薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳

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第九章

第二十八話 トラッポラ記念④

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~クリープ視点~





「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 救出に駆け寄ってくれたオグニちゃんと、サザンクロスちゃんが手を差し伸ばしてもらったのにも関わらず、掴んでいた部分の縁が崩れ、ママは落とし穴へと真っ逆様に落ちます。

 このままでは、底に敷き詰められた糞に落下し、レースどころではなくなってしまいます。

 動物たちの糞にダイブする訳にはいきません。どうにかして回避しなければ、瞬時に頭を働かせ、思い付いた策を実行します。

『ロック!』

 魔法を発動し、落下位置に足場となる岩を出現させ、糞を押し潰しました。そしてそのまま体勢を変えて岩の上に着陸します。

 ふぅ、どうにかなりました。危うく糞まみれになるところでしたね。

「クリープ、大丈夫か!」

「円弧の舞姫! 無事か!」

「ええ、問題ありません」

 地上からサザンクロスちゃんとオグニちゃんの心配する声が聞こえてきたので、ママは大丈夫だと返事をします。

「痛い!」

 さっきまでは必死になっていたので感じなかったのですが、ママの手の甲は、走者の氷の魔法を受け、皮膚が切り裂かれて血を流していたのです。

「あの高さなら、地上にいる2人からは見えないはず」

 一度顔を上げて2人との距離を確認した後、ママは治癒魔法を発動させます。

「ネイチチャーヒーリーング」

 魔法を発動後、肉体の細胞が活性化され、血管は修復され、新たに生成された皮膚が傷を塞ぎ、ケガをする前の状態へと戻っていきます。

 これでよし、後は登るだけですね。

 ママは意気込むと、落とし穴の側面を蹴り、その反動で反対側に到達すると、再び側面を蹴って少しずつ上がっていきます。所謂いわゆる三段跳びと言うやつですね。

 どうにか上りきり、地上へと出ることができましたが、エリア内のコースは蜂の巣のように穴ボコだらけとなっていました。

「こんなに落とし穴があったのですね」

「穴によっては落下したくない場所になっているケンから、気を付けた方がヨカバイ良いよ

「私も落ちそうになったが、どうにか落下せずに済んだ。落とし穴には無数の触手が蠢いていて、危うく触手プレイをさせられるところだったな」

「ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ! お前、なんてところに入ってきやがる! そこはダメだああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ! 前立腺が刺激されるううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

 あらあら、どうやらオグニちゃんが言っていた落とし穴に落ちた方がいるのですね。医者の娘として、前立腺を刺激された方がどのようになるのか興味がありますが、今はレースに集中しないといけません。

「因み、クリープが落下した落とし穴は何があった?」

「えーとですね。ワンちゃんネコちゃんたちと言った動物の糞でした」

「そ、それは……ある意味落ちたくない場所だな」

 落とし穴の底に何があったのかを告げると、2人は苦笑いを浮かべました。

「とにかく急ぎましょう。ママのせいで2人とも順位を下げてしまいましたし」

「それもそうだな」

ハヨオソセント早くしないと優勝を逃してしまうケンから、急がんとな。このまま決着がつかないで引き分けにする訳にはイカンケンいかないから

 ママたちは落とし穴の間を走り、どうにか最初のギミックを走り抜けました。

『次々と第一ギミックをクリアし、後続が順位を上げてきました』

『最初のギミックは、後続の方が有利になるギミックでしたからね。運が悪ければ、最初のギミックでリタイアするでしょう』

『先頭が入れ替わり、現在先頭ハナを走っているのはセイウン、続いてスカイが走っています。その後をサウザンドが追いかけ、内側からカマンベーツとシュバルツが並走しております。ここまでが先頭集団。5メートル差をクリープ、オグニ、サザンクロスが並走して追いかけていますが、それ以降はまだギミックから抜け出していません。おっと、ここでナーゾが排泄物を頭に乗せた状態で落とし穴から抜け出してきた』

 あらあら、どうやらママと同じ落とし穴に落下した方がいらっしゃるようですね。しかも回避できなかったとは、ご愁傷様です。

 先頭集団を追いかけていると、第一コーナを曲がったところで第二ギミックエリアに到達しました。ですが、先頭を走っているはずの走者が走るのをやめ、おかしな動きをしています。

 まるで壁に手を置いているかのような動きでした。

「あいつら何をしている? まぁヨカバイ良いよ。そのまま突き進んで一気に追い抜いてやるケンから

「サザンクロスちゃん待って!」

 息巻いて突撃しようとしているサザンクロスちゃんを見て、ママは制しの声を上げました。ですが、彼女にママの言葉は届いておらず、彼女は突撃しました。ですが、直ぐに何かにぶつかったかのように動きを止め、彼女はその場でしゃがみ込みます。

「いたた! 何これ? どうして前に進めないと?」

「これはどうやら、見えない壁のようなものがあるようだな」

「見えない壁」

 オグニちゃんが見えない壁と言った言葉を聞いた瞬間、ママの脳内に過去の記憶が蘇ります。

 それは、シャカール君と初めてお会いした時、彼を良い子に戻そうと思ってママのことをママと呼び、沢山甘えるように言いました。ですが、彼は逃げ出し、追いかけて模擬レースに参加した後、彼が魔法で生み出した光の壁でママを阻んだのです。

 シャカール君と同じ魔法を使ったギミック。と言うことは、肉眼で見えない壁を認識するのは難しいでしょうね。

「コースのギミックである以上、先に繋がる場所はあるはずです。探しましょう!」
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