薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳

文字の大きさ
239 / 269
第十三章

第十一話 一方その頃タマモたちは

しおりを挟む
~タマモ視点~





 シャカールが巨大なモンスターを引き止めてくれたお陰でどうにか大陸に辿り着くことはできた。

 けれど、船の損傷が激しく、予定していた波止場に辿り着くことが不可能となり、急遽一番近い波止場に止まり、そこで降ろされることになった。

「それでは、ワタシたちは近くの町へと向かい、宿を取る。会場に向かう馬車があった場合、早朝に発つから、そのつもりで居てくれ」

 ルーナ学園長の指揮により、私たちは近くの町へと向かうことになった。

 歩くこと約1時間、目指していた町に辿り着くことができた。

 町はそれほど寂れている訳ではないけれど、賑わっているとも言えないような感じの人数しか外には出歩いておらず、長閑のどかな田舎町と言った印象をもつ。

「まずは宿屋を探すか。思っていたよりも人が少ないから心配ではあるが、多分どこかに民宿的なものはあるだろう」

 私たちをこれ以上心配させないためか、ルーナ学園長が前向きな言葉で話してくる。

「すまない。ちょっとお聞きしたいのだが?」

「何かい? お前さんたち見かけん顔だな? 観光か?」

「まぁ、そんなところだ」

 ちょうど近くを通りかかった男性老人にルーナ学園長が声をかけ、宿屋がないか訊ねてくれた。観光ではないけれど、話をややこしくしないために、その設定にしているのだろう。

「宿屋を探しているのだが、どこかにあるか?」

「宿屋? ああ民宿のことかい? それなら、この道をギャーン行くだろう。そしたら今度は大きい木があるケンから右にギャーン行って、突き当たりをお地蔵さんが指差している方にギャーン行けば民宿があるケン」

 ギャーン? 何それこの国の方言? 全く意味が分からないのだけど?

「すまない。どうやら聞き逃しがあったようだ。悪いが、もう一度教えてくれないか」

「仕方がないなぁ。宿屋? ああ民宿のことかい? それなら――」

「いや、そこから始めないで良いから」

 もう一度お願いすると、老人はRPGに出て来る村人のように、丁寧に最初から一言一句間違えることなく最初から話そうとし、ルーナ学園長がツッコミを入れる。

「この道をギャーン行くだろう。そしたら今度は大きい木があるケンから右にギャーン行って、突き当たりをお地蔵さんが指差している方にギャーン行けば民宿があるケン」

「すまない。もう一度言ってくれないか?」

「だから! ギャンあっち行ってギャンこっち行ってギャンタイそっちだよ!」

 ダメだわこれ、完全に省略されて意味が全然分からない。

「ギャンってなんですか! モビルスーツのことを行っているのですか! おじいさん、わたしたちにも通用する言葉で教えてくださいよ!」

 埒が明かないことに痺れを切らしたのか、アイリンまでもが声を荒げ始める。旅の疲れで疲労が溜まっているのでしょうね。

「ギャンはギャンに決まっているだろう! ハーカカセルナ怒らせるな!」

 私たちが分かるように説明してもらおうとお願いしたけれど、老人は逆ギレしてこの場から離れて行く。

「仕方がない。こうなった虱潰しで探して行くしかないだろうな」

「いえ、問題ありません。先ほどの説明である程度の場所を特定しましたので、きっと辿り着けるはずです。私に付いて来てください」

「さすが妹だ。今ので場所を特定するなんて。因みに俺は何も分からなかったさ」

 老人の言葉の意味が分かったのか、ルビーが先頭に立って歩き始める。

「みんなルビーに付いて行くぞ。この場に立ち止まっていても仕方がない」

 ルーナ学園長の指示に従い、私たちは彼女に付いて行く。

 すると、視界の奥に大きい木が見え始める。

 本当にお爺さんが言っていた木に辿り着いたわ。

「大きい木ですね。では、ここから、右に向かいましょう」

 大きい木を目印に、今度は右の道へと歩いて行く。すると、今度は石で作られた人型の像が見え始めた。

「これってなんでしょうか? 小型のゴーレム?」

 人型の像に近付くと、アイリンが興味深そうに像を見る。

「これが、先ほどあの老人が言っていたお地蔵様です。正しくは地蔵菩薩じぞうぼさつと言って、命を育む力を持つ大地のように、大きな慈悲の心で苦悩する人々を包み込み、救ってくれる存在です。お地蔵様には多くの効果を持つと言われていますが、一言で言えば厄災などから守ってくれる存在でしょうか?」

 お地蔵様に付いて語ると、ルビーは懐から和の国の名物料理であるお饅頭をお地蔵様の前に置き、手を合わせる。

「何をしているの?」

 彼女の行動が、気になり、どうしてこのようなことをしているのかを訊ねる。

「お供物です。私たちが無事に目的地に辿り着けるように導いてもらえるようにお願いをしているところです」

「そうか、ならワタシたちも旅の無事を祈ろう。みんなもするように」

 ルビーと同じ行動を取るようにルーナ学園長から言われ、私たちは両手を合わせえお地蔵様に祈りを捧げる。

 どうか、シャカールが無事でありますように。そして彼が五体満足で私たちと再会できますように。

 お地蔵様に祈りを捧げ、閉じていた瞼を開ける。

「それでは、向かいましょうか」

 お地蔵様が向けている指の方向へと歩き始め、しばらくすると、他の家よりも大きい建物が視界に入ってくる。

 これがお爺さんの言っていた民宿なのだろうか。

「ルビー、この建物が民宿か?」

「おそらくそうでしょうね。まずはこの家の人に聞いてみましょう」

 ルーナ学園長が先頭に立つと、扉を数回叩く。

「すまない。誰かいるか?」

「はーい、只今向かいます。しばらくお待ちください」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...