外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow

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第三章 事業発展編

第115話 屋敷とフィーネの頼み

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 ミネア、フィーナ、そして下の兄であるガイがメイドと執事に化けていたことに気がついたロイは、驚きとともに口をぽかーんと開けたような情けない表情をしていた。

 3人が笑顔で屋敷の鍵を手渡すと、ロイはひと目見ただけで彼らの正体に気づかなかった自分を少し恥ずかしく思った。

 特にミネアが王都を出発する時に見送りに来なかったことに違和感を覚えていたが、今回のことも国王の悪戯心によるものだと知り納得した。いや、予測できた内容だった。

 ロイはまだ新しい屋敷の詳細を知らなかった。
 もちろん秘密ですと到着するまで教えられなかった。

 だが、これから何が待ち受けているのか期待と不安が入り混じっていた。彼が新たに与えられた屋敷は、貴族街であるアルディスの郊外に位置しており、その壮麗さは圧倒的だった。白い壁と青い屋根のコントラストが美しく、遠くからでも一目で目立つ存在感を放っていた。

 正面の大きな扉には精巧な彫刻が施されており、訪れる人々に威厳を感じさせる。その重厚な木製の扉を開けると広大な庭が広がり、四季折々の花が咲き誇る花壇が点在していた。中央には小さな噴水があり、その周りにはベンチが配置され、訪問者が静かに休息できるようになっている。

 屋敷の内部に足を踏み入れると、広々としたホールがロイを迎えた。大理石の床は輝き、壁には絵画やタペストリーが飾られ、豪華なシャンデリアが天井から吊り下げられていた。ホールを抜けると右手には広々とした応接室があり、高級感漂う家具が整然と配置されていた。左手には図書室があり、壁一面に並ぶ本棚には様々な書物がぎっしり詰まっていた。

 ロイの新しい生活の中心となる居住空間は2階にあった。彼の部屋は広く、バルコニーからは庭全体を見渡すことができる。部屋には豪華なベッドと大きなデスク、そして暖炉があり、快適な生活を送るための設備が整っている。特に目を引いたのは、窓から見える庭の美しい景色であった。ロイはこの景色を眺めながら、新たな生活への期待に胸を膨らませた。

 新しい屋敷での生活が始まると、ロイは次第にこの場所が単なる住居以上の意味を持つことを感じ始めるだろう。ここは彼の新しい地位と責任を象徴する場所であり、アルディスの人々との関係を築くための重要な拠点でもあった。彼はこの屋敷が彼の新しい人生のスタート地点であることを深く感じながら、これからの挑戦に向けて心を新たにする。

 その日の午後、ロイの関係者が集まり、子爵になった祝福を受けるためのパーティーが開かれた。リックガントやコナリス、解体場の仲間たちが広間に集まり、ロイが広間に入ると紙吹雪が舞い、盛大に祝われた。そのまま立食パーティーに移行し、ロイは頼むから屋敷の中をゆっくり見せてほしいと思いつつも、無駄にきめ細かく用意されたサプライズに感心した。

 翌日、ロイは庭で散歩をしていると、ふと噴水の近くに座っているフィーナを見つけた。彼女は微笑みながら花の香りを堪能していた。

 そんな彼女にロイはゆっくりと近づき尋ねた。

「ここで何をしているんだい?」

「ただ、少し休んでいただけですわ。ロイ様もご一緒にいかがですか?」

 フィーナは笑顔で答えた。その瞬間、ロイはこの屋敷がただの建物ではなく、彼自身と彼の仲間たちの新しい家であると強く感じた。ロイはフィーナの隣に座り、僅かだが静かな時間を過ごした。彼はこの新しい環境での生活がどれほど豊かで意味深いものになるかを感じながら、これからの未来に向けて希望を抱いた。彼の心には新たな決意が芽生え、この屋敷での生活が彼にとって大切なものになることを確信した。

 その時、フィーナが一言お願いをした。

「その・・・ロイ様、実は私の友人が、鈍感なガイ様のことが好きなのです。しかし彼は友人のアプローチに気が付かないのです。どうか助けてください。私の親友の人となりは私が保証いたします。その、先程いたメイドに扮していた1人ですわ。陛下にお願いしてこの旅に同行してもらっています」

 ロイはため息をついた。ガイは純粋な武人で、女性に対する免疫が少ないのだ。「兄らしいですね。分かりました。俺が間に入りましょう。」

 ロイは心の中でつぶやいた。『確か兄は、一人前になるまでは婚約はしないと言って、ずっと縁談を袖にしてきたんだよな。』

 堅物の兄を慕う女性が目の前にいて、友達に幸せになってほしいと頼ってきたのもあるが、人柄も問題なさそうだし、貴族の子息にしては珍しい恋愛結婚をしてもらおうかとロイは思い、機会を作ろうと心に誓った。

 しかし、肝心のロイは魔力譲渡のためとはいえ、初めて唇を重ねた相手に恋心を持っている乙女に気が付かなかったりする。
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