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長老の家が完成すると、それは村の新しいシンボルになった。
日干しレンガの壁は、夏の暑さや冬の寒さを和らげる。
そして、瓦屋根はどんな大雨でも決して雨漏りすることはなかった。
夜になれば、窓から漏れる暖かい光が、村の人々の心を和ませた。
「リゼット様、ありがとうございます。こんな家に住める日が来るとは、夢にも思いませんでした。」
長老は、新しい家の前で、何度も何度も私に頭を下げた。
その目には、嬉しそうな涙が浮かんでいる。
「ううん、これは私一人の力じゃないわ。長老や、みんなが力を合わせたからよ。」
私は笑顔で答えた。
実際に、この家は村人みんなの努力の結晶だ。
私は、ただそのやり方を知っていただけなのだから。
最初の家の成功は、村人たちに大きな自信をもたらした。
彼らは、自分たちの手で、暮らしを良くすることができるのだと確信した。
家の建築は、そこから一気にペースが上がった。
一軒、また一軒と、新しい家が村に建ち並んでいく。
以前の、いつ崩れてもおかしくないような村の姿は、もうどこにもなかった。
村は、清潔で、整然とした、美しい場所へと生まれ変わりつつあった。
家づくりと同時に、私は他の生活改善にも取りかかっていた。
その一つが、食料を安定して手に入れる仕組みの確立だ。
『森の恵み』は素晴らしい食べ物だが、それだけに頼るのは危険だ。
天気が悪くて、不作になる年だってあるかもしれない。
それに、栄養のバランスを考えても、もっと色々な作物を育てる必要があった。
幸い、畑の土は『龍の髭』の灰のおかげで、見違えるほど豊かになっている。
問題は、一体何を植えるかだ。
「みんな、昔この村で育てていた作物で、今はもう作っていないものってあるかしら。」
私は、作業の合間に村の老人たちを集めて、聞き取り調査を始めた。
こういう時、年寄りの記憶は、どんな本よりも貴重な情報源になる。
「そうだな、昔は、『土の中の太陽』と呼ばれる、黄色い芋をよく作っていたな。」
一人の老人が、懐かしむように言った。
「土の中の太陽、ですか。」
「はい。じゃが、どういうわけか、ある年から全く採れなくなってしまってのう。」
「育てるのが難しいので、いつしか誰も作らなくなってしまったんじゃ。」
詳しく話を聞いてみると、その芋は、毎年同じ畑で作り続けると、どんどん小さくなるという。
しまいには、完全に枯れてしまうのだそうだ。
連作障害だ、私はすぐにその原因を理解した。
「その芋の種は、まだどこかに残っているかしら。」
「さあ、探せば、どこかの家の倉庫に、忘れられて転がっておるかもしれんな。」
私は村人たちに頼んで、村中の家を探してもらった。
すると、ある家の古い壺の底から、干からびた小さな芋が十数個見つかった。
「これだわ、きっとこれよ。」
私は、その芋を宝物のように大事に受け取った。
表面は皺だらけで、とても食べられそうには見えない。
しかし、その中には、未来の食卓を豊かにする可能性が眠っているのだ。
「みんな、この芋を、もう一度この村でたくさん収穫できるようにしてみせるわ。」
私は村人たちの前で、はっきりと宣言した。
そして、畑をいくつかの区画に分け、計画的な輪作農業を始めることにした。
「いい、この畑では、今年はこの芋を作るの。」
「でも、来年は『龍の髭』を育てる。そして、その次の年には、また別の作物を植えるの。」
「そうやって、毎年違うものを順番に育てれば、土の栄養が偏るのを防げるのよ。」
私は、畑の土を人間のお腹に例えて説明した。
毎日同じものばかり食べていたら、人間だって病気になるでしょう、と。
畑も、それと全く同じなのだ。
村人たちは、私の説明に熱心に頷いていた。
彼らはもう、私の言葉が自分たちの生活を豊かにすると知っている。
私たちは、見つかった種芋を丁寧に切り分ける。
それぞれの欠片に、ちゃんと芽が残るようにした。
そして、それを新しく改良した畑に、一つ一つ大事に植えていく。
「どうか、元気に育ってください。」
村の子供たちが、小さな手を合わせながら、畑に祈りを捧げている。
その純粋な姿に、私の心も温かくなった。
さらに、私はもう一つの重要な設備作りにも着手した。
それは、水路の建設だ。
この間復活させた泉は、村の貴重な水源となっていた。
しかし、村人たちは毎日、その泉まで重い桶を抱えて水を汲みに行かなければならない。
それは、本当に大変な重労働だった。
「あの泉から、この村まで水を引いてきましょう。」
「そうすれば、もう大変な思いをして水を運びに行かなくても良くなるわ。」
私の提案に、村人たちは「そんなことができるのか」と目を丸くした。
「ええ、できるわよ。地面に、少しだけ坂道を作ってあげるだけだから。」
私は、泉から村までの地形を注意深く調べた。
幸い、泉は村よりも少しだけ高い場所にある。
わずかな高さの違いだが、これを利用すれば、自然の力だけで水を流せるのだ。
私は、木の棒と水を入れた革袋を使って、簡単な測量道具を作った。
これを使って、泉から村まで、ごく緩やかな下り坂になるように水路の道筋を決める。
「ここから、あそこの木まで、まっすぐに溝を掘ってちょうだい。」
「深さは、大人の膝くらいでいいわ。底が平らになるように、気をつけてね。」
私が指示を出すと、カイを中心とした男たちが、鍬や鋤を使って地面を掘り始めた。
それは、とても気の遠くなるような作業だった。
しかし、村人たちは文句一つ言わず、黙々と土を掘り続けていく。
水路の底と側面には、水が漏れないように粘土を丁寧に塗り固めていく。
川から、みんなで一生懸命に運んできたものだ。
家づくりの経験が、ここでも大いに活かされた。
日を追うごとに、泉から村へと続く一本の道が、大地にくっきりと刻まれていった。
そして、ついに、水路が村の広場まで届いた日。
私たちは、泉をせき止めていた土嚢を、ゆっくりと取り除いた。
水が、勢いよく水路へと流れ込み、茶色い流れとなって村を目指す。
村人たちは、水路の両側に立って、息をのんでその様子を見守っていた。
やがて、水の先頭が、村の広場に作られた貯水池へとたどり着いた。
チョロチョロという可愛らしい音を立てて、水が貯水池へと注がれ始める。
その瞬間、村人たちの間から、割れんばかりの歓声が上がった。
「水が来たぞ、水が村に来たぞ。」
「村に、新しい川ができたんだ。」
子供たちは、さっそく貯水池の周りではしゃぎ回る。
そして、手ですくった水を互いに掛け合っている。
大人たちも、その光景を、目に涙を浮かべながら見つめていた。
もう、遠くまで水を汲みに行く必要はない。
いつでも、すぐそばに、清らかな水があるのだ。
その事実が、彼らの生活をどれほど楽にするか、計り知れない。
アルフレッドが、そっと私の隣にやってきて、深々と頭を下げた。
「お嬢様、またしても、あなたは奇跡を起こされました。」
「この御恩は、生涯忘れることはありませぬ。」
「だから、奇跡なんかじゃないわよ。これも、昔の人の知恵を借りただけ。」
私は少し照れながら言った。
でも、村人たちのあの笑顔を見られるのなら、聖女様と勘違いされるのも悪くない。
広場の貯水池の周りには、すぐに洗濯場や洗い場が作られた。
村の女性たちは、楽しそうにおしゃべりをしながら、そこで洗濯をしたり野菜を洗ったりしている。
それは、以前の村では決して見られなかった、平和で豊かな光景だった。
家、食料、そして水。
生きていく上で最低限必要なものが、これでようやく全て整った。
村は、驚くべき速さで復興を遂げている。
だが、私の計画は、まだこれで終わりではなかった。
人々が安心して暮らせるようになったら、次は、暮らしを『楽しむ』段階に進むべきだ。
例えば、食事だ。
今はまだ、芋を蒸したり、木の実を炒ったりするだけの、とても質素なものだ。
もっと、美味しいものが食べたい。
甘いお菓子だって、たまには食べたくなる。
「カイ、ちょっといいかしら。」
私は、水路の補強作業をしていたカイを呼び寄せた。
「どうしたんだい、リゼット様。」
「この村の周りで、甘い蜜を出す花とか、蜂の巣とか、見かけたことはない。」
「蜂の巣か、そういや、南の崖のところに、でっけえのがあった気がするな。」
「危ねえから、誰も近づかねえけどな。」
その言葉に、私の目がキラリと輝いた。
蜂蜜、それは、砂糖が貴重なこの世界において、最高の甘味料だ。
あれさえあれば、私の夢であるお菓子作りに、一歩近づくことができる。
「よし、決めたわ。次は、蜂蜜を採りに行きましょう。」
私の次の提案に、カイは目を白黒させていた。
「は、蜂蜜だと、本気かよリゼット様。」
「あそこの蜂は、すげえ凶暴なんだぞ。」
「大丈夫よ、私に、良い考えがあるわ。」
「蜂を大人しくさせる、とっておきのおまじないがあるのよ。」
私は、自信満々に胸を張った。
前の世界の知識によれば、煙を使えば、蜂の攻撃性を和らげることができるはずだ。
「さあ、準備をしましょう、カイ。美味しい蜂蜜が、私たちを待っているわよ。」
私はカイの腕を引き、意気揚々と歩き出した。
日干しレンガの壁は、夏の暑さや冬の寒さを和らげる。
そして、瓦屋根はどんな大雨でも決して雨漏りすることはなかった。
夜になれば、窓から漏れる暖かい光が、村の人々の心を和ませた。
「リゼット様、ありがとうございます。こんな家に住める日が来るとは、夢にも思いませんでした。」
長老は、新しい家の前で、何度も何度も私に頭を下げた。
その目には、嬉しそうな涙が浮かんでいる。
「ううん、これは私一人の力じゃないわ。長老や、みんなが力を合わせたからよ。」
私は笑顔で答えた。
実際に、この家は村人みんなの努力の結晶だ。
私は、ただそのやり方を知っていただけなのだから。
最初の家の成功は、村人たちに大きな自信をもたらした。
彼らは、自分たちの手で、暮らしを良くすることができるのだと確信した。
家の建築は、そこから一気にペースが上がった。
一軒、また一軒と、新しい家が村に建ち並んでいく。
以前の、いつ崩れてもおかしくないような村の姿は、もうどこにもなかった。
村は、清潔で、整然とした、美しい場所へと生まれ変わりつつあった。
家づくりと同時に、私は他の生活改善にも取りかかっていた。
その一つが、食料を安定して手に入れる仕組みの確立だ。
『森の恵み』は素晴らしい食べ物だが、それだけに頼るのは危険だ。
天気が悪くて、不作になる年だってあるかもしれない。
それに、栄養のバランスを考えても、もっと色々な作物を育てる必要があった。
幸い、畑の土は『龍の髭』の灰のおかげで、見違えるほど豊かになっている。
問題は、一体何を植えるかだ。
「みんな、昔この村で育てていた作物で、今はもう作っていないものってあるかしら。」
私は、作業の合間に村の老人たちを集めて、聞き取り調査を始めた。
こういう時、年寄りの記憶は、どんな本よりも貴重な情報源になる。
「そうだな、昔は、『土の中の太陽』と呼ばれる、黄色い芋をよく作っていたな。」
一人の老人が、懐かしむように言った。
「土の中の太陽、ですか。」
「はい。じゃが、どういうわけか、ある年から全く採れなくなってしまってのう。」
「育てるのが難しいので、いつしか誰も作らなくなってしまったんじゃ。」
詳しく話を聞いてみると、その芋は、毎年同じ畑で作り続けると、どんどん小さくなるという。
しまいには、完全に枯れてしまうのだそうだ。
連作障害だ、私はすぐにその原因を理解した。
「その芋の種は、まだどこかに残っているかしら。」
「さあ、探せば、どこかの家の倉庫に、忘れられて転がっておるかもしれんな。」
私は村人たちに頼んで、村中の家を探してもらった。
すると、ある家の古い壺の底から、干からびた小さな芋が十数個見つかった。
「これだわ、きっとこれよ。」
私は、その芋を宝物のように大事に受け取った。
表面は皺だらけで、とても食べられそうには見えない。
しかし、その中には、未来の食卓を豊かにする可能性が眠っているのだ。
「みんな、この芋を、もう一度この村でたくさん収穫できるようにしてみせるわ。」
私は村人たちの前で、はっきりと宣言した。
そして、畑をいくつかの区画に分け、計画的な輪作農業を始めることにした。
「いい、この畑では、今年はこの芋を作るの。」
「でも、来年は『龍の髭』を育てる。そして、その次の年には、また別の作物を植えるの。」
「そうやって、毎年違うものを順番に育てれば、土の栄養が偏るのを防げるのよ。」
私は、畑の土を人間のお腹に例えて説明した。
毎日同じものばかり食べていたら、人間だって病気になるでしょう、と。
畑も、それと全く同じなのだ。
村人たちは、私の説明に熱心に頷いていた。
彼らはもう、私の言葉が自分たちの生活を豊かにすると知っている。
私たちは、見つかった種芋を丁寧に切り分ける。
それぞれの欠片に、ちゃんと芽が残るようにした。
そして、それを新しく改良した畑に、一つ一つ大事に植えていく。
「どうか、元気に育ってください。」
村の子供たちが、小さな手を合わせながら、畑に祈りを捧げている。
その純粋な姿に、私の心も温かくなった。
さらに、私はもう一つの重要な設備作りにも着手した。
それは、水路の建設だ。
この間復活させた泉は、村の貴重な水源となっていた。
しかし、村人たちは毎日、その泉まで重い桶を抱えて水を汲みに行かなければならない。
それは、本当に大変な重労働だった。
「あの泉から、この村まで水を引いてきましょう。」
「そうすれば、もう大変な思いをして水を運びに行かなくても良くなるわ。」
私の提案に、村人たちは「そんなことができるのか」と目を丸くした。
「ええ、できるわよ。地面に、少しだけ坂道を作ってあげるだけだから。」
私は、泉から村までの地形を注意深く調べた。
幸い、泉は村よりも少しだけ高い場所にある。
わずかな高さの違いだが、これを利用すれば、自然の力だけで水を流せるのだ。
私は、木の棒と水を入れた革袋を使って、簡単な測量道具を作った。
これを使って、泉から村まで、ごく緩やかな下り坂になるように水路の道筋を決める。
「ここから、あそこの木まで、まっすぐに溝を掘ってちょうだい。」
「深さは、大人の膝くらいでいいわ。底が平らになるように、気をつけてね。」
私が指示を出すと、カイを中心とした男たちが、鍬や鋤を使って地面を掘り始めた。
それは、とても気の遠くなるような作業だった。
しかし、村人たちは文句一つ言わず、黙々と土を掘り続けていく。
水路の底と側面には、水が漏れないように粘土を丁寧に塗り固めていく。
川から、みんなで一生懸命に運んできたものだ。
家づくりの経験が、ここでも大いに活かされた。
日を追うごとに、泉から村へと続く一本の道が、大地にくっきりと刻まれていった。
そして、ついに、水路が村の広場まで届いた日。
私たちは、泉をせき止めていた土嚢を、ゆっくりと取り除いた。
水が、勢いよく水路へと流れ込み、茶色い流れとなって村を目指す。
村人たちは、水路の両側に立って、息をのんでその様子を見守っていた。
やがて、水の先頭が、村の広場に作られた貯水池へとたどり着いた。
チョロチョロという可愛らしい音を立てて、水が貯水池へと注がれ始める。
その瞬間、村人たちの間から、割れんばかりの歓声が上がった。
「水が来たぞ、水が村に来たぞ。」
「村に、新しい川ができたんだ。」
子供たちは、さっそく貯水池の周りではしゃぎ回る。
そして、手ですくった水を互いに掛け合っている。
大人たちも、その光景を、目に涙を浮かべながら見つめていた。
もう、遠くまで水を汲みに行く必要はない。
いつでも、すぐそばに、清らかな水があるのだ。
その事実が、彼らの生活をどれほど楽にするか、計り知れない。
アルフレッドが、そっと私の隣にやってきて、深々と頭を下げた。
「お嬢様、またしても、あなたは奇跡を起こされました。」
「この御恩は、生涯忘れることはありませぬ。」
「だから、奇跡なんかじゃないわよ。これも、昔の人の知恵を借りただけ。」
私は少し照れながら言った。
でも、村人たちのあの笑顔を見られるのなら、聖女様と勘違いされるのも悪くない。
広場の貯水池の周りには、すぐに洗濯場や洗い場が作られた。
村の女性たちは、楽しそうにおしゃべりをしながら、そこで洗濯をしたり野菜を洗ったりしている。
それは、以前の村では決して見られなかった、平和で豊かな光景だった。
家、食料、そして水。
生きていく上で最低限必要なものが、これでようやく全て整った。
村は、驚くべき速さで復興を遂げている。
だが、私の計画は、まだこれで終わりではなかった。
人々が安心して暮らせるようになったら、次は、暮らしを『楽しむ』段階に進むべきだ。
例えば、食事だ。
今はまだ、芋を蒸したり、木の実を炒ったりするだけの、とても質素なものだ。
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「カイ、ちょっといいかしら。」
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「どうしたんだい、リゼット様。」
「この村の周りで、甘い蜜を出す花とか、蜂の巣とか、見かけたことはない。」
「蜂の巣か、そういや、南の崖のところに、でっけえのがあった気がするな。」
「危ねえから、誰も近づかねえけどな。」
その言葉に、私の目がキラリと輝いた。
蜂蜜、それは、砂糖が貴重なこの世界において、最高の甘味料だ。
あれさえあれば、私の夢であるお菓子作りに、一歩近づくことができる。
「よし、決めたわ。次は、蜂蜜を採りに行きましょう。」
私の次の提案に、カイは目を白黒させていた。
「は、蜂蜜だと、本気かよリゼット様。」
「あそこの蜂は、すげえ凶暴なんだぞ。」
「大丈夫よ、私に、良い考えがあるわ。」
「蜂を大人しくさせる、とっておきのおまじないがあるのよ。」
私は、自信満々に胸を張った。
前の世界の知識によれば、煙を使えば、蜂の攻撃性を和らげることができるはずだ。
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