360 / 382
第二十八話
10
しおりを挟む
1人で勉強をしていると、とても落ち着く。
ここまで落ち着いて勉強ができるのは、久しぶりな気がする。
香奈姉ちゃんが近くにいると気になって逆に集中できなくなってしまうから困りものだ。
でもいなければいないで寂しいと感じてしまうのは、どうしようもないのだろうか。
「でも、それが香奈姉ちゃんだもんな。僕の心の中にズカズカと入り込んでくるんだから、どうしようもないよな」
そう独り言を言って、僕はため息つく。
香奈姉ちゃんと同じ大学に行くんだから、進路のことは自分でもきちんと考えておかないといけない。
そのための勉強である。
できるだけ良い判定を貰わないと──
「僕も頑張らないとな」
そう言って自身にカツをいれる。
勉強する準備はできた。
しかし、そんな時に限って香奈姉ちゃんはやってくるもので──
「やぁ、弟くん。勉強は捗っているかな?」
心配そうに部屋の外からこちらを覗き込んでくる。
こういう時って、無視したらダメなんだよな。
「まぁ、それなりには…捗っているよ。そっちはどうなの?」
「私の方は、なんとか大丈夫だよ。弟くんに変な心配はさせないようにしっかりと頑張っているよ」
「そっか。それなら安心だね」
なんか変な意味で頑張ってないか?
そう思ったが、口には出さないでおく。
香奈姉ちゃんは、何事もなく僕のところにやってくる。
「どこかわからないところでもある? よかったら、教えてあげるよ」
「わからないところ…かぁ。今のところは特にないかな」
僕は、わざとそう言って香奈姉ちゃんに心配をさせまいとする。
ちなみに、いつも平均点あたりをキープしているのは、あまり目立たないようにするためだ。
学校内にいるときだけは、普通でありたいから。
それでなくともランクの上位に立つのは、他の男子生徒たちに目をつけられるため、平穏な学生生活に支障をきたす。
しかし、今の成績のままでは香奈姉ちゃんたちが行く大学には行けない可能性があるから、どうしたものか。
いつから頑張るべきか……。
「そんなことより。香奈姉ちゃんは、なにをしにきたの?」
「なにをって……。弟くんに勉強を教えるために…て言ったら信じてもらえるかな……。普通は信じないよね?」
「いや、信じるけど……」
「ふーん……。信じちゃうんだ。弟くんなら、もっと警戒心をもって接するものかと思ったんだけどな」
「香奈姉ちゃんに失礼な態度をとるわけにはいかないよ。それに──」
「それに?」
「ううん。なんでもない」
「なんでもないんだ? ふ~ん……」
香奈姉ちゃんが、僕の顔を覗き込むようにして見てくる。
かなり近いんだけどな。
もしかして、意図的にやってるのか?
どっちにしても、僕の精神がもたない。
香奈姉ちゃんがやってくるってことは、勉強以外のこともしてくるつもりなのだから。
「なら、今は勉強に集中しよっか?」
「うん」
勉強を教えてくれるのは嬉しいことだ。
僕は勉強に集中する。
香奈姉ちゃんは、本当にわかりやすく勉強を教えてくれた。
それはもう、完璧と言ってもいいように…である。
「ありがとう、香奈姉ちゃん。おかげで勉強が捗ったよ」
「私にとって弟くんは、大事な『弟』みたいなものだからね。…面倒を見るのは当然なんだよ。お礼なんていらないよ」
そう言って、香奈姉ちゃんは僕を抱きついてくる。
大事に思ってくれるのは嬉しいけれど、ここまでされてしまっては、僕も落ち着いてはいられない。
やっぱり、僕の気持ちも伝えるべきなのか?
──いや。
スキンシップを何度もしてきてるから、その必要はないかな。
だけどこの場合は──
僕は、香奈姉ちゃんの体を抱きしめ返してお礼を言っていた。
「それでも。ありがとうって言いたいかな」
「お礼なら、私とのスキンシップで返してよね」
「香奈姉ちゃんとのスキンシップ……。僕には、これ以上のことは──」
「大丈夫だよ。私も、それ以上は求めないから。だから安心していいよ」
香奈姉ちゃんは、僕を安心させたいのか、僕の頭を優しく撫でてくる。
そんなことされたら、まるで僕が小さい子供みたいじゃないか。
「それじゃ、今回は何もなしで──」
「うん! 私のを優しく愛でるだけでいいよ」
「………」
香奈姉ちゃんの発言に僕は何も言えなくなってしまう。
それもそのはず。
香奈姉ちゃんは、なにやら下腹部のあたりを指先でなぞる仕草をしだしている。
なにしろミニスカートなものだから、少したくしあげてしまうだけで下着があらわになってしまいそうなくらいなのだ。
その仕草をするってことはつまり──
「どうしたの? 私、変なこと言っちゃってるかな?」
「いや、今勉強中だよ。それはさすがに無理っていうか……」
「そうだね。無理なことは言わない方がいいかな? でも、これは無理なんかじゃ……」
香奈姉ちゃんは、さらにねだるような表情でこちらを見つめてくる。
香奈姉ちゃんにも我慢ができないのかな。
「無理ではないけど……。香奈姉ちゃんが耐えられないんじゃ……」
「うん。耐えられないのは理解してるよ。弟くんのは、意外と激しいから──」
「普通になぞるくらいならそんなには──。香奈姉ちゃんの方は、どうなのかなって」
「その指の動かし方がとてもエッチなんだよ。なんというか…したい気持ちでいっぱいになるっていうか……」
「う~ん……。後でもいいのなら…僕は──」
「今は無理?」
「うん。どちらかと言えば『無理』かな」
「そっか。それはちょっと残念だな」
香奈姉ちゃんは、しゅんとなってしまう。
だからといって、香奈姉ちゃんからは本気で落ち込んでる様子はない。
僕も、今の時間帯で香奈姉ちゃんになにかをするつもりはないので、これ以上は踏み込まないでおこう。
「そんな落ち込まないでよ。僕だって、きちんと勉強はしたいしさ。…色々あるんだよ」
「わかっているけど……。それとこれとは違うっていうか……」
香奈姉ちゃんの場合、僕の気持ちなんてほとんど無視してるからなぁ。
嫌なことはないけど、強引なのも……。
僕だって、少しくらいわがままを言っても、許されるはずだ。
「僕も、香奈姉ちゃんたちと同じ大学に行きたいし……。少しだけ我慢してもらえると助かるかな」
「うん……。そうだね。私が我慢しなきゃダメだよね」
そうは言うものの、僕にはまだ一年早いから、なんともいえないが。
僕は、香奈姉ちゃんに対してこれ以上のことはなにも言えなかった。
ただ見守ることだけだ。
ここまで落ち着いて勉強ができるのは、久しぶりな気がする。
香奈姉ちゃんが近くにいると気になって逆に集中できなくなってしまうから困りものだ。
でもいなければいないで寂しいと感じてしまうのは、どうしようもないのだろうか。
「でも、それが香奈姉ちゃんだもんな。僕の心の中にズカズカと入り込んでくるんだから、どうしようもないよな」
そう独り言を言って、僕はため息つく。
香奈姉ちゃんと同じ大学に行くんだから、進路のことは自分でもきちんと考えておかないといけない。
そのための勉強である。
できるだけ良い判定を貰わないと──
「僕も頑張らないとな」
そう言って自身にカツをいれる。
勉強する準備はできた。
しかし、そんな時に限って香奈姉ちゃんはやってくるもので──
「やぁ、弟くん。勉強は捗っているかな?」
心配そうに部屋の外からこちらを覗き込んでくる。
こういう時って、無視したらダメなんだよな。
「まぁ、それなりには…捗っているよ。そっちはどうなの?」
「私の方は、なんとか大丈夫だよ。弟くんに変な心配はさせないようにしっかりと頑張っているよ」
「そっか。それなら安心だね」
なんか変な意味で頑張ってないか?
そう思ったが、口には出さないでおく。
香奈姉ちゃんは、何事もなく僕のところにやってくる。
「どこかわからないところでもある? よかったら、教えてあげるよ」
「わからないところ…かぁ。今のところは特にないかな」
僕は、わざとそう言って香奈姉ちゃんに心配をさせまいとする。
ちなみに、いつも平均点あたりをキープしているのは、あまり目立たないようにするためだ。
学校内にいるときだけは、普通でありたいから。
それでなくともランクの上位に立つのは、他の男子生徒たちに目をつけられるため、平穏な学生生活に支障をきたす。
しかし、今の成績のままでは香奈姉ちゃんたちが行く大学には行けない可能性があるから、どうしたものか。
いつから頑張るべきか……。
「そんなことより。香奈姉ちゃんは、なにをしにきたの?」
「なにをって……。弟くんに勉強を教えるために…て言ったら信じてもらえるかな……。普通は信じないよね?」
「いや、信じるけど……」
「ふーん……。信じちゃうんだ。弟くんなら、もっと警戒心をもって接するものかと思ったんだけどな」
「香奈姉ちゃんに失礼な態度をとるわけにはいかないよ。それに──」
「それに?」
「ううん。なんでもない」
「なんでもないんだ? ふ~ん……」
香奈姉ちゃんが、僕の顔を覗き込むようにして見てくる。
かなり近いんだけどな。
もしかして、意図的にやってるのか?
どっちにしても、僕の精神がもたない。
香奈姉ちゃんがやってくるってことは、勉強以外のこともしてくるつもりなのだから。
「なら、今は勉強に集中しよっか?」
「うん」
勉強を教えてくれるのは嬉しいことだ。
僕は勉強に集中する。
香奈姉ちゃんは、本当にわかりやすく勉強を教えてくれた。
それはもう、完璧と言ってもいいように…である。
「ありがとう、香奈姉ちゃん。おかげで勉強が捗ったよ」
「私にとって弟くんは、大事な『弟』みたいなものだからね。…面倒を見るのは当然なんだよ。お礼なんていらないよ」
そう言って、香奈姉ちゃんは僕を抱きついてくる。
大事に思ってくれるのは嬉しいけれど、ここまでされてしまっては、僕も落ち着いてはいられない。
やっぱり、僕の気持ちも伝えるべきなのか?
──いや。
スキンシップを何度もしてきてるから、その必要はないかな。
だけどこの場合は──
僕は、香奈姉ちゃんの体を抱きしめ返してお礼を言っていた。
「それでも。ありがとうって言いたいかな」
「お礼なら、私とのスキンシップで返してよね」
「香奈姉ちゃんとのスキンシップ……。僕には、これ以上のことは──」
「大丈夫だよ。私も、それ以上は求めないから。だから安心していいよ」
香奈姉ちゃんは、僕を安心させたいのか、僕の頭を優しく撫でてくる。
そんなことされたら、まるで僕が小さい子供みたいじゃないか。
「それじゃ、今回は何もなしで──」
「うん! 私のを優しく愛でるだけでいいよ」
「………」
香奈姉ちゃんの発言に僕は何も言えなくなってしまう。
それもそのはず。
香奈姉ちゃんは、なにやら下腹部のあたりを指先でなぞる仕草をしだしている。
なにしろミニスカートなものだから、少したくしあげてしまうだけで下着があらわになってしまいそうなくらいなのだ。
その仕草をするってことはつまり──
「どうしたの? 私、変なこと言っちゃってるかな?」
「いや、今勉強中だよ。それはさすがに無理っていうか……」
「そうだね。無理なことは言わない方がいいかな? でも、これは無理なんかじゃ……」
香奈姉ちゃんは、さらにねだるような表情でこちらを見つめてくる。
香奈姉ちゃんにも我慢ができないのかな。
「無理ではないけど……。香奈姉ちゃんが耐えられないんじゃ……」
「うん。耐えられないのは理解してるよ。弟くんのは、意外と激しいから──」
「普通になぞるくらいならそんなには──。香奈姉ちゃんの方は、どうなのかなって」
「その指の動かし方がとてもエッチなんだよ。なんというか…したい気持ちでいっぱいになるっていうか……」
「う~ん……。後でもいいのなら…僕は──」
「今は無理?」
「うん。どちらかと言えば『無理』かな」
「そっか。それはちょっと残念だな」
香奈姉ちゃんは、しゅんとなってしまう。
だからといって、香奈姉ちゃんからは本気で落ち込んでる様子はない。
僕も、今の時間帯で香奈姉ちゃんになにかをするつもりはないので、これ以上は踏み込まないでおこう。
「そんな落ち込まないでよ。僕だって、きちんと勉強はしたいしさ。…色々あるんだよ」
「わかっているけど……。それとこれとは違うっていうか……」
香奈姉ちゃんの場合、僕の気持ちなんてほとんど無視してるからなぁ。
嫌なことはないけど、強引なのも……。
僕だって、少しくらいわがままを言っても、許されるはずだ。
「僕も、香奈姉ちゃんたちと同じ大学に行きたいし……。少しだけ我慢してもらえると助かるかな」
「うん……。そうだね。私が我慢しなきゃダメだよね」
そうは言うものの、僕にはまだ一年早いから、なんともいえないが。
僕は、香奈姉ちゃんに対してこれ以上のことはなにも言えなかった。
ただ見守ることだけだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに
家紋武範
恋愛
となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。
ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる