8 / 15
8
しおりを挟む
桜木さんからの返信は、翌日の昼過ぎに届いた。
俺が送った回りくどくて要領を得ないメールに対し、彼女の返信は驚くほど単刀直入だった。
『相生さん、こんにちは。そういうことでしたら、百聞は一見に如かずですよ。今週の土曜日、うちの息子と駅前のファミレスでランチでもどうですか。キッズスペースもありますし、お子さん同士すぐに仲良くなれると思いますよ』
その提案に、俺の心臓は跳ね上がった。
他人の子供と、ランチ。
考えただけで、胃がキリキリと痛む。
嘘を重ねなければならない気まずさと、ボロが出てしまうかもしれない恐怖。
だが、断るという選択肢はなかった。
これはヒナが社会と繋がるための、千載一遇のチャンスかもしれない。
俺は『是非、お願いします』とだけ簡潔に返信した。
土曜日、俺は生まれて初めて、子供を連れてファミレスに行くというミッションに挑んでいた。
ヒナには、うさぎの絵がついた一番お気に入りのワンピースを着せた。
俺自身もいつものモノトーンの服装ではなく、少しでも「人の良さそうな叔父」に見えるように明るい色のシャツを選んだ。
鏡に映った自分は、ひどく落ち着きがなく滑稽に見えた。
店に着くと、桜木さんはすでに席に座っていた。
彼女の隣には大きな目でこちらをじっと見つめる、ヒナと同じくらいの歳の男の子がいた。
「相生さん、こちらへ。ご紹介しますね、息子の、湊(みなと)です」
「こ、こんにちは。相生です。こっちが、姪のヒナです」
俺は、ぎこちなく頭を下げた。
ヒナは俺の後ろに隠れて、恥ずかしそうに湊くんを見ている。
最初は、どうなることかと思った。
だが子供というのは不思議な生き物だ。
お互いにもじもじとしていた二人がドリンクバーでオレンジジュースを並んで注いだだけで、あっという間に打ち解けた。
キッズスペースに駆け込んでいく二人の後ろ姿を見ながら、俺は安堵のため息を漏らした。
「大変ですね、姪御さんを預かるのも」
桜木さんが、にこやかに話しかけてくる。
「あ、はい。まあ、慣れないことばかりで」
「分かります。うちは夫の協力があるから何とかなってますけど、一人じゃ本当に目が回りますよね」
夫。
その単語に、俺は少しだけほっとした。
やはり、彼女は未来の「ママ」ではない。
ジカンの警告は、何か別の意味があるのだろう。
そう思った瞬間、心が軽くなるのを感じた。
俺は、桜木さんという人間そのものに興味を持ち始めていた。
仕事の時の、あの鋭いディレクターとしての顔。
そして今、目の前にいる優しい母親としての顔。
彼女は、どうやってその二つを両立させているのだろうか。
俺がデザインと育児の間で、こんなにも不様に引き裂かれているというのに。
「桜木さんは、すごいですね。仕事も子育ても、完璧にこなしていて」
俺が素直な感想を口にすると、彼女はきょとんとした顔をした。
そして、声を立てて笑った。
「やだ、相生さん。何言ってるんですか。完璧なわけないじゃないですか」
「え?」
「毎日、失敗ばっかりですよ。朝は戦争だし、夜は寝かしつけで自分も一緒に寝落ちしちゃうし。会社ではああやって偉そうにしてますけど、家に帰ればただのくたくたのお母さんです」
彼女はそう言って、少しだけ寂しそうに笑った。
その笑顔は俺が今まで見たことのない、彼女の脆い部分を垣間見せた気がした。
俺たちは、それからとりとめもない話をした。
子供の好きなアニメの話。なかなか寝ない時の、とっておきの裏技。
それは俺が今まで経験したことのない、温かくて実用的な情報に満ちた会話だった。
デザイナー「相生健人」ではなく、ただの「ヒナの保護者」として誰かと繋がる時間。
それは、心地よかった。
孤独な城に閉じこもっていた頃には、決して味わえなかった穏やかな連帯感だった。
キッズスペースでは、ヒナと湊くんがブロックを高く積み上げるのに夢中になっている。
ヒナのあんなに楽しそうな顔は、初めて見たかもしれない。
来て、よかった。
心の底から、そう思った。
その穏やかな空気を引き裂く事件が起きたのは、その直後だった。
店員が、湊くんの頼んだお子様ランチをテーブルに運んできた。
カラフルなプレートの上には、星形のポテトや旗の立ったチキンライスが乗っている。
そして、その中央に。
デミグラスソースのかかった、小さな煮込みハンバーグがあった。
それを見た瞬間、ヒナがぴたりと動きを止めた。
積み上げていたブロックを放り出し、テーブルに駆け寄ってくる。
そしてその小さな鼻を、くんくんと動かした。
次の瞬間、ヒナがぽつりと呟いた言葉に、俺は全身の血が凍りつくのを感じた。
「……ママの、においがする」
ママの、匂い。
ジカンの言葉が、脳内でリフレインする。
『未来におけるヒナの母親、つまりあなたの妻となる人物の、最も得意な料理は『煮込みハンバーグ』です』
俺は、目の前が真っ暗になるのを感じた。
嘘だろ。
そんな、馬鹿な。
桜木さんに、夫がいると聞いて安心したばかりじゃなかったのか。
「あら、ヒナちゃん、ハンバーグ好きなの?湊、少し分けてあげたら?」
桜木さんが、悪気なく言う。
「だ、大丈夫です!ヒナは、その、アレルギーが……」
俺は咄嗟に意味不明な嘘をついて、ヒナを自分の方に引き寄せた。
ヒナは不思議そうな顔で、俺とハンバーグを交互に見ている。
「パパ?なんで?」
俺は、ヒナに何と答えればいいのか分からなかった。
頭が、完全に混乱している。
もし、桜木さんが本当に未来の妻なのだとしたら?
彼女の隣にいる夫は、湊くんの父親は、どうなるんだ?
まさか未来で、何か悲劇が起こるというのか。
そしてその結果、俺と桜木さんが結ばれる?
それはつまり俺が、誰かの不幸の上に自分の幸せを築くということじゃないか。
そんな未来は、絶対に嫌だ。
大いなる悲しみ。
それは俺自身の孤独のことだけを、指しているのではなかったのか。
もしかしたら俺が回避すべきなのは、桜木さん一家に降りかかる何か大きな不幸のことなのではないか。
だとしたらジカンの警告の意味が、全く違う重みを持って俺にのしかかってくる。
彼女と関わるな。
それは俺の未来を守るためじゃない。
彼女の未来を、壊さないためだったのではないか。
俺は、冷や汗が背中を伝うのを感じた。
「……すみません、桜木さん。急用を思い出したので、これで失礼します」
俺は一方的にそう告げると、会計伝票を掴んで席を立った。
「え、相生さん?どうしたんですか、急に」
戸惑う桜木さんの声と、遊びの途中だったヒナの「いやだ、まだあそぶの!」という泣き声が背中に突き刺さる。
だが俺にはもう、そこに一秒でも長く留まることはできなかった。
ファミレスを飛び出し、ヒナを無理やり抱きかかえて早足で駅へ向かう。
腕の中で、ヒナは「パパのばか!」と泣きじゃくっている。
ごめん、ヒナ。
今は、何も説明できない。
俺の頭の中は恐怖と、罪悪感と、そしてまだ見ぬ誰かの不幸に対する途方もない責任感で、ぐちゃぐちゃにかき混ぜられていた。
煮込みハンバーグの、甘くて香ばしい匂いが鼻の奥に、いつまでもこびりついて離れなかった。
俺が送った回りくどくて要領を得ないメールに対し、彼女の返信は驚くほど単刀直入だった。
『相生さん、こんにちは。そういうことでしたら、百聞は一見に如かずですよ。今週の土曜日、うちの息子と駅前のファミレスでランチでもどうですか。キッズスペースもありますし、お子さん同士すぐに仲良くなれると思いますよ』
その提案に、俺の心臓は跳ね上がった。
他人の子供と、ランチ。
考えただけで、胃がキリキリと痛む。
嘘を重ねなければならない気まずさと、ボロが出てしまうかもしれない恐怖。
だが、断るという選択肢はなかった。
これはヒナが社会と繋がるための、千載一遇のチャンスかもしれない。
俺は『是非、お願いします』とだけ簡潔に返信した。
土曜日、俺は生まれて初めて、子供を連れてファミレスに行くというミッションに挑んでいた。
ヒナには、うさぎの絵がついた一番お気に入りのワンピースを着せた。
俺自身もいつものモノトーンの服装ではなく、少しでも「人の良さそうな叔父」に見えるように明るい色のシャツを選んだ。
鏡に映った自分は、ひどく落ち着きがなく滑稽に見えた。
店に着くと、桜木さんはすでに席に座っていた。
彼女の隣には大きな目でこちらをじっと見つめる、ヒナと同じくらいの歳の男の子がいた。
「相生さん、こちらへ。ご紹介しますね、息子の、湊(みなと)です」
「こ、こんにちは。相生です。こっちが、姪のヒナです」
俺は、ぎこちなく頭を下げた。
ヒナは俺の後ろに隠れて、恥ずかしそうに湊くんを見ている。
最初は、どうなることかと思った。
だが子供というのは不思議な生き物だ。
お互いにもじもじとしていた二人がドリンクバーでオレンジジュースを並んで注いだだけで、あっという間に打ち解けた。
キッズスペースに駆け込んでいく二人の後ろ姿を見ながら、俺は安堵のため息を漏らした。
「大変ですね、姪御さんを預かるのも」
桜木さんが、にこやかに話しかけてくる。
「あ、はい。まあ、慣れないことばかりで」
「分かります。うちは夫の協力があるから何とかなってますけど、一人じゃ本当に目が回りますよね」
夫。
その単語に、俺は少しだけほっとした。
やはり、彼女は未来の「ママ」ではない。
ジカンの警告は、何か別の意味があるのだろう。
そう思った瞬間、心が軽くなるのを感じた。
俺は、桜木さんという人間そのものに興味を持ち始めていた。
仕事の時の、あの鋭いディレクターとしての顔。
そして今、目の前にいる優しい母親としての顔。
彼女は、どうやってその二つを両立させているのだろうか。
俺がデザインと育児の間で、こんなにも不様に引き裂かれているというのに。
「桜木さんは、すごいですね。仕事も子育ても、完璧にこなしていて」
俺が素直な感想を口にすると、彼女はきょとんとした顔をした。
そして、声を立てて笑った。
「やだ、相生さん。何言ってるんですか。完璧なわけないじゃないですか」
「え?」
「毎日、失敗ばっかりですよ。朝は戦争だし、夜は寝かしつけで自分も一緒に寝落ちしちゃうし。会社ではああやって偉そうにしてますけど、家に帰ればただのくたくたのお母さんです」
彼女はそう言って、少しだけ寂しそうに笑った。
その笑顔は俺が今まで見たことのない、彼女の脆い部分を垣間見せた気がした。
俺たちは、それからとりとめもない話をした。
子供の好きなアニメの話。なかなか寝ない時の、とっておきの裏技。
それは俺が今まで経験したことのない、温かくて実用的な情報に満ちた会話だった。
デザイナー「相生健人」ではなく、ただの「ヒナの保護者」として誰かと繋がる時間。
それは、心地よかった。
孤独な城に閉じこもっていた頃には、決して味わえなかった穏やかな連帯感だった。
キッズスペースでは、ヒナと湊くんがブロックを高く積み上げるのに夢中になっている。
ヒナのあんなに楽しそうな顔は、初めて見たかもしれない。
来て、よかった。
心の底から、そう思った。
その穏やかな空気を引き裂く事件が起きたのは、その直後だった。
店員が、湊くんの頼んだお子様ランチをテーブルに運んできた。
カラフルなプレートの上には、星形のポテトや旗の立ったチキンライスが乗っている。
そして、その中央に。
デミグラスソースのかかった、小さな煮込みハンバーグがあった。
それを見た瞬間、ヒナがぴたりと動きを止めた。
積み上げていたブロックを放り出し、テーブルに駆け寄ってくる。
そしてその小さな鼻を、くんくんと動かした。
次の瞬間、ヒナがぽつりと呟いた言葉に、俺は全身の血が凍りつくのを感じた。
「……ママの、においがする」
ママの、匂い。
ジカンの言葉が、脳内でリフレインする。
『未来におけるヒナの母親、つまりあなたの妻となる人物の、最も得意な料理は『煮込みハンバーグ』です』
俺は、目の前が真っ暗になるのを感じた。
嘘だろ。
そんな、馬鹿な。
桜木さんに、夫がいると聞いて安心したばかりじゃなかったのか。
「あら、ヒナちゃん、ハンバーグ好きなの?湊、少し分けてあげたら?」
桜木さんが、悪気なく言う。
「だ、大丈夫です!ヒナは、その、アレルギーが……」
俺は咄嗟に意味不明な嘘をついて、ヒナを自分の方に引き寄せた。
ヒナは不思議そうな顔で、俺とハンバーグを交互に見ている。
「パパ?なんで?」
俺は、ヒナに何と答えればいいのか分からなかった。
頭が、完全に混乱している。
もし、桜木さんが本当に未来の妻なのだとしたら?
彼女の隣にいる夫は、湊くんの父親は、どうなるんだ?
まさか未来で、何か悲劇が起こるというのか。
そしてその結果、俺と桜木さんが結ばれる?
それはつまり俺が、誰かの不幸の上に自分の幸せを築くということじゃないか。
そんな未来は、絶対に嫌だ。
大いなる悲しみ。
それは俺自身の孤独のことだけを、指しているのではなかったのか。
もしかしたら俺が回避すべきなのは、桜木さん一家に降りかかる何か大きな不幸のことなのではないか。
だとしたらジカンの警告の意味が、全く違う重みを持って俺にのしかかってくる。
彼女と関わるな。
それは俺の未来を守るためじゃない。
彼女の未来を、壊さないためだったのではないか。
俺は、冷や汗が背中を伝うのを感じた。
「……すみません、桜木さん。急用を思い出したので、これで失礼します」
俺は一方的にそう告げると、会計伝票を掴んで席を立った。
「え、相生さん?どうしたんですか、急に」
戸惑う桜木さんの声と、遊びの途中だったヒナの「いやだ、まだあそぶの!」という泣き声が背中に突き刺さる。
だが俺にはもう、そこに一秒でも長く留まることはできなかった。
ファミレスを飛び出し、ヒナを無理やり抱きかかえて早足で駅へ向かう。
腕の中で、ヒナは「パパのばか!」と泣きじゃくっている。
ごめん、ヒナ。
今は、何も説明できない。
俺の頭の中は恐怖と、罪悪感と、そしてまだ見ぬ誰かの不幸に対する途方もない責任感で、ぐちゃぐちゃにかき混ぜられていた。
煮込みハンバーグの、甘くて香ばしい匂いが鼻の奥に、いつまでもこびりついて離れなかった。
0
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯
☆ほしい
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。
でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。
今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。
なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。
今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。
絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。
それが、いまのレナの“最強スタイル”。
誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。
そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
元商社マンの俺、異世界と日本を行き来できるチートをゲットしたので、のんびり貿易商でも始めます~現代の便利グッズは異世界では最強でした~
黒崎隼人
ファンタジー
「もう限界だ……」
過労で商社を辞めた俺、白石悠斗(28)が次に目覚めた場所は、魔物が闊歩する異世界だった!?
絶体絶命のピンチに発現したのは、現代日本と異世界を自由に行き来できる【往還の門】と、なんでも収納できる【次元倉庫】というとんでもないチートスキル!
「これ、最強すぎないか?」
試しにコンビニのレトルトカレーを村人に振る舞えば「神の食べ物!」と崇められ、百均のカッターナイフが高級品として売れる始末。
元商社マンの知識と現代日本の物資を武器に、俺は異世界で商売を始めることを決意する。
食文化、技術、物流――全てが未発達なこの世界で、現代知識は無双の力を発揮する!
辺境の村から成り上がり、やがては世界経済を、そして二つの世界の運命をも動かしていく。
元サラリーマンの、異世界成り上がり交易ファンタジー、ここに開店!
【完結】『左遷女官は風花の離宮で自分らしく咲く』 〜田舎育ちのおっとり女官は、氷の貴公子の心を溶かす〜
天音蝶子(あまねちょうこ)
キャラ文芸
宮中の桜が散るころ、梓乃は“帝に媚びた”という濡れ衣を着せられ、都を追われた。
行き先は、誰も訪れぬ〈風花の離宮〉。
けれど梓乃は、静かな時間の中で花を愛で、香を焚き、己の心を見つめなおしていく。
そんなある日、離宮の監察(監視)を命じられた、冷徹な青年・宗雅が現れる。
氷のように無表情な彼に、梓乃はいつも通りの微笑みを向けた。
「茶をお持ちいたしましょう」
それは、春の陽だまりのように柔らかい誘いだった——。
冷たい孤独を抱く男と、誰よりも穏やかに生きる女。
遠ざけられた地で、ふたりの心は少しずつ寄り添いはじめる。
そして、帝をめぐる陰謀の影がふたたび都から伸びてきたとき、
梓乃は自分の選んだ“幸せの形”を見つけることになる——。
香と花が彩る、しっとりとした雅な恋愛譚。
濡れ衣で左遷された女官の、静かで強い再生の物語。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる