【完結】恋愛経験ゼロ、モテ要素もないので恋愛はあきらめていたオメガ男性が運命の番に出会う話

十海 碧

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 9月に入っても暑い日が続いていた。
 伊集院美月は9月から半年、フランスのソルボンヌ大学の交換留学生となり旅立った。留学前にアルファのパーティに参加していたようだが美月を射止めた者はいなかった。
 美月が優斗を振ったことは一流のアルファ達には当然と受け止められていた。アルファの中でも序列があり、優斗のようなベータ家庭に生まれたアルファは美月のようなアルファ一族のアルファと違い二流扱いであった。
 友人の東拓哉は生まれはベータ家庭であるが数学やプログラミングで優秀な成績を修めているので一流のアルファも一目置いている。しかし、そのような飛びぬけた能力は自分にはないと優斗には分かっていた。北海道では優秀と思われていたが、T大ではアルファとしては二流という扱いが最初はショックだった。T大の大半を占めるベータより優秀なので大きく困ることはない。優斗の立ち位置はベータより優秀だが、アルファとしては平凡であった。
 T大に入学してそのギャップがあり、ベータ家庭と生まれは二流だが能力的に一流である拓哉に魅かれた。仲良くなったのはそのギャップを埋めるためだったのかもしれない。拓哉のようなアルファに、プライドの高い一流のアルファは一目は置くが、あまり近寄らない。拓哉の周囲には同じ工学部のベータが多かった。ベータはどうせアルファの下につくのなら能力が高いアルファがいいので、能力的に一流の拓哉の周辺に集まるのは当然だった。
 優斗は小学生まではベータしかいない環境で過ごしていたのでベータと仲良くすることに抵抗がない。拓哉の下につくベータ達とも優斗は自然に仲良くなれた。その集団のリーダー的立ち位置である拓哉は人間関係には無頓着なので、他の集団と違い規律は緩かった。
 優斗は拓哉以外はベータと仲良く過ごし、ベータの女子と時々デートするような2年間を過ごした。
 優斗が3年生の時、一流中の一流アルファである美月が入学してきた。一流のアルファは色めきだったが、美月が選んだのは優斗だった。美月自身も素敵な女性であったが、一流のアルファを差し置いて自分に好意を示したことに優斗のプライドがくすぐられたのも否定できない。もし、美月がベータだったら、そこまで好きにならなかっただろう。一流の女性だったから、選ばれた自分も一流のような気がして嬉しかったのだ。

 蓮に出会った時、一流とか二流とかは一切気にならなかった。気にしてるゆとりもなかった。ただ蓮が欲しかった。本当に愛するっていうのはこういうシンプルなことだと分かった。周りの目は関係なしに蓮と一緒にいるだけで幸せである。
 蓮が奪われたら自分は狂うかもしれない。蓮を早く自分のものにしたかった。
 早く番にして結婚したい。
 経済的に安定するために仕事をする。今までは拓哉のプログラミング能力に少し嫉妬して、張り合っていたように思う。今は蓮との幸せのために高収入になりたいので、拓哉に張り合う気持ちはなく、むしろ拓哉が働きやすくなるようサポートしEASTを儲けさせたいと考えている。
 オンオフをしっかり切り替え、仕事漬けではなく蓮との時間を過ごせるように仕事を分業制にしたい。拓哉は仕事の虫だが、他のブラックな環境に辟易しているベータ達とはきっと意見が合うと思うので、分業制は上手く行くだろう。
 蓮の誕生日に誕生石のラピスラズリが嵌ったシルバーの指輪をプレゼントした。蓮は喜んで身に着けてくれた。アルファの念を込め、蓮に近寄る他のアルファに警告する役割を果たして欲しいと思う。
 蓮とはヒート以来、会うと体を重ねたくなる。蓮が自分以外のアルファに目を向けないように色々丁寧にしたい気持ちはあるのだが、優斗もそれほど恋愛経験が豊富なわけでもないのでつい夢中になってしまい、自分の快楽のみ追い求めてしまう。うなじを噛めない分、蓮の綺麗な体に所有の証拠としてキスマークをつい付けてしまう。蓮には悪いと思いながら、これで他の人の前で服を脱げないだろうと満足する気持ちもある。
 蓮が在宅の仕事で良かったとつくづく思う。大学に通っていたり会社勤めをしていたら他のアルファに絶対狙われてしまう。美月も言っていたが、男性オメガは少数である。男性アルファはパートナーとして女性を好む人が多いのも事実だが、男性がいい人も一定数いる。男性がいい人にとって男性オメガは結婚もできるし子孫も残せるから世間や親にも説明しやすく人気があるのだ。
 優斗の心配は続くのである。
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