大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫

文字の大きさ
23 / 76
4 王国の危機

23 王国

しおりを挟む
 俺たちは装備を新調するためにルガレア王国へとやって来た。
 人の姿になったファルの装備を整えるというのも理由の一つだが、金が溜まりパーティとしての実力も上がってきたのでいっそのこと全員の装備を一新させようというわけだ。
 ……流石に皆揃ってオリハルコン装備みたいなのは金銭的に無理だが。
 
「流石はルガレア王国。とにかく規模が大きいな」

 ルガレア王国の城門は荘厳な雰囲気を醸し出しており、何度見上げても見飽きることは無い。それだけ圧巻の存在感を放っているのだ。
 
「本当だよね。外側を一周するだけで日が暮れちゃいそうだよ」

 リアの言う通り外周を周るだけでとてつもなく時間がかかりそうな程、ルガレア王国はとにかく大きい国である。
 しかし国の発端を考えるとそれもそのはずだ。
 ルガレア王国は周辺諸国のちょうど中間あたりに存在しているため、貿易が盛んに行われている。
 最初の内は各国の商人が集まって来て小さな集落をつくる程度のものだったらしいが、貿易の規模が拡大するとともにどんどん大きくなって行き、最終的に国を築き上げたという歴史があるのだ。
 そしてこの国の王は元商人であったためか、商人の待遇が良くなるようなシステムを多く作り出している。希望があれば店舗も斡旋され、商売を行う上での税も低めに設定されている。
 まさしく商人にとっては天国のような環境であろう。
 そのような事柄も相まって、装備品だけでは無く薬品や調度品、魔法を用いた道具であるマジックアイテムなども数多く集まっている。
 色々揃えるのならここ以上に向いている場所は無い。そう断言できる程だ。

 それだけ発展していれば当然人も集まるものだ。居住区の発展具合からもそれが窺える。
 しかし今日は妙だった。人の往来があまりにも少なすぎるのだ。いや、少ないと言うより全く無いと言って良いだろう。
 ルガレア王国に来てから出会ったのは、城門を守っている兵士と巡回している兵士だけである。
 
「……なんか、人が少なすぎないか?」

「だが人の持つ魔力自体は感じる。どうやら皆建物の中にいるようだな」

 ランは住民の魔力を感知したようで、少なくとも人はいるということを伝えてくれた。
 つまり何かしらの理由があり住民は外へ出ていないと言うことになる。

「ちょっと不気味だね……」

 あまりにも静かすぎる街に、ある種の不気味さを感じてしまう。
 この状況について誰かに聞こうにも、そもそも誰もいない以上はどうしようもない。

「……ひとまず装備を買いに行きましょう?」

「そうだな」

 メルはこの場の異常性に耐えられなくなったのか武具屋へ行くことを進めた。
 そのため一旦このことは置いておくことにする。国内の状況がどうこうというのは今回関係ないことだ。
 ひとまず俺たちは目的である装備の新調を優先し武具屋へと向かった。

 しかし、その武具屋は閉まっていた。
 それどころか雑貨屋や食事処などありとあらゆる店が開いていなかった。商売が盛んな国であるはずが、もはやどの商店も開いていない寂しい国になってしまっている。
 明らかな異常事態である。
 
「やはり何かがおかしい」

「国民の休日……と言うわけでも無いのだろうな」

 一斉に揃って休日と言う節も無くは無いが、それならば人の往来が無いのは不自然だ。出かけている人が一人もいないなんてそんなことありえないだろう。

「ギルドでなら何かわからないかしら」

「それだ」

 メルがギルドへ行くことを提案する。
 今の今まで頭から抜け落ちていたが、確かに冒険者が集まるギルドでなら何かしらの情報が手に入るはずだ。流石にギルドが閉まっているということも無いだろうしな。
 そう願い俺たちはギルドへと向かった。




 これだけ街中の人の出入りが無いのだから、ギルドも寂しくなっているものかと思っていた。
 しかしギルドにたどり着いて驚愕する。
 今までどのギルドでも見たことのない程に人がいて活気があったのだ。

 酒と焼けた肉の匂いが建物内に充満している。吟遊詩人のものと思わしき歌声や楽器の演奏も聞こえてくる。
 先ほどまでの街の静けさが嘘のように賑わっている。

「外には全く人がいなかったのにこれはどういう……」

「確かにこの国は大きいから冒険者も多いでしょうけど……いくらなんでもこれは多すぎないかしら?」

 もちろんこれだけ大きな国の冒険者ギルドであればそれだけ規模も大きいだろう。
 俺の故郷の村の冒険者ギルドはせいぜい十数人が集まるのが限界な程の規模であり、そこと比べればここは何倍も大きい。それだけ人が集まると言うことでもある。

 だが、だとしてもこの賑わい方は異質だ。

「お、アンタらも作戦に参加するのか?」

「作戦?」

「なんだ知らないのか? この国に近づいている脅威……『イル・ネクロ』をよ」

 入口付近で立ち尽くしていた俺たちに声をかけてきた冒険者は『イル・ネクロ』について語り始めたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜

ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。 その一員であるケイド。 スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。 戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。 それでも彼はこのパーティでやって来ていた。 彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。 ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。 途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。 だが、彼自身が気付いていない能力があった。 ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。 その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。 自分は戦闘もできる。 もう荷物持ちだけではないのだと。 見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。 むしろもう自分を卑下する必要もない。 我慢しなくていいのだ。 ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。 ※小説家になろう様でも連載中

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...