16 / 30
16
しおりを挟む
松脂が完全に乾くまでには、丸二日という時間が必要だった。
その間、村人たちは交代で船の番をする。
彼らははやる気持ちをなんとか抑えて、その時を待った。
そしてついに、船を川まで運ぶ日がやってきた。
完成した船は、とても重かった。
村中の男たちがみんなで力を合わせ、太い綱を船体に巻きつける。
そして掛け声を合わせながら、ゆっくりと川へと引っ張っていく。
「「「よいしょ、よいしょ」」」
力強い掛け声が、森に響き渡った。
地面には船が通った跡が、一本の道のようにくっきりと刻まれていく。
それはこの村が、外の世界へと繋がる最初の道標だった。
川岸まで船を運ぶと、次はいよいよ進水式だ。
村の女性たちや子供たちも、息を止めてその様子を見守っている。
「みんな、準備はいいか。俺が合図したら、一気に川に押し出すんだぞ」
カイが、男たちに最後の指示を飛ばした。
皆はごくりと喉を鳴らし、船体に手をかけた。
「よし、行けええええっ」
カイの号令と共に、男たちがありったけの力で船を押し出した。
巨大な黒い船体は、ゆっくりと岸の土を滑る。
そしてザブンという大きな水しぶきを上げて、川面に着水した。
船は、少しの間だけ大きく揺れた。
村人たちが、息を飲んで見守る。
やがてその揺れはゆっくりと収まり、船は堂々と川面に浮かんでいた。
「「「うおおおおおおおおっ」」」
その瞬間、川岸は割れんばかりの大歓声に包まれた。
皆は抱き合って喜び、子供のように飛び跳ねている。
自分たちの手で作った船が、今、確かに水に浮いているのだ。
その事実が、何よりも彼らの胸を熱くさせていた。
「やったな、リゼット様」
カイがびしょ濡れのまま、満面の笑みで私に駆け寄ってきた。
「ええやったわね、カイ。みんなの、勝利よ」
私も、心からの笑顔で彼の肩を叩いた。
早速、何人かの若者が恐る恐る船に乗り込んでみる。
船は十人近くが乗っても、びくともしない。
安定感は、とても優れていた。
「すごい、全然揺れないぞ」
「これなら、荷物もたくさん積めそうだぜ」
船の上から、興奮した声が聞こえてくる。
これで、交易に行くための最高の足を手に入れた。
村に戻ると、私たちはすぐに町へ持って行く荷物の準備を始めた。
もちろん一番の目玉商品は、あの黄金色の蜂蜜だ。
「この蜂蜜を、町の人たちに売るのよ。きっと、高く買ってくれるに違いないわ」
私は、貯蔵していた蜂蜜の壺を村人たちの前に並べた。
蓋を開けると、甘く豊かな香りがふわりと広がる。
「ただ持って行くだけでなく、見た目も綺麗にしましょう。中身が素晴らしいものなら、器も相応しいものでないとね」
私は村の女性たちに、蜂蜜を入れるための新しい壺を作ってもらった。
粘土をこねて形を整え、窯で丁寧に焼き上げる。
それは、家づくりの時に作った瓦と同じやり方だ。
彼女たちの腕は、もはやベテランの職人と言ってもいいレベルだった。
出来上がった壺は、一つ一つ形は違う。
けれど、どれも素朴で温かみのある素晴らしい出来栄えだった。
私たちはその壺に、黄金色の蜂蜜をなみなみと注いでいく。
そして蜜蝋で作った蓋で、しっかりと封をした。
「蜂蜜の他に、何か売れるものはないかしら」
私の問いかけに、村人たちは少し考え込んだ。
するとカイが、森の恵みのナッツが入った袋をどさりと私の前に置いた。
「こいつはどうだ、これも町じゃ珍しいかもしれねえぜ」
「そうね、いい考えだわカイ」
あのナッツも栄養価が高くて、何より美味しい。
食べ方さえ教えてあげれば、きっと人気商品になるはずだ。
私たちはナッツも袋に詰め、交易品の荷物の中に加えた。
荷物の準備が整うと、次はいよいよ町へ向かうメンバーを選ぶ。
船の漕ぎ手として、力のある若者が必要になる。
そして、町の人と交渉するための代表者も必要だ。
「私が行くわ、この商品の価値を一番分かっているのは私だから」
私がそう言うと、村人たちは当然というように頷いた。
もはや村の重要な決定に、私が関わることを誰も疑わない。
「俺も行くぜ、リゼット様を一人で行かせるわけにはいかねえ」
カイが、力強く名乗りを上げた。
彼も、今やこの村に欠かせないリーダーの一人だ。
彼がいてくれれば、とても心強い。
その他に船の漕ぎ手として、若者の中から特に腕の立つ四人が選ばれた。
合計、六人での船旅となる。
「お嬢様、どうか、どうかご無事でお戻りください」
アルフレッドが、涙を浮かべて私の手を握りしめる。
彼は私が村の外に出ることを、誰よりも心配してくれていた。
「大丈夫よアルフレッド、村の未来のために少しだけ出稼ぎに行くだけだから。留守の間、村のことをよろしくね」
私は彼の優しい手を握り返し、安心させるように微笑んだ。
長老も私たちの前に進み出て、深々と頭を下げた。
「巫女様、そして村の勇者たちよ。皆の無事と交易の成功を、村に残る者一同、心から祈っておりますぞ」
「ええ、行ってきます」
私たちは村人たちの温かい声援に送られ、荷物を積んだ船へと乗り込んだ。
船には数日分の食料と水も、たっぷりと積まれている。
「よし、出航だ。錨を上げろ」
カイが、船乗りになりきって威勢のいい声を上げた。
もちろん、錨なんて立派なものはない。
若者たちが岸を力強く押し、船はゆっくりと流れの中へと滑り出した。
「「「いってらっしゃーい」」」
「リゼット様ー、気をつけてー」
岸に残った村人たちが、いつまでも手を振って私たちの船を見送っている。
その光景に、私の胸が熱くなった。
船は川の流れに乗り、思ったよりも速いスピードで東へと進んでいく。
両岸には見慣れた森の景色が、いつもとは違う角度で流れていった。
時折、森の奥から珍しい鳥の鳴き声が聞こえてくる。
「すげえ、川から見ると森も全然違って見えるな」
カイが、感心したように呟いた。
若者たちも初めての船旅に、興奮を隠せない様子だった。
私は船のへさきに立ち、進むべき方向を見つめていた。
地図によれば、この川を下っていけばいつか必ず町に着くはずだ。
そこでは、どんな出会いが待っているのだろうか。
私たちの蜂蜜は、この村にどんな富をもたらしてくれるのだろう。
期待と少しの不安を胸に、私たちの船は進んでいく。
川面を滑る風が、とても心地よかった。
太陽の光が水面に反射して、キラキラと輝いている。
それは、私たちの輝かしい未来を祝福しているかのようだった。
船旅は、とても順調だった。
川の流れは穏やかで、危険な急流や行く手を邪魔する岩もない。
私たちは交代で櫂を漕ぎ、着実に町へと近づいている。
夜は岸に船をつけて野営し、焚き火を囲んで食事をとった。
「なあリゼット様、町の奴らは本当に俺たちの蜂蜜を買ってくれるかな」
焚き火の炎を見つめながら、カイがぽつりと尋ねてきた。
その声には、期待と不安が混ざっている。
「ええきっとよ、あんなに美味しくて体に良いもの誰も放っておかないわ」
私は、自信を持って答えた。
あの蜂蜜の価値は、私が保証する。
問題は、それをどうやって町の人々に伝えるかだ。
私は頭の中で、町に着いてからの計画を練り始めていた。
ただ商品を並べて、客を待つだけではきっとダメだ。
もっと積極的に、蜂蜜の魅力を知らせる必要がある。
例えば、試食だ。
あの美味しさは、一度味わってもらえれば誰もが夢中になるはずだ。
あるいは、蜂蜜を使った簡単なお菓子をその場で作って見せるのもいい。
森の恵みのナッツと組み合わせれば、最高の宣伝になるだろう。
そんなことを考えていると、船の上で見張りをしていた若者が興奮した声で叫んだ。
「リゼット様、カイさん、前方に何か見えます」
私たちは慌てて火のそばから立ち上がり、川の下流へと目を凝らした。
まだ朝靄が立ち込めていて、はっきりとは見えない。
しかしその靄の向こうに、確かにいくつかの建物の影と淡い灯りが見えた。
「あれは」
カイが、ごくりと息を飲む。
私の心臓も、期待に大きく高鳴っていた。
長い船旅の終わりが、すぐそこまで来ている。
靄の向こうに見える光は、私たちが目指してきた町の灯りに違いなかった。
船の上の誰もが言葉を失い、その光景を見つめている。
朝の空気の中に、川のせせらぎと鳥の声だけが響いていた。
カイが私の隣に立ち、同じように町の方向を見つめている。
彼の横顔は、緊張と期待で引き締まっていた。
その間、村人たちは交代で船の番をする。
彼らははやる気持ちをなんとか抑えて、その時を待った。
そしてついに、船を川まで運ぶ日がやってきた。
完成した船は、とても重かった。
村中の男たちがみんなで力を合わせ、太い綱を船体に巻きつける。
そして掛け声を合わせながら、ゆっくりと川へと引っ張っていく。
「「「よいしょ、よいしょ」」」
力強い掛け声が、森に響き渡った。
地面には船が通った跡が、一本の道のようにくっきりと刻まれていく。
それはこの村が、外の世界へと繋がる最初の道標だった。
川岸まで船を運ぶと、次はいよいよ進水式だ。
村の女性たちや子供たちも、息を止めてその様子を見守っている。
「みんな、準備はいいか。俺が合図したら、一気に川に押し出すんだぞ」
カイが、男たちに最後の指示を飛ばした。
皆はごくりと喉を鳴らし、船体に手をかけた。
「よし、行けええええっ」
カイの号令と共に、男たちがありったけの力で船を押し出した。
巨大な黒い船体は、ゆっくりと岸の土を滑る。
そしてザブンという大きな水しぶきを上げて、川面に着水した。
船は、少しの間だけ大きく揺れた。
村人たちが、息を飲んで見守る。
やがてその揺れはゆっくりと収まり、船は堂々と川面に浮かんでいた。
「「「うおおおおおおおおっ」」」
その瞬間、川岸は割れんばかりの大歓声に包まれた。
皆は抱き合って喜び、子供のように飛び跳ねている。
自分たちの手で作った船が、今、確かに水に浮いているのだ。
その事実が、何よりも彼らの胸を熱くさせていた。
「やったな、リゼット様」
カイがびしょ濡れのまま、満面の笑みで私に駆け寄ってきた。
「ええやったわね、カイ。みんなの、勝利よ」
私も、心からの笑顔で彼の肩を叩いた。
早速、何人かの若者が恐る恐る船に乗り込んでみる。
船は十人近くが乗っても、びくともしない。
安定感は、とても優れていた。
「すごい、全然揺れないぞ」
「これなら、荷物もたくさん積めそうだぜ」
船の上から、興奮した声が聞こえてくる。
これで、交易に行くための最高の足を手に入れた。
村に戻ると、私たちはすぐに町へ持って行く荷物の準備を始めた。
もちろん一番の目玉商品は、あの黄金色の蜂蜜だ。
「この蜂蜜を、町の人たちに売るのよ。きっと、高く買ってくれるに違いないわ」
私は、貯蔵していた蜂蜜の壺を村人たちの前に並べた。
蓋を開けると、甘く豊かな香りがふわりと広がる。
「ただ持って行くだけでなく、見た目も綺麗にしましょう。中身が素晴らしいものなら、器も相応しいものでないとね」
私は村の女性たちに、蜂蜜を入れるための新しい壺を作ってもらった。
粘土をこねて形を整え、窯で丁寧に焼き上げる。
それは、家づくりの時に作った瓦と同じやり方だ。
彼女たちの腕は、もはやベテランの職人と言ってもいいレベルだった。
出来上がった壺は、一つ一つ形は違う。
けれど、どれも素朴で温かみのある素晴らしい出来栄えだった。
私たちはその壺に、黄金色の蜂蜜をなみなみと注いでいく。
そして蜜蝋で作った蓋で、しっかりと封をした。
「蜂蜜の他に、何か売れるものはないかしら」
私の問いかけに、村人たちは少し考え込んだ。
するとカイが、森の恵みのナッツが入った袋をどさりと私の前に置いた。
「こいつはどうだ、これも町じゃ珍しいかもしれねえぜ」
「そうね、いい考えだわカイ」
あのナッツも栄養価が高くて、何より美味しい。
食べ方さえ教えてあげれば、きっと人気商品になるはずだ。
私たちはナッツも袋に詰め、交易品の荷物の中に加えた。
荷物の準備が整うと、次はいよいよ町へ向かうメンバーを選ぶ。
船の漕ぎ手として、力のある若者が必要になる。
そして、町の人と交渉するための代表者も必要だ。
「私が行くわ、この商品の価値を一番分かっているのは私だから」
私がそう言うと、村人たちは当然というように頷いた。
もはや村の重要な決定に、私が関わることを誰も疑わない。
「俺も行くぜ、リゼット様を一人で行かせるわけにはいかねえ」
カイが、力強く名乗りを上げた。
彼も、今やこの村に欠かせないリーダーの一人だ。
彼がいてくれれば、とても心強い。
その他に船の漕ぎ手として、若者の中から特に腕の立つ四人が選ばれた。
合計、六人での船旅となる。
「お嬢様、どうか、どうかご無事でお戻りください」
アルフレッドが、涙を浮かべて私の手を握りしめる。
彼は私が村の外に出ることを、誰よりも心配してくれていた。
「大丈夫よアルフレッド、村の未来のために少しだけ出稼ぎに行くだけだから。留守の間、村のことをよろしくね」
私は彼の優しい手を握り返し、安心させるように微笑んだ。
長老も私たちの前に進み出て、深々と頭を下げた。
「巫女様、そして村の勇者たちよ。皆の無事と交易の成功を、村に残る者一同、心から祈っておりますぞ」
「ええ、行ってきます」
私たちは村人たちの温かい声援に送られ、荷物を積んだ船へと乗り込んだ。
船には数日分の食料と水も、たっぷりと積まれている。
「よし、出航だ。錨を上げろ」
カイが、船乗りになりきって威勢のいい声を上げた。
もちろん、錨なんて立派なものはない。
若者たちが岸を力強く押し、船はゆっくりと流れの中へと滑り出した。
「「「いってらっしゃーい」」」
「リゼット様ー、気をつけてー」
岸に残った村人たちが、いつまでも手を振って私たちの船を見送っている。
その光景に、私の胸が熱くなった。
船は川の流れに乗り、思ったよりも速いスピードで東へと進んでいく。
両岸には見慣れた森の景色が、いつもとは違う角度で流れていった。
時折、森の奥から珍しい鳥の鳴き声が聞こえてくる。
「すげえ、川から見ると森も全然違って見えるな」
カイが、感心したように呟いた。
若者たちも初めての船旅に、興奮を隠せない様子だった。
私は船のへさきに立ち、進むべき方向を見つめていた。
地図によれば、この川を下っていけばいつか必ず町に着くはずだ。
そこでは、どんな出会いが待っているのだろうか。
私たちの蜂蜜は、この村にどんな富をもたらしてくれるのだろう。
期待と少しの不安を胸に、私たちの船は進んでいく。
川面を滑る風が、とても心地よかった。
太陽の光が水面に反射して、キラキラと輝いている。
それは、私たちの輝かしい未来を祝福しているかのようだった。
船旅は、とても順調だった。
川の流れは穏やかで、危険な急流や行く手を邪魔する岩もない。
私たちは交代で櫂を漕ぎ、着実に町へと近づいている。
夜は岸に船をつけて野営し、焚き火を囲んで食事をとった。
「なあリゼット様、町の奴らは本当に俺たちの蜂蜜を買ってくれるかな」
焚き火の炎を見つめながら、カイがぽつりと尋ねてきた。
その声には、期待と不安が混ざっている。
「ええきっとよ、あんなに美味しくて体に良いもの誰も放っておかないわ」
私は、自信を持って答えた。
あの蜂蜜の価値は、私が保証する。
問題は、それをどうやって町の人々に伝えるかだ。
私は頭の中で、町に着いてからの計画を練り始めていた。
ただ商品を並べて、客を待つだけではきっとダメだ。
もっと積極的に、蜂蜜の魅力を知らせる必要がある。
例えば、試食だ。
あの美味しさは、一度味わってもらえれば誰もが夢中になるはずだ。
あるいは、蜂蜜を使った簡単なお菓子をその場で作って見せるのもいい。
森の恵みのナッツと組み合わせれば、最高の宣伝になるだろう。
そんなことを考えていると、船の上で見張りをしていた若者が興奮した声で叫んだ。
「リゼット様、カイさん、前方に何か見えます」
私たちは慌てて火のそばから立ち上がり、川の下流へと目を凝らした。
まだ朝靄が立ち込めていて、はっきりとは見えない。
しかしその靄の向こうに、確かにいくつかの建物の影と淡い灯りが見えた。
「あれは」
カイが、ごくりと息を飲む。
私の心臓も、期待に大きく高鳴っていた。
長い船旅の終わりが、すぐそこまで来ている。
靄の向こうに見える光は、私たちが目指してきた町の灯りに違いなかった。
船の上の誰もが言葉を失い、その光景を見つめている。
朝の空気の中に、川のせせらぎと鳥の声だけが響いていた。
カイが私の隣に立ち、同じように町の方向を見つめている。
彼の横顔は、緊張と期待で引き締まっていた。
134
あなたにおすすめの小説
刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。
木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。
その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。
本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。
リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。
しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。
なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。
竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。
※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。
※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く
腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」
――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。
癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。
居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。
しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。
小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ひめさまはおうちにかえりたい
あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編)
王冠を手に入れたあとは、魔王退治!? 因縁の女神を殴るための策とは。(聖女と魔王と魔女編)
平和な女王様生活にやってきた手紙。いまさら、迎えに来たといわれても……。お帰りはあちらです、では済まないので撃退します(幼馴染襲来編)
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる