僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

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第十五話

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私は楓の腕を掴み、そのまま私の家に招き入れた。
理由は簡単だ。
今日は、シャワーではなくお風呂に入る日だから、楓を引っ張ってきたのである。
とりあえず、帰ってきてからすぐにお風呂を沸かしに浴室へと行き、すぐに楓のところに戻る。

「今日は、お風呂に入る日だから、私と一緒に入ろ。楓に拒否権はないんだから、お風呂が沸いたらさっさとお風呂場に行きなさいよね」
「え……。でも……」
「何か文句でもあるの?」
「…無いです」

楓は、観念したかのようにうなだれてしまい、脱衣室へと向かっていった。
まだ沸かしたばかりだけど、別に良いよね。
そこには、たぶん私以外に誰も行かないと思うし。
楓とは、お風呂に入る時は一緒って約束したからね。
私は、楓とのこの約束を最大限に利用するつもりだ。
しかし、そこに思わぬ邪魔者が現れる。
彼女は、家の二階から降りてきた。彼女というのは、言うまでもなく妹の花音だ。

「お姉ちゃん。何してるの?」
「え、いや……。何もしてないわよ。お風呂に入りたいから、用意してただけだよ」

私は、平静を装いそう言葉を返す。

「ふ~ん……。そうなんだ」

花音は、いかにも怪しいといった目で、私のことを見てくる。
なんだろう?
花音が気になるようなことを言ったかな、私。
いつもどおりだと思うんだけど……。
私は、睨むように花音を見て、口を開いた。

「何よ、その目は? 気になることでもあるの?」
「別に~。楓の心を捕まえるつもりなら、一緒にお風呂じゃなくて、ベッドに誘い込んでセックスするのが一番なんじゃないかなって思っただけだよ。まぁ、お姉ちゃんのことだから、楓とセックスなんてまだできてないんだろうけどね」
「ああ、セックスね。楓となら、何回もしたけど」

私は、なぜか余裕のある笑みを浮かべてそう言っていた。
なんで妹にそんなことを自慢しなきゃいけないのかわからないけど、私の口からは、そう言っていたのだから仕方がない。

「え……。えええ~⁉︎」

花音は、最初は呆然としていたが、すぐに火が付いたかのように顔が真っ赤になる。
どうやら花音は、私と楓がセックスをした仲だということを知らなかったみたいだ。
まぁ、こんなこと私の口からは、なかなか言いづらいことだからね。
花音があんなことを言ってこなければ、私もこんなことは言わなかったと思うし。

「お姉ちゃん、もう処女をあげちゃったの⁉︎」
「うん。こういうのは、早い方がいいと思ってね」
「そんなぁ……。私が、先にしようと思っていたのに……」

花音は、悲しいやら悔しいやらといったような表情を浮かべてそう言った。
なぜ楓にそこまでこだわるのか、わからないんだけど……。

「え? 花音? まさか、楓とエッチなことをするつもりだったの?」
「そうだよ。お姉ちゃんは、いずれは隆一さんと付き合うものだと思ってたから。そこでフリーになってる楓に迫れば、楓も諦めて私と付き合ってくれるかなって──」
「そっか。それで楓のことを貶めるようなことを言って、他の女の子たちに奪られないようにしてたんだね」
「…そうよ。悪いことなの?」

花音は、ムッとした表情で言う。
花音が楓のことを軽蔑視してるのは見てきたけど、そんな理由とは……。
だけど、これは楓にとってはあまりにも酷い話だ。
私が楓と恋人同士になっていなかったら、楓は高校卒業しても彼女ができずにずっと『お一人様』になってたと思う。

「他の女の子を遠ざけるためだから悪いことではないんだろうけど、私としてはオススメできないかな」
「どうしてよ! お姉ちゃんだって、他の女の子を遠ざけるために楓にアプローチしてるじゃない! 私と何が違うのよ⁉︎」
「私は、楓のことを軽蔑視したり悪口を言ったりはしないよ。そんなことをしたら、いざ付き合うとなった時に周囲の人たちから色んな事を言われちゃうからね」
「うっ……」

花音は、図星を突かれたかのように言葉を詰まらせる。
ちょっと考えれば、わかることなんだけどね。
楓の悪口を言ってるような女の子が、楓と付き合えるわけがないって。
そして、タイミングが良いのか悪いのか楓が脱衣室から出てくる。
どうやら、お風呂が沸いたみたいだ。
楓は、花音に視線を向けると微笑を浮かべる。

「あれ? 花音、いたんだね。もしかして、花音が先に入るとか?」
「そ、そんなわけないじゃない! 私は──」

花音は、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして何かを言いかけた。
これは、面白いことになりそうな予感。
私は、悪戯っぽい笑みを浮かべて言う。

「そうだよね。楓となんて、一緒に入りたくないよね。花音の気持ちはよくわかるよ」
「いや、私は──」

私の言葉に、花音はかなり動揺していた。
その様子を見ていたら、揶揄ってみるのも面白いなと思ってしまう私がいる。
でも、楓と一緒にお風呂に入るのは、私だ。
私は楓の腕を掴み、脱衣室へと足を向ける。

「私は、楓と一緒にお風呂に入るからね。花音は気にしなくていいよ。行こう、楓」
「え、うん」

楓は、『本気なの?』と言わんばかりだ。
あいにくと私は、本気なのである。

「ちょっと待ってよ! お姉ちゃん!」

脱衣室へと向かう私と楓の後を、花音はついてきた。
私は、名案と言わんばかりに笑顔を見せて、花音に言う。

「そんなに気になるんだったら、一緒に入る?」
「え……」
「花音も、楓のことが気になるんでしょ? だったら、一緒に入って親睦を深めればいいと思うんだよね」
「そんなこと──」
「幼馴染なら、できると思うんだけどな」
「うぅ……」

花音は、恥ずかしくなってしまったのか、一歩だけ後ずさる。
たしかに私と楓は幼馴染だ。だけど、それは花音だって同じはずである。
花音は、私を見て口を開く。

「私は、お姉ちゃんとは違うもん……。そんな大胆にはなれないよ」
「私が大胆って……。普通だと思うんだけどな」

私は、制服のブラウスを脱ぎながらそう言った。
そういえば、奈緒ちゃんにも同じことを言われたような気がしたな。
私って、そんなに大胆なんだろうか。
楓とは、小さい頃からお風呂とかには入っていたし。何も問題はないと思うんだけど……。
花音は、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして言う。

「楓と一緒にお風呂に入ろうって思うところが、すでに大胆だよ。私なら、手を繋いだりするので精一杯だし」
「そっか。それじゃ、一緒には入らないんだね」

私は、花音に再確認するように訊いていた。
邪魔者と言っても、一緒に入る気がないのであれば、そうではない。
あとは、花音がどうするかだ。

「ああ、もう! わかったわよ! 一緒に入れば良いんでしょ⁉︎ これだから、お姉ちゃんは──」

花音は、やけくそ気味になり服を脱ぎ始める。
一緒に入りたいのなら、初めからそうすればいいのに。まったく……。素直じゃないんだから。
花音がそうくるのなら、楓と二人っきりで入ることはできなくなるかな。

「それじゃ、僕は二人が入った後で──」

傍にいた楓は、苦笑いをして脱衣室を後にしようとする。

「ちょっと待って」
「待ちなさいよ!」

私は、咄嗟に楓の服を掴み、引き止めた。
どうやら花音も、楓の服を掴んでいたみたいだ。
私と花音は、ほぼ同時に楓を引き止めていたみたいである。
楓は、困惑した様子で私と花音を見ていた。

「あの……。何を?」
「楓は、もちろん私と一緒にお風呂に入るよね? いや、入りたいから、ここにいるんだよね? ううん、私と一緒に入ろう」
「お姉ちゃんと楓だけじゃ、何するかわからないから……。しょうがないから、今回は私も一緒に入ってあげる。…もちろん楓は、嫌じゃないよね?」

花音らしい誘い方というか、なんというか。
さすがの楓も、私たちに誘われたら嫌とは言えないだろう。

「二人の邪魔にならないのなら……」

楓は、頬をポリポリと掻きながらそう言った。
まぁ、断りにくい雰囲気なのはよくわかる。
かくいう私も、花音を含めた三人でお風呂だなんて、予想外だったから。
それでも私は、笑顔で楓の腕を引っ張っていく。

「全然、邪魔じゃないよ。楓にいてもらった方が、落ち着くよ」
「そうなの?」
「そうだよ。だから…ね。はやく服を脱いで、一緒にお風呂に入ろうか」
「う、うん……。わかったよ」

楓は、なんだか複雑な表情を浮かべて服を脱いでいく。
私は、花音のことをよく見張っておかないといけないな。
いきなり誘惑するなんてことも充分にあり得ることだから。
それだけは、なんとしても阻止しないと。
楓にエッチなことをしていいのは、私だけなんだから。
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