視える私と視えない君と

赤羽こうじ

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華月②

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 私はひとまず大人しく秋義さんと奏音を観察する事にした。二人は家同士で繋がった婚約者のようでまだ付け入る隙があるように私は感じ、静かに二人を見つめる事にした。

 そこで私は少し鈍臭い女を演じるてみて秋義さんの反応を伺ってみた。すると予想通り、秋義さんは私をフォローしてくれる事も増え、奏音は少し嫉妬するような素振りを見せるようになっていった。

 ひとを観察するのが得意だった私からしてみれば、奏音の性格はわかり易かった。気は強い癖に素直じゃない部分もあり面倒臭い一面があった。
 そこを利用しない手は無い。
 私が困ってる素振りを見せれば、少しずつ秋義さんが優しく助けてくれるようになった。それと比例する様に奏音は徐々に嫉妬し、やがて二人の仲に少しずつ亀裂が入って行くのがわかった。

 だがどれ程亀裂が入っても二人は別れようとはしなかった。どうやら家同士が決めた縁談というのはそう簡単に破棄出来るものではないようだ。
 だったら仕方ない、奏音には本当に退場してもらうしかないと私は思った。
 
 奏音にはアレルギーがあるのはわかっていたから、何か強烈なアレルギー反応で亡くなってもらうのが一番だと私は考えた。
 そして婚約者を亡くし失意の底にいる秋義さんを私が優しく慰める。
 
 完璧だと思った。私は思わず笑みが溢れてしまいそうだった。

 だが私に立ちはだかる壁もあった。
 秋義さんと義人の母親であり、現会長の奥さんでもある絵梨花さんだ。

 絵梨花さんは自分が纏めた縁談の相手でもある奏音を気に入っており、長男である義人の周りにいる朱里ちゃんや私の事は毛嫌いしている様な節が伺えた。

 私は絵梨花さんに近付いてみようかと試みたが取り付く島もなくすぐに断念した。
 仕方なく、私は奏音が持っていた非常用の抗アレルギー剤を密かにくすねると、細かく砕きカプセルに詰め替え、絵梨花さんがいつも飲んでいるサプリメントのカプセルとすり替えてやった。

 中身がすり替わってるとは知らない絵梨花さんはいつものサプリメントだと思い抗アレルギー剤を服用し、毎晩眠る為に飲んでいるウィスキーをいつも通り口にした。

 抗アレルギー剤はしっかり服用方法を守らなければ心臓発作を引き起こす危険がある。そこに飲酒だ。抗アレルギー剤とアルコールの相性は最悪で、案の定絵梨花さんは体調不良から心臓発作を起こし亡くなった。

 正直、人をあやめるのは気が引けたが、私の計画上仕方のない事だった。
 絵梨花さんの葬儀に参加中、計画が上手く行っている事に私は含み笑いを隠すのが大変だった。

 さすがにすぐに奏音にも退場してもらうのは立て続けになり過ぎると思い、少し間を空ける事にした。
 その間、秋義さんとの距離を詰める事も出来るし。

 そして私と秋義さんの幸せの為には義人と朱里ちゃんにも退場してもらわなければならない。
 そこで何かないかと考えていた時、朱里ちゃんがホスト遊びにハマりだした。

 正直馬鹿な子だと思った。
 わざわざ自分から退場する隙を作るなんて。

 私も朱里ちゃんに連れられホストクラブに何度か足を運んだ。そして朱里ちゃんはレオンというホストをいつも指名していた。
 私はレオンを密かに観察する事にした。そしてレオンには他にも指名している子がいて、その子達の殆どが売り掛けというツケの様なシステムで呑んでいる事がわかった。

 そして何度かホストクラブに足を運んでいたある時、レオンが指名してくれていた女の子が飛んだと朱里ちゃんに相談しているのが耳に入って来た。
 どうやら指名してくれていた子が売り掛けのお金を払わずに飛んだ場合、指名されていたホストにその債務が行くシステムらしい。

 私はチャンスだとすぐに思った。
 私が朱里ちゃんにどうするつもりか尋ねると、義人からもらったブランドのバッグ等を売ってなんとかするつもりだと言っていた。
 レオンの負債がどれ程かわからなかったがそんな中途半端な事をされては堪らないと思い、私は更に追撃する事を思いつく。

 レオンを指名している女の子の中に、派手な飲み方をしている子に私は目を付けた。
 調べてみると、その子は地方から出て来ており、友達付き合いもあまり無い、キャバクラで働く女の子だった。

 かなり好都合だと私は思った。そんな人付き合いが希薄な子が飛べば探し出すのは困難な筈。そこに全く関係がない私が手助けすれば困難は更に増す。

 私はすぐに計画を練る事にした。
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