僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

文字の大きさ
168 / 380
第十五話

7

しおりを挟む
最近、花音がずいぶんと積極的に楓に迫っているような気がする。
そう思ってしまうのは、花音と楓のやりとりを側から見ているからだろうか。

「ちょっと、楓! 私が体を洗ってあげるから、じっとしていてよ!」
「さすがにそれは……。自分で洗うから、大丈夫だよ」

ボディスポンジを持った花音に迫られてしまった楓は、思わずそう言って、私の背に隠れようとする。
言うまでもないことだけど、私は全裸で、花音はバスタオル越しだ。
バスタオルは一応、脱衣室に置いてあるんだけど、楓の前だし、別に構わないかなって思って全裸のまま浴室に来てしまったわけだが。
それを見た花音は、何を思ったのかバスタオルを外し始める。
途端、まだ成長しきれていない花音の裸が露わになった。
それは、花音の胸や大事な箇所を見ればだいたいわかる。
まだまだ成長過程だ。

「ちょっ……⁉︎ 何を⁉︎」

楓は、驚いて声を上げる。
花音は、恥ずかしそうに胸と大事な箇所を手で隠しながらも、楓に迫っていく。

「やっぱり、バスタオルを巻いている時よりも裸の方がいいんだ。だから、お姉ちゃんの背に隠れたりするんだ。だったら私だって──」
「待ちなさい、花音。そういうのは、恋人同士になってからでないとダメだよ」

私は、花音を引き止めるべく、そう言った。
裸の関係になりたいのはわかるけど、まず順序というものがある。
楓と花音の間には、まだそれがないはずだ。

「恋人同士って……。それを言ったら、お姉ちゃんは楓と恋人同士だから、裸を見せても許されるのかもしれないけど……。私も、諦めるつもりはないよ」

花音は、堂々とした態度でその成長過程の体を、私と楓に見せつけてくる。

「やっぱりこれって、見ない方がいいよね?」

楓は、頬を赤くして遠慮がちにそう訊いていた。
──いや。
楓が遠慮する必要はない。
むしろこの場合は、花音が遠慮するべきなんだけど。
どうやら、花音は引くつもりはないようだ。

「ダメ! 楓には、よく見てもらわないと! お姉ちゃんよりは貧相かもしれないけど、いつか絶対にグラマーになるもん!」

そう言って、楓の前に立った。
その仁王立ちは、まるで自分の裸を誇張しているかのようだ。さっきまで恥ずかしそうに隠していたのは、何だったのか。
しかし、このままそうしていてもいつまでも湯船に浸かれない。
私は、肩をすくめて言う。

「気持ちはわかったから、はやく楓の体を洗いなさいよ。私も、そろそろ湯船に浸かりたいんだけど」
「わかってるわよ、そんなこと。だけど楓が……」
「僕は、自分で洗うからね。さすがに、花音には頼めないよ」

楓の意思も固いみたいだ。
こうなったら。
私は、花音からボディスポンジを取り上げて、そのまま楓の前に行く。

「それなら、私が楓の体を洗ってあげる。私の家の浴室に入ってる以上、楓に拒否権なんてないんだからね」
「それは……」
「簡単だよ。楓は、私に身を委ねるの。それだけでいいんだよ」
「香奈姉ちゃんがそう言うのなら……」

楓は、諦めたかのようにバスチェアに腰掛ける。

「うん。素直でよろしい」

私は、笑顔でそう言った。
それを面白くなさそうに見ていたのは花音だったが、この際見ないでおく。

楓を先に湯船に入らせると、私は花音にボディスポンジを渡す。
順番的に、花音が最適かと思ったのだ。

「ほら。さっさと体を洗ってお風呂に入ってしまいなさい」
「お姉ちゃん……。いいの?」

花音は、不思議そうな表情を浮かべてそう訊いてくる。

「順番的には、花音が次でしょ? 私は、楓とゆっくり入るから気にしないで」
「え……。僕、今入っているんだけど……。これって?」

当然のように楓は、そう言ってきた。
私と一緒に入るつもりなら、花音を先に湯船に入らせるのが正解だと思うだろう。
だけど、この場合は少し違う。
花音を楓と一緒に入らせないと、後で絶対に不機嫌になる。
それどころか、花音のことだから、絶対に隆一さんに愚痴るだろうと思ったのだ。

「楓。…ごめんね」

だからこそ、私は楓に謝罪した。
楓なら、きっとわかってくれる。そう信じて──。

「わかったよ。だけど、長風呂する気はないからね」

楓は、軽くため息を吐いてそう言っていた。
わかってる。
私も、そんなに長くお風呂に入るつもりはないのだから。

案の定、花音は上機嫌で楓と一緒に湯船に浸かっていた。
どのように浸かっていたかというと、楓の体の上に座るような形である。
この体位なら、花音のおっぱいに自然と手を触れることもできるだろう。しかし──。
さすがの楓も、花音のおっぱいには触らなかったようだ。
花音は、無理矢理にでも楓の手を掴んで、自分のおっぱいを触らせたかったようだが。

「もう! どうして私のおっぱいを触らないのよ!」

花音は、そのことが不満だったようだ。
そりゃ、私のおっぱいに比べたら、そんなに大きくないもんね。
楓は、どちらかというと巨乳で美乳の女の子が好みだし。

「いや。花音のおっぱいを触るのはさすがに……。申し訳ないっていうか……」
「そんなこと言って──。お姉ちゃんのおっぱいは、たくさん触るくせに! それだったら、私のを触ったっていいじゃない!」
「それは──。花音のは、まだ成長過程だから……」

その言葉は、さすがにまずい。花音にとっては禁句だ。
楓は、花音に言ってはならない禁句を言ってしまった。

「っ……」

花音は、ショックを受けた様子でその場で俯いてしまう。

「あ……」

さすがの楓も、いけないことを言ってしまったのに気づいたようだ。思わず口元に手を添える。
花音は、ムキになったのか楓の手を取り、そのまま自分のおっぱいの方に持っていく。
楓の手は、自然と花音のおっぱいに触れる。
まぁ、花音のおっぱいもなかなかに成長していると思う。

「私ので未熟だったら、他の女の子のおっぱいは何なのよ」

花音は、頬を赤く染めてそう言っていた。
要するに、おっぱいの大きさは個人差があると言いたいのだろう。

「でも、香奈姉ちゃんのは──」

楓は、何か言いたげに私の方を見てくる。
むしろ見ているのは、私のおっぱいだろうな。
私の場合は、なんて言えばいいだろうか。ちょっと成長しすぎてしまったっていうか……。
そのおかげで周囲の人の視線が気になるんだけどね。
私は、恥ずかしそうな表情を浮かべると自分のおっぱいを両腕で持ち上げて、言った。

「私の場合は、ちょっと特殊なだけだよ。それ以外は、普通なんだから」
「普通…なの?」

花音は、微妙な表情を浮かべて私のことを見てくる。
たぶん、私の体全体を見てるんだと思う。
妹とはいえ、そんな目で見られてしまうと恥ずかしい。
やっぱりバスタオルを巻いてくればよかったかな。
おっぱいが大きいというのも、肩がこってしまうから、私としては結構大変なんだからね。

「うん、普通だよ。花音だって、一年くらい経てば成長すると思うから、わかってくるよ」
「そうなのかな? 私には、まだ……」

花音は、複雑な表情で自分の体に視線を落とす。
個人的に悩んでいるみたいだ。
そんなところで悩まれても、私がお風呂に入れない。
私は、花音に言った。

「さぁ、もう温まったでしょ! さっさと上がってくれないかな。私も、お風呂に入りたいんだけど」
「わかったよ。…しょうがないなぁ」

花音は、仕方ないといった表情で湯船から出ると、そのまま浴室を後にする。

「それじゃ、僕もそろそろ──」

それに並ぶようにして、楓も湯船から出ようとしていた。
私は、慌てて楓を制止に入る。

「楓はダメだよ。ここに残るの」
「え……。そんなこと言われても……。これ以上は、僕も限界なんだけど……」
「これから楓は、私と一緒にお風呂に入るの。だから、このボディスポンジで私の体を隅々まで洗うんだよ」
「隅々って……」

楓は、呆然とした表情で私のことを見る。
おそらく楓は、私の体の全てを洗うっていう想像をしたに違いない。
その証拠に、私が楓に渡そうとしていたボディスポンジをそのまま受け取ったから、やる気だけはあるようだ。

「そういうことだから。しっかりと頼むね」

そう言うと私は、楓に背中を向ける。
こうすれば、楓はちゃんとやってくれるはずだ。
楓は、ため息を吐いて言った。

「わかったよ。隅々まで…ね。あまり気乗りはしないけど、そうさせてもらうよ」
「わかればよろしい。私の体を愛撫するようにしっかりと洗ってよ」
「もしかして、やきもち妬いてたり…するの?」
「バ…そんなんじゃ……」

楓にそう言われて、私は何人かの女の子の顔を思い浮かんでしまう。
楓に好意を向けている女の子たちだ。
その女の子たちのことを思い出しただけで、私の胸の中がざわざわする。
いずれかの女の子に奪られてしまうんじゃないかと思うだけで、寂しい思いが溢れてしまう。

「そうだよね。香奈姉ちゃんがやきもちを妬くわけがないよね」

楓は、私の背中をボディスポンジで洗いながらそう言った。
まぁ、楓に限って他の女の子のことを好きになったりはしないだろうと思うんだけど……。それでもね。

「妬いちゃいけないの?」

私のその言葉は、小声で囁くように言っていた。

「え……」

楓は、まさか私の口からそんな言葉を聞けるとは思ってもみなかったようで、呆然とした表情で私を見ている。
そんな楓に、私は言う。

「私が、やきもちを妬いちゃいけないのかな?」
「いや、ダメってことはないけど……。僕は、他の女の子のことを好きになったりは──」
「わかってるよ、そんなことくらい。ただ…ね。私だって普通の女の子なんだから、不安になっちゃったりするんだよってこと、楓にはわかってもらいたくて……」
「心配しなくても大丈夫だよ。僕は、香奈姉ちゃん一筋だから」

楓は、微笑を浮かべてそう返していた。
そんなこと言われて嬉しくないって言ったら、きっとバチが当たるだろう。
正直に言うと、すごく嬉しい。
私は、楓の方に向き直り、そのままハグをした。

「そっかそっか。楓は、私一筋なんだ。その言葉を聞いたら、なんだか安心したよ」
「ちょっ……⁉︎ 香奈姉ちゃん⁉︎ まだ洗ってる最中──」

いきなりの私の行動に、楓は驚いて声を上げる。

「少しくらい、いいじゃない。楓とのスキンシップはこれからなんだから」

私は、魅惑的な笑みをつくりそう言った。
──そう。
私との時間は、これからなのだ。
だから、先に浴室を出られても困る。
楓は、愛でるように私の体を愛撫していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...