21 / 30
21
しおりを挟む
「なあリゼット様、俺にもその文字ってやつを教えてもらえねえかな。」
彼の目は、燃える薪のようにまっすぐで真剣だった。
町で見たギルドの契約書や、私が熱心に本を読む姿。
それらが、彼の心に火をつけたのだろう。
ただの好奇心ではない、知ることへの強い渇望がそこにはあった。
私は、驚きと嬉しさで胸がいっぱいになる。
この村が本当の意味で豊かになるため、その第一歩が今ここから始まるのだ。
「ええもちろんよ、喜んで教えるわ。」
カイだけでなく、学びたいと願う人には誰にでも教えるつもりだ。
私の返事に、カイの顔がぱっと明るくなる。
その笑顔は、まるで雲間から差し込む太陽の光のようだった。
隣で話を聞いていた若者たちも、興味津々で顔を見合わせている。
彼らの間でも、言葉にできない何かが動き始めているのが分かった。
「本当か、リゼット様。俺たちみたいなもんに、本当に文字が覚えられるのか。」
若者の一人が、おそるおそる期待に満ちた声で尋ねてきた。
「もちろんよ、文字は誰にでも開かれた力だもの。身分や生まれなんて、全く関係ないわ。知りたいと願う心さえあれば、誰だって身につけられるのよ。」
その日から、私たちの黒い丸木舟は学びの場へと姿を変えた。
川をゆっくりと上る時間を使って、私は彼らに文字の基礎から教え始める。
教科書も紙もないから、使うのは船の床と木炭のかけらだ。
「いい、これが『カイ』というあなたの名前よ。一つ一つの線に、ちゃんとした意味が込められているの。」
私は、カイの名前をゆっくりと丁寧に書いてみせた。
カイは、生まれて初めて見る自分の名前に目を輝かせる。
彼は、不器用な手つきで私の真似をして木炭を動かした。
最初は歪んでいた線も、練習するうちにだんだんと形になっていく。
若者たちも、自分の名前を教えてもらうと大喜びだった。
彼らは夢中になって、船の床のあちこちに何度も名前を書き続ける。
その姿は、まるで新しいおもちゃを与えられた子供のようであった。
やがて、自分の名前を覚えると仲間同士で名前を書き合って笑っている。
「文字が分かると、世界がもっとはっきりと見えるようになるのよ。今までただの景色だったものが、ちゃんと意味を持つようになるの。」
私は、町で買った『辺境の民と失われた知恵』という本を再び開いてみせた。
そして、そこに書かれている物語を彼らに読んで聞かせる。
遠い国の英雄の冒険譚や、賢者の残した教えであった。
彼らは、櫂を漕ぐのも忘れて物語に聞き入っていた。
「すげえ、本の中にはこんな世界が広がってんのか。俺たちが知らないことが、世の中にはたくさんあるんだな。」
カイが、感心したように息を飲む。
「ええ、そして知識は私たちに新しい力をくれるわ。例えば、この本に書かれている燻製という技術もその一つよ。」
私は、魚を長く保存する方法について書かれたページを彼らに見せた。
そこには、燻製小屋の簡単な絵も描かれている。
その絵を指でなぞりながら、私はゆっくりと説明した。
「煙でいぶすことで、魚が腐りにくくなるの。それに独特の良い香りがついて、とても美味しくなるそうよ。煙でいぶす時間や、使う木の種類でも味が変わるんですって。」
「へえ、煙にそんな力があったなんてな。」
若者の一人が、驚きの声を上げた。
彼らにとっては、煙はただ目にしみるだけの厄介なものだったのだ。
しかし知識という光を当てれば、それは暮らしを豊かにする道具に変わる。
「薬草の知識も、きっと村の役に立つわ。見て、この絵の草は熱を下げる効果があるんですって。この村の森にも、たぶん生えているかもしれないわね。」
私は、本に描かれた薬草の絵をみんなに見せた。
森で見たことがある植物も、全く見慣れない植物もそこにはあった。
「これからは、ただの雑草だと見過ごしていたものが宝物になるかもしれないわね。」
私の言葉に、みんなが力強くうなずいた。
彼らの目には、村に帰ってからの新しい生活への期待が満ちあふれている。
彼らはもう、ただ言われたことを待つだけではない。
自らの手で、村の宝を探し出そうという意欲に燃えていた。
学びと発見に満ちた船旅は、あっという間に過ぎていった。
数日後、私たちの目の前に見慣れた村の景色が広がってくる。
川岸には、たくさんの人影が見えた。
村人たちが、私たちの帰りを今か今かと待ちわびてくれていたのだ。
「帰ってきたぞー。」
船の上から、若者の一人が大きく手を振って叫んだ。
その声に、岸辺から大きな歓声が上がる。
船が岸に着くと、アルフレッドや長老が駆け寄ってきた。
彼らの顔には、安堵と喜びの色が浮かんでいる。
「お嬢様、ご無事で何よりでございます。心配しておりました、本当に。」
アルフレッドが、涙ぐみながら私の手を取った。
「巫女様、交易はいかがでしたかな。」
長老が、少し心配そうな顔で尋ねてくる。
私は、にっこりと微笑んで船の上を指差した。
「ええ、見てください。これが、私たちの成果です。」
私の言葉を合図に、若者たちが次々と船から荷物を降ろし始めた。
ずっしりと重い塩の袋や、黒光りする鉄の塊。
そして、未来への希望が詰まったたくさんの種の袋があった。
それらが地面に並べられていくのを見て、村人たちから驚きの声が上がる。
「すごい、こんなにたくさんの塩を。」
「この鉄があれば、新しい鍬がたくさん作れるぞ。」
「この袋の中には、一体何が入っているんだ。」
村人たちは、宝の山を前にして興奮を隠せない様子だった。
カイが、みんなの前に進み出て誇らしげに胸を張る。
「みんな、聞いてくれ。リゼット様のおかげで、町の商人ギルドと大きな契約を結ぶことができたんだ。」
カイは、市場での出来事を少し興奮した様子で語り始めた。
ギルド長との出会いや、蜂蜜と引き換えにこれらの品物を手に入れたこと。
彼の話を聞き終えると、村中が再び割れんばかりの歓声に包まれた。
皆が、私たちの成功を自分のことのように喜んでくれている。
「さすがは、我らが巫女様だ。」
「リゼット様、万歳。」
村人たちの私への称賛の声は、もはや信仰に近いものになっていた。
長老が、私の前に進み出て深く頭を下げる。
「巫女様、この御恩は言葉では言い尽くせません。あなた様は、この村の救い主でございます。」
「やめてください、長老。これは、私一人の力ではありません。船を作ってくれたみんなや、町で一緒に頑張ってくれたカイさんたちがいたからです。」
私の言葉に、カイや若者たちは少し照れくさそうに頭を掻いた。
しかし、その顔は誇りと自信に満ちている。
この交易の成功は、彼らを大きく成長させたようだった。
その夜、村では私たちの帰還と成功を祝う盛大な宴が開かれた。
広場には大きなたき火が焚かれ、村人たちの笑顔を明るく照らしている。
私は、その宴の席で村人たちに向かって次の計画を発表した。
「みんな、私たちの村は今日から新しい時代に入ります。まず、この鉄を使って新しい農具を作りましょう。そして、この種をまくために畑をさらに広げるのです。」
私の言葉に、村人たちは期待に満ちた目でうなずいた。
「それから、川で獲れた魚を無駄にしないために燻製小屋を建てます。病気や怪我に備えて、薬草を集めておく必要もあるわね。」
私の計画は、次から次へとあふれ出てくる。
その全てが、この村をさらに豊かにするためのものだった。
そして、私は最後に一番大切な計画を発表する。
「最後に、この村に小さな学校を作りたいと思います。文字を学び、知識を分かち合うための場所です。」
私の提案に、村人たちは少し驚いたようにざわめいた。
学校なんて、彼らには想像もつかないものだったのだろう。
しかし、カイが力強く立ち上がって言った。
「俺も、リゼット様に文字を習っている。文字が分かれば、世界はもっと広くなるんだ。」
カイの言葉には、不思議な説得力があった。
彼の言葉を聞いて、村人たちの間の戸惑いはすぐに消えていく。
代わりに、新しい学びへの興味が芽生え始めていた。
「ありがとう、カイ。」
私は、彼の助け舟に心から感謝した。
彼の隣には、いつの間にか頼もしいリーダーの顔つきがあった。
彼ならきっと私の計画を支え、村人たちをまとめてくれるだろう。
宴の熱気の中で、村の新しい未来が確かな形となって見え始めていた。
翌日から、私たちの村は再び活気に満ちあふれることになる。
新しい農具や新しい作物、そして新しい学びが始まるのだ。
彼の目は、燃える薪のようにまっすぐで真剣だった。
町で見たギルドの契約書や、私が熱心に本を読む姿。
それらが、彼の心に火をつけたのだろう。
ただの好奇心ではない、知ることへの強い渇望がそこにはあった。
私は、驚きと嬉しさで胸がいっぱいになる。
この村が本当の意味で豊かになるため、その第一歩が今ここから始まるのだ。
「ええもちろんよ、喜んで教えるわ。」
カイだけでなく、学びたいと願う人には誰にでも教えるつもりだ。
私の返事に、カイの顔がぱっと明るくなる。
その笑顔は、まるで雲間から差し込む太陽の光のようだった。
隣で話を聞いていた若者たちも、興味津々で顔を見合わせている。
彼らの間でも、言葉にできない何かが動き始めているのが分かった。
「本当か、リゼット様。俺たちみたいなもんに、本当に文字が覚えられるのか。」
若者の一人が、おそるおそる期待に満ちた声で尋ねてきた。
「もちろんよ、文字は誰にでも開かれた力だもの。身分や生まれなんて、全く関係ないわ。知りたいと願う心さえあれば、誰だって身につけられるのよ。」
その日から、私たちの黒い丸木舟は学びの場へと姿を変えた。
川をゆっくりと上る時間を使って、私は彼らに文字の基礎から教え始める。
教科書も紙もないから、使うのは船の床と木炭のかけらだ。
「いい、これが『カイ』というあなたの名前よ。一つ一つの線に、ちゃんとした意味が込められているの。」
私は、カイの名前をゆっくりと丁寧に書いてみせた。
カイは、生まれて初めて見る自分の名前に目を輝かせる。
彼は、不器用な手つきで私の真似をして木炭を動かした。
最初は歪んでいた線も、練習するうちにだんだんと形になっていく。
若者たちも、自分の名前を教えてもらうと大喜びだった。
彼らは夢中になって、船の床のあちこちに何度も名前を書き続ける。
その姿は、まるで新しいおもちゃを与えられた子供のようであった。
やがて、自分の名前を覚えると仲間同士で名前を書き合って笑っている。
「文字が分かると、世界がもっとはっきりと見えるようになるのよ。今までただの景色だったものが、ちゃんと意味を持つようになるの。」
私は、町で買った『辺境の民と失われた知恵』という本を再び開いてみせた。
そして、そこに書かれている物語を彼らに読んで聞かせる。
遠い国の英雄の冒険譚や、賢者の残した教えであった。
彼らは、櫂を漕ぐのも忘れて物語に聞き入っていた。
「すげえ、本の中にはこんな世界が広がってんのか。俺たちが知らないことが、世の中にはたくさんあるんだな。」
カイが、感心したように息を飲む。
「ええ、そして知識は私たちに新しい力をくれるわ。例えば、この本に書かれている燻製という技術もその一つよ。」
私は、魚を長く保存する方法について書かれたページを彼らに見せた。
そこには、燻製小屋の簡単な絵も描かれている。
その絵を指でなぞりながら、私はゆっくりと説明した。
「煙でいぶすことで、魚が腐りにくくなるの。それに独特の良い香りがついて、とても美味しくなるそうよ。煙でいぶす時間や、使う木の種類でも味が変わるんですって。」
「へえ、煙にそんな力があったなんてな。」
若者の一人が、驚きの声を上げた。
彼らにとっては、煙はただ目にしみるだけの厄介なものだったのだ。
しかし知識という光を当てれば、それは暮らしを豊かにする道具に変わる。
「薬草の知識も、きっと村の役に立つわ。見て、この絵の草は熱を下げる効果があるんですって。この村の森にも、たぶん生えているかもしれないわね。」
私は、本に描かれた薬草の絵をみんなに見せた。
森で見たことがある植物も、全く見慣れない植物もそこにはあった。
「これからは、ただの雑草だと見過ごしていたものが宝物になるかもしれないわね。」
私の言葉に、みんなが力強くうなずいた。
彼らの目には、村に帰ってからの新しい生活への期待が満ちあふれている。
彼らはもう、ただ言われたことを待つだけではない。
自らの手で、村の宝を探し出そうという意欲に燃えていた。
学びと発見に満ちた船旅は、あっという間に過ぎていった。
数日後、私たちの目の前に見慣れた村の景色が広がってくる。
川岸には、たくさんの人影が見えた。
村人たちが、私たちの帰りを今か今かと待ちわびてくれていたのだ。
「帰ってきたぞー。」
船の上から、若者の一人が大きく手を振って叫んだ。
その声に、岸辺から大きな歓声が上がる。
船が岸に着くと、アルフレッドや長老が駆け寄ってきた。
彼らの顔には、安堵と喜びの色が浮かんでいる。
「お嬢様、ご無事で何よりでございます。心配しておりました、本当に。」
アルフレッドが、涙ぐみながら私の手を取った。
「巫女様、交易はいかがでしたかな。」
長老が、少し心配そうな顔で尋ねてくる。
私は、にっこりと微笑んで船の上を指差した。
「ええ、見てください。これが、私たちの成果です。」
私の言葉を合図に、若者たちが次々と船から荷物を降ろし始めた。
ずっしりと重い塩の袋や、黒光りする鉄の塊。
そして、未来への希望が詰まったたくさんの種の袋があった。
それらが地面に並べられていくのを見て、村人たちから驚きの声が上がる。
「すごい、こんなにたくさんの塩を。」
「この鉄があれば、新しい鍬がたくさん作れるぞ。」
「この袋の中には、一体何が入っているんだ。」
村人たちは、宝の山を前にして興奮を隠せない様子だった。
カイが、みんなの前に進み出て誇らしげに胸を張る。
「みんな、聞いてくれ。リゼット様のおかげで、町の商人ギルドと大きな契約を結ぶことができたんだ。」
カイは、市場での出来事を少し興奮した様子で語り始めた。
ギルド長との出会いや、蜂蜜と引き換えにこれらの品物を手に入れたこと。
彼の話を聞き終えると、村中が再び割れんばかりの歓声に包まれた。
皆が、私たちの成功を自分のことのように喜んでくれている。
「さすがは、我らが巫女様だ。」
「リゼット様、万歳。」
村人たちの私への称賛の声は、もはや信仰に近いものになっていた。
長老が、私の前に進み出て深く頭を下げる。
「巫女様、この御恩は言葉では言い尽くせません。あなた様は、この村の救い主でございます。」
「やめてください、長老。これは、私一人の力ではありません。船を作ってくれたみんなや、町で一緒に頑張ってくれたカイさんたちがいたからです。」
私の言葉に、カイや若者たちは少し照れくさそうに頭を掻いた。
しかし、その顔は誇りと自信に満ちている。
この交易の成功は、彼らを大きく成長させたようだった。
その夜、村では私たちの帰還と成功を祝う盛大な宴が開かれた。
広場には大きなたき火が焚かれ、村人たちの笑顔を明るく照らしている。
私は、その宴の席で村人たちに向かって次の計画を発表した。
「みんな、私たちの村は今日から新しい時代に入ります。まず、この鉄を使って新しい農具を作りましょう。そして、この種をまくために畑をさらに広げるのです。」
私の言葉に、村人たちは期待に満ちた目でうなずいた。
「それから、川で獲れた魚を無駄にしないために燻製小屋を建てます。病気や怪我に備えて、薬草を集めておく必要もあるわね。」
私の計画は、次から次へとあふれ出てくる。
その全てが、この村をさらに豊かにするためのものだった。
そして、私は最後に一番大切な計画を発表する。
「最後に、この村に小さな学校を作りたいと思います。文字を学び、知識を分かち合うための場所です。」
私の提案に、村人たちは少し驚いたようにざわめいた。
学校なんて、彼らには想像もつかないものだったのだろう。
しかし、カイが力強く立ち上がって言った。
「俺も、リゼット様に文字を習っている。文字が分かれば、世界はもっと広くなるんだ。」
カイの言葉には、不思議な説得力があった。
彼の言葉を聞いて、村人たちの間の戸惑いはすぐに消えていく。
代わりに、新しい学びへの興味が芽生え始めていた。
「ありがとう、カイ。」
私は、彼の助け舟に心から感謝した。
彼の隣には、いつの間にか頼もしいリーダーの顔つきがあった。
彼ならきっと私の計画を支え、村人たちをまとめてくれるだろう。
宴の熱気の中で、村の新しい未来が確かな形となって見え始めていた。
翌日から、私たちの村は再び活気に満ちあふれることになる。
新しい農具や新しい作物、そして新しい学びが始まるのだ。
115
あなたにおすすめの小説
刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。
木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。
その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。
本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。
リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。
しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。
なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。
竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。
※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。
※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く
腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」
――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。
癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。
居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。
しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。
小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ひめさまはおうちにかえりたい
あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編)
王冠を手に入れたあとは、魔王退治!? 因縁の女神を殴るための策とは。(聖女と魔王と魔女編)
平和な女王様生活にやってきた手紙。いまさら、迎えに来たといわれても……。お帰りはあちらです、では済まないので撃退します(幼馴染襲来編)
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる