになった。
531
あなたにおすすめの小説
イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜
KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。
主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。
ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。
果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!
職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる