ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
71 / 171
第七章

第六話 ディノブレードを倒したけど、誤解されてしまったな。

しおりを挟む
 俺たちを襲ってきたティラノ型のモンスター、ディノブレードを倒した俺は、ポーチから剥ぎ取り用のナイフを取り出して、素材の剥ぎ取り作業を始める。

「リュシアン王子、何をしているのですか?」

「素材の剥ぎ取りですよ。こいつをやっておかないと、モンスターの死肉を求めて外来種のモンスターがやって来ることがあるのです。この辺りには見かけないディノブレードがいたのも、それが原因かもしれない」

「そうなのですわね。そのようなことが起きるなど知りませんでしたわ。リュシアン王子はハンター関係の学もお持ちなのですね。素敵ですわ」

 エリーザ姫の言葉に、俺は苦笑いを浮かべる。

 実際はハンターだからな。こんなの、ハンターにとっては常識の範囲だ。

「何かお手伝いをすることはありますか?」

「大丈夫ですよ。慣れているので直ぐに終わらせます」

 申し出はありがたいけど、素人が剥ぎ取りをすると貴重の素材に傷を入れてしまうかもしれない。小さい傷なら問題ないけど、取り返しのつかないレベルになると、武器や防具の素材としては使えないからな。エリーザ姫には悪いけど、俺一人でさせてもらう。

「でしたら、近くで見ていても宜しくて」

「ええ、構いませんよ」

 エリーザ姫、モンスターの剥ぎ取りに興味があるみたいだな。本当に体験したかったのだろう。

 でも、ディノブレードの討伐依頼は滅多にない。だから素材は貴重となる。たとえ鱗であったとしても丁寧に剥ぎ取って一つでも多くの素材を持ち帰りたいんだ。

 そんなことを考えていると、エリーザ姫からの視線を感じる。

 エリーザ姫、俺の手ではなく、顔を見ていないか? 気のせいかもしれないけど、なんとなく見られているような気がする。

 視線が気になってしまうが、俺はなるべく気にしないように心がけながら、剥ぎ取りを進める。

 こいつの尻尾、もしかしたら俺の太刀の強化に使えるかもしれないな。帰ったら鍛冶職人のベルトラムさんに訊いてみるか。

「これでよし。エリーザ姫、剥ぎ取りが終わりましたので先に進みましょうか」

 モンスターの解体が終わり、ディノブレードがいたという痕跡が殆どなくなると、俺は先に進むように促す。

「そうですわね。では行きましょうか。もし、またモンスターが現れたらワタクシを守ってくださいます?」

「もちろんですよ。この命にかけてもエリーザ姫を守ってみせます」

「うふふ、期待しておりますわ」

 エリーザ姫は笑みを浮かべる。さすがお姫様と言うべきか、笑い方にも気品があった。

 もし、エリーザ姫にケガでもさせたら、外交問題に発展する可能性もあるからな。絶対に彼女は無事に送り届けないといけない。

 そう思いながら歩いていると、開けた場所に出た。そこは花畑となっており、様々な色の花が咲いている。

「着きましたわ。では、ワタクシがお花を摘んできますので、少々お待ちくださいませ」

 エリーザ姫が花畑の中心部に向かうと座り出し、咲いている花を摘んでいくのを見守る。

 一応周囲を警戒してはいたが、モンスターの気配は感じられなかった。

「お待たせしました。ではお城に帰りましょうか。帰りの護衛もお願いしますわね」

 片手で掴める量の花を摘み、エリーザ姫は俺のところに戻ってくる。

「お任せください」

 俺は返事をすると、エリーザ姫と一緒にお城に向けて帰り道を歩く。

 帰り道もモンスターが現れたが、どれも小型で苦戦するようなことはなかった。

「リュシアン王子、どうしてあなたはそんなにお強いですの? 王族としては少々変わっておられるかと思いますが」

 倒したモンスターを剥ぎ取っていると、突然エリーザ姫が訪ねてくる。

 さすがにこれだけ多くのモンスターに、苦戦することなく倒せば疑問に思ってしまうよな。どうにかして誤魔化さないと。

「私の国では王子が成人すると、成人の儀を受けると言う風習があるのです。その儀式と言うのが、モンスターの捕獲と言うものなのです。ですから、自然とモンスターと戦うように教育を受けました」

「そうだったのですか。なら、リュシアン王子がお強いのも納得しますわね」

 良かった。どうにか誤魔化すことに成功した。

 バレたら色々と大変なことになるからな。

 安堵をしつつ、俺たちは森を抜けると抜け道となっている穴に向かった。

 脱出したときと同様に俺が先に入り、続いでエリーザ姫が穴の中から出ようとするが、また胸がつっかえたと言うので、彼女を引っ張ってあげた。

「こんな壁に空いた穴も自力で抜けることができないなんて。ダイエットをしたほうがいいかもしれませんわね」

「エリーザ姫様は、今のままでも十分ですよ」

 せっかく立派な胸を持っているのに、ダイエットをして胸の脂肪を減らすなんてもったいない。

「そうですか! リュシアン王子がそう言うのであれば、ワタクシはこのままの体型でいることにします」

 そんな会話をしつつ、俺は兵士の目を盗んでエリーザ姫を彼女の部屋の前にまで送り届けた。

「今日はありがとうございます。とても楽しかったですわ」

「そう言ってもらえると、私も嬉しいです。では」

「リュシアン王子!」

 踵を返してこの場から去ろうとすると、背後からエリーザ姫が俺の名を呼ぶ。

「また会えますわよね」

「ええ、機会がありましたらまたお会いできますよ」

 俺は嘘を吐いた。俺は本当の王子ではない。依頼が終われば、多分この国に訪れることはないだろうし、仮にあったとしてもその時はハンターとしてだ。おそらくもう出会うことはないだろう。

 振り返ることなくそのまま歩くと、レンナルト王様を見つけた。

 彼も俺に気付いたようで早歩きでこちらにやって来る。

「リュシアン殿、本日は助かった。お陰で外交は上手くいった。上手く行ったのだが……」

 途中からレンナルト王様は言葉を詰まらせ、表情を暗くした。

 どうしたのだろうか? 外交が上手くいったと自ら言ったのに、どうしてそんなに暗い表情をする?

「リュシアン殿。続きは馬車の中で話そう」

 踵を返してレンナルト王様は俺から離れて行く。

 そんなにこの場では話せないような内容なのだろうか?

 レンナルト王様が早歩きで城の外に向かったので、俺も同じ速度で彼の横を歩く。

 そして城から出て馬車に乗ると、レンナルト王様はホッとしたかのように息を吐く。

「それで、どうしてそんなに暗い表情をしたのですか?」

 気になった俺は、彼が言い出すよりも先に話題を切り出した。

「ああ、それがな――」

「え!」

 レンナルト王様はバーンズ王とどんな会話をしたのかを話してくれたが、最後の話が衝撃的すぎた。

「すまない! 正式にワタシの息子になってくれ!」











最後まで読んでいただきありがとうございます。


ここまで読んでくださったあなたにアンケートのご協力をお願いします。

先日、作品の感想で毎回後書きが入ると現実に引き戻されるので控えてほしいと言う意見がありました。

私としては、一度現実に戻ってもらうことで、まだお気に入り登録していない方に登録してもらったり、感想を書いてもらうきっかけを作ったりしています。

あなたの思ったことを素直に書いていただけると助かります。

毎回の後書きはありかなしか、感想欄に書いて教えていただけると今後に繋げていくことができるので、ご協力お願いいたします。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

処理中です...