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第47話
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あの夏至の朝、森の古き魂とでも呼ぶべき老婆と出会って以来、わたくしの世界は、静かながらも確かな変容を遂げているようでございました。
それは、ただ香りを嗅ぎ分け、茶を調合するという表面的な技術の話ではございません。
まるで、これまでモノクロームに見えていた世界の風景に、ある日突然、無限の色彩が与えられたかのように……。
木々の緑はより深く、湖の水はより澄み渡り、そして香草園に咲くハーブの一輪一輪が放つ生命の輝きは、その内なる物語までもが聞こえてくるかのように、鮮やかにわたくしの五感へと流れ込んでくるのでございます。
特に、聴覚の変化は著しいものがございました。
風が葦の葉を揺らす音、湖の波が岸辺を洗う音、遠くで鳴く鳥の声……。
それら一つ一つの音が、まるで独立した楽器のように、それでいて見事な調和を保ちながら、壮大な自然の交響曲を奏でていることに気が付いたのです。
この発見は、わたくしの調合にも新たな境地をもたらしました。
お湯をポットに注ぐ音の清らかさ、茶葉がゆっくりと開いていく際の微かな囁き、そしてカップに注がれたお茶が、飲む人の心と共鳴する瞬間の、魂の響きともいうべき静かな音……。
それら全てを意識し、調律することで、わたくしの淹れる一杯は、以前にも増して深い癒しと調和の力を宿すようになっていったのでございます。
「アナスタシアさまの淹れてくださるお茶は、なんだか音楽みたいですわね」
村のパン屋のリーザさんが、ある日そうおっしゃいました。
彼女は、例の祝言以来、時折わたくしの小屋を訪れては、日々のささやかな出来事を語らっていかれるのです。
「口に含むと、まず静かな前奏曲が始まって、それから様々な香りが次々と現れては重なり合って、まるで美しい旋律を奏でるような……。
そして飲み終えた後には、心の中に長く続く、穏やかな余韻が残るのですもの」
「まあ、リーザさん。
なんて詩的な表現でしょう。
もし本当にそのように感じてくださるのでしたら、わたくしにとっても望外の喜びですわ」
子どもたちとの「香りの授業」も、自然と「音」というテーマを取り入れることが多くなりました。
葉っぱを指で弾いた時の乾いた音、花びらを水に浮かべた時の柔らかな音、木の実を振った時の楽しい音……。
子どもたちは、目を輝かせながら「音のなる香り」を探し、自分たちだけの小さな楽団を作っては、香草園に拙くも楽しげな音楽を響かせておりました。
そんな穏やかな日々が続いておりました、ある秋風の心地よい午後。
一人の見慣れぬ青年が、わたくしの「静寂の香り亭」の前に、少しばかりためらうように立っておりました。
年の頃は二十代半ばほどでしょうか。
上質な、しかし着古されて旅慣れた様子の外套をまとい、その背にはリュートらしき弦楽器を収めた革のケースを背負っております。
栗色の髪は風に乱れ、その繊細な顔立ちには、深い苦悩と、そして才能ある芸術家特有の、どこか神経質な影が浮かんでおりました。
彼は、香草園のハーブたちには目もくれず、ただじっと、湖のさざ波だけを見つめておりましたが、やがて意を決したようにこちらへ向き直り、か細い声で尋ねました。
「……失礼。
ここが、香りで人の心を癒すという、噂の小屋でしょうか」
「ええ、わたくし、アナスタシアと申します。
どうぞ、中へお入りくださいな。
長旅でお疲れでしょう」
青年は無言で頷くと、静かに小屋の中へ入り、椅子に腰を下ろしました。
けれど、その身のこなしはどこかぎこちなく、彼の周囲には、心を固く閉ざしたような、近寄りがたい空気が漂っております。
「わたくしは、エリアンと申します。
……吟遊詩人、と名乗っておりましたが、今はもう、ただのしがない旅人でございます」
その声には、諦観と、そして深い自己嫌悪の色が滲んでおりました。
「何か、お飲み物をご用意いたしましょうか。
心を落ち着けるための、カモミールとリンデンフラワーのブレンドなどはいかがかしら」
「……結構です」
エリアンと名乗った青年は、わたくしの提案を、ぴしゃりという音が聞こえそうなほど冷たく拒絶いたしました。
「わたくしは、癒しを求めてここへ来たのではございません。
ただ……あまりにも馬鹿げた噂を耳にしましたのでな。
香りが、失われた創造の泉を、再び湧き出させることがある、などと……。
あり得ぬこととは思いながらも、万が一の奇跡にでも縋りたい一心で、ここまで足を運んでしまった……己の浅ましさが嫌になります」
彼は、自嘲するようにそう言うと、深くため息をつきました。
スランプ、というものでございましょうか。
彼の魂は、枯渇し、傷つき、そして何よりも、自分自身を信じることができなくなっているご様子。
このような方に、安易な癒しの言葉や、優しいだけのハーブティーは、かえってその心を逆撫でしてしまうやもしれません。
「……エリアンさま。
あなた様のおっしゃる通り、香りは万能薬ではございませんわ。
わたくしにできるのは、ただ一杯のお茶を淹れることだけ。
けれど、その一杯が、あなた様の心の奥底に眠る、忘れられた何かを呼び覚ます、小さなきっかけにはなるやもしれません」
わたくしは、あえて彼の挑戦的な視線を受け止め、静かに、しかし毅然として告げました。
「もし、あなた様が奇跡ではなく、ご自身の内に眠る力をもう一度信じてみたいと、ほんの少しでもお思いになるのなら……。
わたくしに、一杯だけ、特別な調合を試させてはいただけませんでしょうか。
それは、甘くもなければ、優しくもないかもしれません。
けれど、あなた様の魂の弦を、もう一度だけ震わせるための……そんな一杯を」
わたくしの言葉に、エリアンの瞳が、ほんのわずかに揺れたように見えました。
彼はしばらくの間、疑念と、そしてほんのかすかな期待の入り混じったような目でわたくしを見つめておりましたが、やがて、諦めたように小さく頷きました。
「……お好きになさるといい。
どうせ、もう失うものなど、何もございませんからな……」
その言葉を合図に、わたくしは静かに調合の準備に取り掛かりました。
エリアンさまに必要なのは、心を「解きほぐす」ことではなく、むしろ「揺さぶる」こと。
彼の閉ざされた感覚の扉を、内側から叩き、呼び覚ますような、そんな刺激的な調合が求められます。
それは、ただ香りを嗅ぎ分け、茶を調合するという表面的な技術の話ではございません。
まるで、これまでモノクロームに見えていた世界の風景に、ある日突然、無限の色彩が与えられたかのように……。
木々の緑はより深く、湖の水はより澄み渡り、そして香草園に咲くハーブの一輪一輪が放つ生命の輝きは、その内なる物語までもが聞こえてくるかのように、鮮やかにわたくしの五感へと流れ込んでくるのでございます。
特に、聴覚の変化は著しいものがございました。
風が葦の葉を揺らす音、湖の波が岸辺を洗う音、遠くで鳴く鳥の声……。
それら一つ一つの音が、まるで独立した楽器のように、それでいて見事な調和を保ちながら、壮大な自然の交響曲を奏でていることに気が付いたのです。
この発見は、わたくしの調合にも新たな境地をもたらしました。
お湯をポットに注ぐ音の清らかさ、茶葉がゆっくりと開いていく際の微かな囁き、そしてカップに注がれたお茶が、飲む人の心と共鳴する瞬間の、魂の響きともいうべき静かな音……。
それら全てを意識し、調律することで、わたくしの淹れる一杯は、以前にも増して深い癒しと調和の力を宿すようになっていったのでございます。
「アナスタシアさまの淹れてくださるお茶は、なんだか音楽みたいですわね」
村のパン屋のリーザさんが、ある日そうおっしゃいました。
彼女は、例の祝言以来、時折わたくしの小屋を訪れては、日々のささやかな出来事を語らっていかれるのです。
「口に含むと、まず静かな前奏曲が始まって、それから様々な香りが次々と現れては重なり合って、まるで美しい旋律を奏でるような……。
そして飲み終えた後には、心の中に長く続く、穏やかな余韻が残るのですもの」
「まあ、リーザさん。
なんて詩的な表現でしょう。
もし本当にそのように感じてくださるのでしたら、わたくしにとっても望外の喜びですわ」
子どもたちとの「香りの授業」も、自然と「音」というテーマを取り入れることが多くなりました。
葉っぱを指で弾いた時の乾いた音、花びらを水に浮かべた時の柔らかな音、木の実を振った時の楽しい音……。
子どもたちは、目を輝かせながら「音のなる香り」を探し、自分たちだけの小さな楽団を作っては、香草園に拙くも楽しげな音楽を響かせておりました。
そんな穏やかな日々が続いておりました、ある秋風の心地よい午後。
一人の見慣れぬ青年が、わたくしの「静寂の香り亭」の前に、少しばかりためらうように立っておりました。
年の頃は二十代半ばほどでしょうか。
上質な、しかし着古されて旅慣れた様子の外套をまとい、その背にはリュートらしき弦楽器を収めた革のケースを背負っております。
栗色の髪は風に乱れ、その繊細な顔立ちには、深い苦悩と、そして才能ある芸術家特有の、どこか神経質な影が浮かんでおりました。
彼は、香草園のハーブたちには目もくれず、ただじっと、湖のさざ波だけを見つめておりましたが、やがて意を決したようにこちらへ向き直り、か細い声で尋ねました。
「……失礼。
ここが、香りで人の心を癒すという、噂の小屋でしょうか」
「ええ、わたくし、アナスタシアと申します。
どうぞ、中へお入りくださいな。
長旅でお疲れでしょう」
青年は無言で頷くと、静かに小屋の中へ入り、椅子に腰を下ろしました。
けれど、その身のこなしはどこかぎこちなく、彼の周囲には、心を固く閉ざしたような、近寄りがたい空気が漂っております。
「わたくしは、エリアンと申します。
……吟遊詩人、と名乗っておりましたが、今はもう、ただのしがない旅人でございます」
その声には、諦観と、そして深い自己嫌悪の色が滲んでおりました。
「何か、お飲み物をご用意いたしましょうか。
心を落ち着けるための、カモミールとリンデンフラワーのブレンドなどはいかがかしら」
「……結構です」
エリアンと名乗った青年は、わたくしの提案を、ぴしゃりという音が聞こえそうなほど冷たく拒絶いたしました。
「わたくしは、癒しを求めてここへ来たのではございません。
ただ……あまりにも馬鹿げた噂を耳にしましたのでな。
香りが、失われた創造の泉を、再び湧き出させることがある、などと……。
あり得ぬこととは思いながらも、万が一の奇跡にでも縋りたい一心で、ここまで足を運んでしまった……己の浅ましさが嫌になります」
彼は、自嘲するようにそう言うと、深くため息をつきました。
スランプ、というものでございましょうか。
彼の魂は、枯渇し、傷つき、そして何よりも、自分自身を信じることができなくなっているご様子。
このような方に、安易な癒しの言葉や、優しいだけのハーブティーは、かえってその心を逆撫でしてしまうやもしれません。
「……エリアンさま。
あなた様のおっしゃる通り、香りは万能薬ではございませんわ。
わたくしにできるのは、ただ一杯のお茶を淹れることだけ。
けれど、その一杯が、あなた様の心の奥底に眠る、忘れられた何かを呼び覚ます、小さなきっかけにはなるやもしれません」
わたくしは、あえて彼の挑戦的な視線を受け止め、静かに、しかし毅然として告げました。
「もし、あなた様が奇跡ではなく、ご自身の内に眠る力をもう一度信じてみたいと、ほんの少しでもお思いになるのなら……。
わたくしに、一杯だけ、特別な調合を試させてはいただけませんでしょうか。
それは、甘くもなければ、優しくもないかもしれません。
けれど、あなた様の魂の弦を、もう一度だけ震わせるための……そんな一杯を」
わたくしの言葉に、エリアンの瞳が、ほんのわずかに揺れたように見えました。
彼はしばらくの間、疑念と、そしてほんのかすかな期待の入り混じったような目でわたくしを見つめておりましたが、やがて、諦めたように小さく頷きました。
「……お好きになさるといい。
どうせ、もう失うものなど、何もございませんからな……」
その言葉を合図に、わたくしは静かに調合の準備に取り掛かりました。
エリアンさまに必要なのは、心を「解きほぐす」ことではなく、むしろ「揺さぶる」こと。
彼の閉ざされた感覚の扉を、内側から叩き、呼び覚ますような、そんな刺激的な調合が求められます。
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