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第二十四話
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「とりあえず、これ……。持ってきたよ」
「うん。ありがとうね。弟くん」
私は、楓が持ってきてくれた白の下着一式を着用した。
私の中では、比較的可愛い部類に入るもので、お気に入りの下着一式だ。その証拠に前の部分に可愛い花の刺繍が施されている。
下着の入ったタンスのちょっとしたところに入れておいたはずなんだけど、よく見つけたものだ。
「意外と目利きだったりするのかな?」
私は、ボソリと呟くようにそう言っていた。
どうやらそれは、楓に聞こえてしまっていたらしい。
「ん? なにか言った?」
楓は、思案げに訊いてくる。
なんとか誤魔化さないと。
「ううん。なんでもないよ。弟くんは、純白の下着が好きなのかなって思って──」
「そんなことは…あるかもしれないけど……」
「そっかぁ。それじゃ、今度から弟くんの前では、綺麗な白の下着を穿いておくね」
「ちょっ……。香奈姉ちゃん!」
「ふふ。冗談だよ」
楓の前では、どこまでが冗談になるのかわからない。
かなり値段の高い下着一式なのは確かなので、楓には黙っておこう。
「どうかな? 私の制服姿は──」
私は、楓に制服姿を見せる。
いつもどおりだというのに、楓の感想を期待してしまう私も、どうなんだろう。
ちなみに、まだ靴下は履いてない。
今日は、気分を変えてストッキングにしようかと思ったんだけど、楓の感想を聞いてからにしようと思ったのだ。
「うん。とてもよく似合っているよ。まだ靴下の方は履いてないみたいだけど。何かあったの?」
「そっちはね。これにしようかと思って」
私は、カバンの中からストッキングを取り出して、楓に見せていた。
「それは、ストッキングかい? まぁ、いいんじゃないかな。たまには──」
「そう? 弟くんのことだから、ホントは素足の方がいいな…なんて思っているんじゃないの?」
「どっちもいいと思っているよ。香奈姉ちゃんの素足はとても綺麗だから、ストッキングを履いても似合っていると思う。たまに目のやり場に困る時があるくらいだよ」
「そっか。どっちもいい…か。それなら、弟くんの好みに合わせてみようかな」
そういうことなら、ストッキングはお預けかな。
素足の方が膝枕もしやすいし。スキンシップをする時だって──
私は、ストッキングをカバンの中に仕舞い、すぐに紺の靴下を取り出した。
どちらでもいいように、一応、両方を用意してあるのだが、楓にはこちらの方がいいらしい。
せっかく可愛い下着も穿いていることだから、ストッキングにするよりかはいいだろう。
別にあざとく見せてるっていうわけではないんだろうけど。
「──さて。朝ごはんの準備をしなくちゃいけないね。どうする? 私も手伝おうか?」
「あ、えっと……」
楓は、なにか言いたげな表情で私を見てくる。
まだまだ朝ごはんの準備をするには、遅すぎるということはない。
これから準備をすれば、大丈夫だろう。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない。香奈姉ちゃんが手伝ってくれるとありがたいなって思って」
楓は、なにかを誤魔化すかのようにそう言っていた。
私に隠し事なんて……。なんか怪しいな。
私は、訝しげな表情で楓を睨む。
「なにかあったの? もしかして、また奈緒ちゃんからデートのお誘いとか?」
「いや……。そういうわけではなくて……。スカートの裾が捲れていて──」
楓は、そう言って私が穿いている制服のスカートの裾を手早く直す。
あまりの事に、私は固まってしまう。
たしかに制服のスカートの裾が捲れていて、ちょっとアングルを変えたら中が見えてしまいそうな感じだった。
キッチンに行く前に気づいてよかったかも……。
私は、すぐに楓の手を優しく掴む。
「あ。うん。ありがとう」
些細なことでもきちんとお礼を言っておかないと、楓に変な心配をさせてしまう。
楓って意外と寂しがり屋で、私のことをしっかり見ていたりするのだ。
その辺りは、奈緒ちゃんもそんなに変わらない。
私は、楓に屈託のない笑みを見せて言った。
「それじゃ、着替えも済んだことだし。キッチンに行こっか?」
「うん」
楓は、私の身だしなみを気にしながらそう返事をする。
さっきみたいにスカートの裾が捲れていないかチェックしてるんだろう。
そんなことは滅多にないのにな……。
私って、そんなにだらしない女の子かな?
私自身、身だしなみには、結構、気を遣うタイプなんだけど。
スカートの裾が捲れていたのはたまたまであって、頻繁にあることではない。
そこのところをちゃんとわかっていればいいんだけど。
楓のことだ。
きっと、わかってはくれないんだろうな。
私と楓は部屋を後にして、まっすぐ一階にあるキッチンに向かっていった。
やはりというべきか、居間の方には誰もいなかった。
てっきり楓の母親がいるかと思っていたのだが、楓が朝の家事をやっていることがわかっているのか、まだこちらには来ていないようだ。
「誰もいないね」
「うん」
楓にとっては、これがいつものことなんだろう。
その返事からは、寂しさなどはない。
「もしかして、私の下着一式を取りに行ったときもそうだったりする?」
「うん。まぁ。兄貴のことは警戒してたんだけどね。でも、誰もいなかったから、香奈姉ちゃんの下着を取りに行ったときは比較的、楽だったよ」
「そうなんだ」
「まぁ、これはいつもの事かな。母さんも、毎日朝ごはんの献立を考えるのも難しいだろうしね」
楓は、いつもの笑みを見せてそう言った。
彼にとっては、そんなに難しくないのかな?
ちょっと疑問に思ったが、聞かないでおこう。
私でさえも、朝ごはんの献立はちょっと考えてしまうことがあるけど……。
楓は、特に何も言わずにエプロンを着用する。
私も、楓に続いてエプロンを着用していた。
制服にエプロンって、ある方向性の人には、ちょっとマニアックな格好だったりするみたいだけど。
楓にとっては、どうなんだろう。
今の私を見て、何とも思わないんだろうか。
何も言ってこないところを見ると、なんとも思ってないのかな?
「とりあえず私は、味噌汁から作るね」
「うん。お願い」
楓は、そう言うと別のことをやり始める。
今日は、何を作るつもりなんだろう。
気にはなったけど、私は味噌汁作りをしなきゃいけないから、これ以上は目を向けていられない。
私は、お湯の入った鍋に視線を向けていた。
味噌汁の具材は何にしよう。
楓の家の冷蔵庫を勝手に開けるのは気が引けるのだが、楓は何も言わない。
私がいることが自然になっていて、それがすっかり馴染んでいるからだと思われる。
少しは気にしてほしいところだけど、今更どうなんだろう。
「具材は、何がいいかな?」
「なめことかワカメならあるよ」
「そっか。ありがとう」
私は、ワカメの方を鍋に入れる。
そう言ってくるってことは、その二つのうちのどちらでもいいって言ってるのだが……。
私は、ワカメを選択した。
なめこは朝ごはんのお味噌汁にはちょっと重い感じがして合わない気がするからワカメにしておいたけど、どうだろう?
まぁ、楓なら文句は言わないよね。
「うん。ありがとうね。弟くん」
私は、楓が持ってきてくれた白の下着一式を着用した。
私の中では、比較的可愛い部類に入るもので、お気に入りの下着一式だ。その証拠に前の部分に可愛い花の刺繍が施されている。
下着の入ったタンスのちょっとしたところに入れておいたはずなんだけど、よく見つけたものだ。
「意外と目利きだったりするのかな?」
私は、ボソリと呟くようにそう言っていた。
どうやらそれは、楓に聞こえてしまっていたらしい。
「ん? なにか言った?」
楓は、思案げに訊いてくる。
なんとか誤魔化さないと。
「ううん。なんでもないよ。弟くんは、純白の下着が好きなのかなって思って──」
「そんなことは…あるかもしれないけど……」
「そっかぁ。それじゃ、今度から弟くんの前では、綺麗な白の下着を穿いておくね」
「ちょっ……。香奈姉ちゃん!」
「ふふ。冗談だよ」
楓の前では、どこまでが冗談になるのかわからない。
かなり値段の高い下着一式なのは確かなので、楓には黙っておこう。
「どうかな? 私の制服姿は──」
私は、楓に制服姿を見せる。
いつもどおりだというのに、楓の感想を期待してしまう私も、どうなんだろう。
ちなみに、まだ靴下は履いてない。
今日は、気分を変えてストッキングにしようかと思ったんだけど、楓の感想を聞いてからにしようと思ったのだ。
「うん。とてもよく似合っているよ。まだ靴下の方は履いてないみたいだけど。何かあったの?」
「そっちはね。これにしようかと思って」
私は、カバンの中からストッキングを取り出して、楓に見せていた。
「それは、ストッキングかい? まぁ、いいんじゃないかな。たまには──」
「そう? 弟くんのことだから、ホントは素足の方がいいな…なんて思っているんじゃないの?」
「どっちもいいと思っているよ。香奈姉ちゃんの素足はとても綺麗だから、ストッキングを履いても似合っていると思う。たまに目のやり場に困る時があるくらいだよ」
「そっか。どっちもいい…か。それなら、弟くんの好みに合わせてみようかな」
そういうことなら、ストッキングはお預けかな。
素足の方が膝枕もしやすいし。スキンシップをする時だって──
私は、ストッキングをカバンの中に仕舞い、すぐに紺の靴下を取り出した。
どちらでもいいように、一応、両方を用意してあるのだが、楓にはこちらの方がいいらしい。
せっかく可愛い下着も穿いていることだから、ストッキングにするよりかはいいだろう。
別にあざとく見せてるっていうわけではないんだろうけど。
「──さて。朝ごはんの準備をしなくちゃいけないね。どうする? 私も手伝おうか?」
「あ、えっと……」
楓は、なにか言いたげな表情で私を見てくる。
まだまだ朝ごはんの準備をするには、遅すぎるということはない。
これから準備をすれば、大丈夫だろう。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない。香奈姉ちゃんが手伝ってくれるとありがたいなって思って」
楓は、なにかを誤魔化すかのようにそう言っていた。
私に隠し事なんて……。なんか怪しいな。
私は、訝しげな表情で楓を睨む。
「なにかあったの? もしかして、また奈緒ちゃんからデートのお誘いとか?」
「いや……。そういうわけではなくて……。スカートの裾が捲れていて──」
楓は、そう言って私が穿いている制服のスカートの裾を手早く直す。
あまりの事に、私は固まってしまう。
たしかに制服のスカートの裾が捲れていて、ちょっとアングルを変えたら中が見えてしまいそうな感じだった。
キッチンに行く前に気づいてよかったかも……。
私は、すぐに楓の手を優しく掴む。
「あ。うん。ありがとう」
些細なことでもきちんとお礼を言っておかないと、楓に変な心配をさせてしまう。
楓って意外と寂しがり屋で、私のことをしっかり見ていたりするのだ。
その辺りは、奈緒ちゃんもそんなに変わらない。
私は、楓に屈託のない笑みを見せて言った。
「それじゃ、着替えも済んだことだし。キッチンに行こっか?」
「うん」
楓は、私の身だしなみを気にしながらそう返事をする。
さっきみたいにスカートの裾が捲れていないかチェックしてるんだろう。
そんなことは滅多にないのにな……。
私って、そんなにだらしない女の子かな?
私自身、身だしなみには、結構、気を遣うタイプなんだけど。
スカートの裾が捲れていたのはたまたまであって、頻繁にあることではない。
そこのところをちゃんとわかっていればいいんだけど。
楓のことだ。
きっと、わかってはくれないんだろうな。
私と楓は部屋を後にして、まっすぐ一階にあるキッチンに向かっていった。
やはりというべきか、居間の方には誰もいなかった。
てっきり楓の母親がいるかと思っていたのだが、楓が朝の家事をやっていることがわかっているのか、まだこちらには来ていないようだ。
「誰もいないね」
「うん」
楓にとっては、これがいつものことなんだろう。
その返事からは、寂しさなどはない。
「もしかして、私の下着一式を取りに行ったときもそうだったりする?」
「うん。まぁ。兄貴のことは警戒してたんだけどね。でも、誰もいなかったから、香奈姉ちゃんの下着を取りに行ったときは比較的、楽だったよ」
「そうなんだ」
「まぁ、これはいつもの事かな。母さんも、毎日朝ごはんの献立を考えるのも難しいだろうしね」
楓は、いつもの笑みを見せてそう言った。
彼にとっては、そんなに難しくないのかな?
ちょっと疑問に思ったが、聞かないでおこう。
私でさえも、朝ごはんの献立はちょっと考えてしまうことがあるけど……。
楓は、特に何も言わずにエプロンを着用する。
私も、楓に続いてエプロンを着用していた。
制服にエプロンって、ある方向性の人には、ちょっとマニアックな格好だったりするみたいだけど。
楓にとっては、どうなんだろう。
今の私を見て、何とも思わないんだろうか。
何も言ってこないところを見ると、なんとも思ってないのかな?
「とりあえず私は、味噌汁から作るね」
「うん。お願い」
楓は、そう言うと別のことをやり始める。
今日は、何を作るつもりなんだろう。
気にはなったけど、私は味噌汁作りをしなきゃいけないから、これ以上は目を向けていられない。
私は、お湯の入った鍋に視線を向けていた。
味噌汁の具材は何にしよう。
楓の家の冷蔵庫を勝手に開けるのは気が引けるのだが、楓は何も言わない。
私がいることが自然になっていて、それがすっかり馴染んでいるからだと思われる。
少しは気にしてほしいところだけど、今更どうなんだろう。
「具材は、何がいいかな?」
「なめことかワカメならあるよ」
「そっか。ありがとう」
私は、ワカメの方を鍋に入れる。
そう言ってくるってことは、その二つのうちのどちらでもいいって言ってるのだが……。
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