視える私と視えない君と

赤羽こうじ

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華月③

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 まずその女の子に秘密裏に接触するタイミングを見計らった。幸いその子は、一人で行動する事も多かったようで夜、一人でコンビニにいた所で声を掛けてみた。

 はじめこそ警戒し戸惑っていたが
 「私は取引がしたいだけです。貴女がホストクラブで使った分を払わずに飛んでくれたら私は助かります。もし売り掛け分を払うのがきつくて飛ぶつもりなら私は全力で手伝います」
 と伝えると向こうも話に飛びついて来た。どうやらホストクラブへの支払いに悩んでいたようだ。

 私達は近くの喫茶店に移動すると、まずは互いの条件を確認し合った。
 お互いの素性は探らない。
 この事による私の利益は探らない。
 その子の引越し先や潜伏先を誰にも話さない。
 そしてもし、上手く行かなくても互いの存在は誰にも話さない。
 そこにその子の資金として私が五十万円を用意する事で互いに合意した。

 五十万円という金額は簡単に出せる金額ではなかったが、この後上手く事が進み、秋義さんと一緒になれたらそれぐらいの金額はすぐに回収出来ると考え、先行投資のつもりで渡す事にした。

 それから私はその子が暫く潜伏出来そうな行き先を探した。そして数週間後、おあつらえ向きの場所を関東地方に見つけ、私の名義で契約し、そこに彼女を逃がした。
 こうすれば彼女の足跡は辿られない筈。その後、彼女がどうなろうが正直私はどうでも良かった。後は私達が会っていた事を誰にも知られなければそれでいい。

 それから暫くしてレオンは更にお客が飛んだと朱里ちゃんに相談を持ち掛け、二人が悪巧みを始めた。
 私はあえて深くは聞かず、少し離れた場所から見ているような役に徹した。
 私は何も知らされず、大した役にも立たないと思わしていた方が何かと動き易いからだ。

 何より全ての罪を被って退場してもらう訳だから巻き込まれる訳にはいかない。

 やがて二人は斗弥陀が買った廃病院を足がかりに斗弥陀に入り込む事を画策し始めた。
 私はその廃病院に秋義さんや奏音も行く事を知り、何も知らないふりをしながら便乗して奏音を葬る事を計画し始める。

 そして廃病院に行く当日、私はスズメバチの毒を塗った針を忍ばせ現地に向かった。私達に加え、現地には鬼龍というルックスだけは完璧な女と、興梠という胡散臭い二人がいた。
 興梠はテレビにも出ているような霊能者で、確か朱里ちゃんが「こちら側の人間」だと言っていた。
 そして本当は引き立て役として別の霊能者を呼んだが忙しいらしく、代わりに鬼龍という女が代理で来たそうだ。

 私はその見た目も含めて鬼龍という女を警戒し、観察する事にした。しかし鬼龍は斗弥陀に大して興味はなく、仕事として淡々と接しながらこなしているような印象を受け、ひとまずこの女は大丈夫だと私は判断した。

 だが信じられない事に、私達は本物の心霊現象に襲われ、その中で興梠がリタイアする事態となった。
 全員が心霊現象に襲われた事に困惑していたが、朱里ちゃんと義人は協力者である興梠が離脱してしまった事にも焦っている様だった。
 そして私もどさくさに紛れて毒針を奏音に刺す筈が、タイミングを逸してしまい焦っていた。

 その後、鬼龍の活躍もあって私達は心霊現象から脱する事が出来た。
 私はここしかないと思い、廃病院を脱出する前に階段を踏み外したふりをして奏音の背中に毒針を刺した。
 私が手をついた衝撃で奏音は刺された事には気付いておらず、廃病院も暗く足元も悪かった為、私が踏み外した事に誰からも疑問は抱かれなかった。

 全ては上手く行っていた。あとは斗弥陀の屋敷に戻ると全員が一度食堂に集まるのはわかっていたので、お腹が痛いふりをして一人二階に上がり、西園から聞き出した奏音の部屋に桃の香水を軽く振って何食わぬ顔で食堂に戻った。
 あとは自分の部屋で待っていると奏音が騒ぎ始めたので部屋の交換を提案し、無事部屋は交換された。
 そしてその日の夜、忍ばせていたスズメバチに奏音は襲われ、奏音は排除出来た。

 完璧だった。あとは朱里ちゃん達を排除するだけだった。朱里ちゃん達の企みを暴いてもらう役に鬼龍が適任だと思った私は、鬼龍に情報を少しずつ流していった。

 そんな中、私も予想だにしない事が起こる。どうやら急遽参加した三条というおばさんと朱里ちゃんが何かあったようで、急遽嵯峨良という霊能者を誘惑してでもこちら側につけるように言われた。
 平静を装っていたが、私には朱里ちゃんがかなり焦っているのがわかった。

 これは確実に何かやらかしたに違いない――。

 私は確信し、このチャンスを逃すまいと鬼龍側に有利な情報を流して朱里ちゃんと義人には退場してもらう事にした。

 そして私の目論見通り事は進み、後は私と秋義さんがくっつけば全てが終わる筈だった。

 なのに、私の計画は全て鬼龍に暴かれてしまった。あまつさえ、この女は私の内面まで言い当ててくる。
 何故だろう?計画を全て台無しにされ、頭を抱えて悔しがる場面なのに、何故か私は笑みが溢れてしまう。
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