外れスキル【畑耕し】で辺境追放された俺、チート能力だったと判明し、スローライフを送っていたら、いつの間にか最強国家の食糧事情を掌握していた件

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長い夜が明け、東の空が白み始めた。
小鳥のさえずりが、新しい一日の始まりを告げている。
俺はいつもより少し早く目を覚まし、身支度を整えた。
小屋の外に出ると、ひんやりとした朝の空気が心地よい。
常駐の騎士たちは、すでにそれぞれの持ち場で最終確認を行っており、拠点全体が適度な緊張感に包まれていた。
今日はいよいよ、リリアーナ王女が、そして彼女が連れてくるという「紹介したい人物」が、この地を訪れる日だ。

クロもどこかそわそわしている様子で、俺の足元をうろついている。
「大丈夫だ、クロ。いつも通りにしてればいい」
俺がそう言って頭を撫でてやると、クロは小さく「きゅい」と鳴き、俺の顔をじっと見上げた。
その赤い瞳には、信頼と期待の色が浮かんでいるように見えた。

太陽が空高く昇り、昼に近づいた頃。
遠くの森の道から、土煙が上がるのが見えた。
見張りの騎士が、「王女殿下のご一行、ご到着です!」と大きな声で叫ぶ。
いよいよか……。俺はゴクリと唾を飲み込み、気持ちを引き締めた。

やがて、アルフレッド騎士に先導された一団が、俺たちの拠点へと姿を現した。
前回よりもさらに厳重な警護の騎士団に守られた、ひときわ立派な紋章付きの馬車。
あれが、リリアーナ王女の乗る馬車だろう。
馬車がゆっくりと俺の前で止まり、中からリリアーナ王女が優雅に降り立った。
その美しい姿は、何度見ても息をのむほどだ。

「アルス様、再びお目にかかれて光栄ですわ。先日は、本当にありがとうございました」
リリアーナ王女は、俺に対して深々と一礼した。
その表情には、以前にも増して親愛の情が込められているように感じられる。
「こちらこそ、ようこそおいでくださいました、リリアーナ王女殿下。長旅でお疲れでしょう」
俺も丁重に挨拶を返す。

「いいえ、アルス様にお会いできると思えば、この程度の旅など苦にもなりませんわ。……そして、アルス様。本日、ぜひご紹介したい方をお連れいたしました」
リリアーナ王女がそう言うと、彼女の後ろに控えていた別の馬車の扉が開き、中から一人の初老の男性が静かに降りてきた。
年は五十代後半といったところだろうか。
真っ白なローブのようなものを身にまとい、その手には節くれだった木の杖を握っている。
顔には深い皺が刻まれているが、その瞳は鋭い観察眼と、そして深い知性を宿しているように見えた。
穏やかな物腰だが、どこか近寄りがたい威厳のようなものも感じさせる人物だ。

「こちらが、我がエルグランド王国の宮廷薬師長をお務めになられている、ゼフィルス様です。アルス様の素晴らしい作物の噂、特に薬草の類いについてお聞きになり、ぜひともアルス様にお会いしたいと、今回の訪問に同行してくださいましたの」
リリアーナ王女が、その人物を俺に紹介した。
宮廷薬師長……やはり、薬草に関わる重要人物だったか。

ゼフィルスと名乗った宮廷薬師長は、俺の前に進み出ると、静かに頭を下げた。
「アルス殿、とお呼びしてもよろしいかな。わしはゼフィルスと申す。リリアーナ王女殿下より、あなたの育てられる作物は、驚くべき生命力を秘めていると伺っております。特に、薬草の類いについて、詳しくお話を伺えればと思い、まかり越した次第じゃ」
その声は落ち着いていて、聞き取りやすい。
そして、その言葉からは、彼がただの好奇心で来たのではないことが伝わってきた。

「ようこそ、ゼフィルス様。どうぞ、小屋へお入りください。お茶でも飲みながら、ゆっくりとお話ししましょう」
俺は一行を小屋へと招き入れた。
騎士たちは、王女と宮廷薬師長というVIPの来訪に、いつも以上に緊張している様子だ。
クロは、見慣れないゼフィルスという人物に少し警戒しているのか、俺の後ろに隠れるようにして、じっと彼を見つめている。

お茶を出し、テーブルを囲んで向かい合う。
まずはリリアーナ王女が、俺の作物のおかげでエルグランド王国の食糧事情が劇的に改善されたこと、そして国民が俺に対して深く感謝していることを、改めて伝えてくれた。
その言葉は素直に嬉しかったが、俺が本当に聞きたいのは、やはり紫斑熱のことだ。

「リリアーナ王女殿下、ゼフィルス様。実は、お二方にご相談したいことがございます」
俺がそう切り出すと、二人は真剣な表情で俺を見た。
「近頃、東の国々で猛威を振るっているという紫斑熱について、何か詳しい情報をお持ちではないでしょうか?」
俺の言葉に、ゼフィルスの表情が険しくなった。

「……やはり、アルス殿もご存知でしたか。紫斑熱は、今やエルグランド王国にとっても、決して他人事ではありませぬ。すでに王都でも数名の感染者が確認され、その感染力と致死率の高さから、民の間にも不安が広がりつつあります。既存の薬は全く効果がなく、我々宮廷薬師たちも、昼夜を問わず治療法の研究にあたっておりますが……正直なところ、有効な手立ては見つかっておりませぬ」
ゼフィルスの言葉は重く、その深刻さがひしひしと伝わってくる。
やはり、状況は俺が思っていた以上に悪いようだ。

「そうでしたか……」
俺は、用意しておいた乾燥薬草の束と、試作した煎じ薬の小瓶をテーブルの上に取り出した。
「実は、俺の畑では、このような薬草が採れます。これらは、普通の薬草とは比べ物にならないほどの力を持っているように感じるのです。もしかしたら、これが紫斑熱の治療に役立つのではないかと……愚かな考えかもしれませんが」
俺の言葉に、ゼフィルスはテーブルの上の薬草へと視線を移した。
その目は、まるで獲物を見つけた鷹のように鋭く、そして真剣だ。

彼はゆっくりと薬草の束を手に取り、その葉を一枚一枚、念入りに観察し始めた。
匂いを嗅ぎ、指で感触を確かめ、そして……目を閉じて、何かを感じ取ろうとしているかのように、じっと動かなくなった。
リリアーナ王女も、固唾を飲んでその様子を見守っている。
小屋の中には、緊張した沈黙が流れた。

やがて、ゼフィルスはゆっくりと目を開いた。
その瞳は、驚愕と、そして信じられないといったような色で見開かれている。
「こ、これは……なんと……! 信じられん……!」
ゼフィルスの声は、かすかに震えていた。
「この薬草から放たれる、この強大な魔力と生命力……! まさに、奇跡の薬草……! 長年、宮廷薬師長を務めてきたこのわしでさえ、これほどの力を持つ薬草は、生まれて初めて目にしましたぞ……!」
その言葉は、彼の偽らざる本心なのだろう。
それほどまでに、俺の薬草は規格外の力を持っているということか。

ゼフィルスは、興奮を抑えきれないといった様子で、俺に向き直った。
その目は、先ほどの冷静沈着なものとは打って変わって、まるで少年のようにキラキラと輝いている。
「アルス殿! どうか、この薬草を使って、わしと共に紫斑熱の治療薬を開発していただけませぬか! もし、この薬草の力が本物であるならば……もし、これがあの恐ろしい病に打ち勝つことができるのならば……それは、多くの、本当に多くの命を救うことになりますぞ!」
その言葉は、懇願であり、そして魂からの叫びのようにも聞こえた。
彼の背後には、紫斑熱に苦しむ多くの人々の姿が見えるような気がした。

俺は、まっすぐにゼフィルスの目を見つめ返した。
そして、力強く頷く。
「分かりました、ゼフィルス様。俺にできることであれば、喜んで協力させていただきます。この力が、誰かの役に立つのであれば、俺はそれを惜しみません」
俺の返事に、ゼフィルスは感極まったように目頭を押さえた。
リリアーナ王女も、安堵と喜びが入り混じったような、美しい微笑みを浮かべている。
「ありがとう、アルス様……! 本当に、ありがとうございます……!」

こうして、俺とエルグランド王国の宮廷薬師長ゼフィルスによる、紫斑熱治療薬の共同開発が、この辺境の地で始まることになった。
それは、俺の人生にとって、そしておそらくこの世界の多くの人々にとって、大きな転換点となる出来事だったのかもしれない。
俺は、まだ見ぬ未来への期待と、そしてほんの少しの不安を胸に、新たな戦いへと足を踏み入れる。
その先には、どんな困難が待ち受けているのだろうか。
だが、俺はもう恐れない。
俺には、この奇跡のスキルと、そして信頼できる仲間たちがいるのだから。
俺は、静かに拳を握りしめた。
窓の外では、太陽が燦々と輝き、俺たちの未来を照らし出しているかのようだった。
クロが、俺の足元にそっと寄り添い、俺の顔をじっと見上げている。
その赤い瞳は、まるで俺の決意を後押ししてくれているかのようだ。
俺はクロの頭を優しく撫で、そしてゼフィルスに向かって言った。
「さて、ゼフィルス様。早速ですが、この薬草の詳しい分析から始めましょうか。俺の畑には、まだたくさんの種類の薬草があります。もしかしたら、もっと効果的な組み合わせが見つかるかもしれません」
「おお、それはまことか、アルス殿! ぜひ、案内していただきたい!」
ゼフィルスの目は、再び探求心に満ちた輝きを取り戻していた。
彼もまた、根っからの研究者なのだろう。
俺と彼は、きっと良いパートナーになれる。そんな予感がした。
リリアーナ王女も、嬉しそうに俺たちのやり取りを見守っている。
彼女の笑顔は、まるで春の陽光のように温かく、俺たちの心に希望を与えてくれる。
さあ、始めよう。俺たちの戦いを。
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