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第十三章
第十一話 一方その頃タマモたちは
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~タマモ視点~
シャカールが巨大なモンスターを引き止めてくれたお陰でどうにか大陸に辿り着くことはできた。
けれど、船の損傷が激しく、予定していた波止場に辿り着くことが不可能となり、急遽一番近い波止場に止まり、そこで降ろされることになった。
「それでは、ワタシたちは近くの町へと向かい、宿を取る。会場に向かう馬車があった場合、早朝に発つから、そのつもりで居てくれ」
ルーナ学園長の指揮により、私たちは近くの町へと向かうことになった。
歩くこと約1時間、目指していた町に辿り着くことができた。
町はそれほど寂れている訳ではないけれど、賑わっているとも言えないような感じの人数しか外には出歩いておらず、長閑な田舎町と言った印象をもつ。
「まずは宿屋を探すか。思っていたよりも人が少ないから心配ではあるが、多分どこかに民宿的なものはあるだろう」
私たちをこれ以上心配させないためか、ルーナ学園長が前向きな言葉で話してくる。
「すまない。ちょっとお聞きしたいのだが?」
「何かい? お前さんたち見かけん顔だな? 観光か?」
「まぁ、そんなところだ」
ちょうど近くを通りかかった男性老人にルーナ学園長が声をかけ、宿屋がないか訊ねてくれた。観光ではないけれど、話をややこしくしないために、その設定にしているのだろう。
「宿屋を探しているのだが、どこかにあるか?」
「宿屋? ああ民宿のことかい? それなら、この道をギャーン行くだろう。そしたら今度は大きい木があるケン右にギャーン行って、突き当たりをお地蔵さんが指差している方にギャーン行けば民宿があるケン」
ギャーン? 何それこの国の方言? 全く意味が分からないのだけど?
「すまない。どうやら聞き逃しがあったようだ。悪いが、もう一度教えてくれないか」
「仕方がないなぁ。宿屋? ああ民宿のことかい? それなら――」
「いや、そこから始めないで良いから」
もう一度お願いすると、老人はRPGに出て来る村人のように、丁寧に最初から一言一句間違えることなく最初から話そうとし、ルーナ学園長がツッコミを入れる。
「この道をギャーン行くだろう。そしたら今度は大きい木があるケン右にギャーン行って、突き当たりをお地蔵さんが指差している方にギャーン行けば民宿があるケン」
「すまない。もう一度言ってくれないか?」
「だから! ギャン行ってギャン行ってギャンタイ!」
ダメだわこれ、完全に省略されて意味が全然分からない。
「ギャンってなんですか! モビルスーツのことを行っているのですか! おじいさん、わたしたちにも通用する言葉で教えてくださいよ!」
埒が明かないことに痺れを切らしたのか、アイリンまでもが声を荒げ始める。旅の疲れで疲労が溜まっているのでしょうね。
「ギャンはギャンに決まっているだろう! ハーカカセルナ!」
私たちが分かるように説明してもらおうとお願いしたけれど、老人は逆ギレしてこの場から離れて行く。
「仕方がない。こうなった虱潰しで探して行くしかないだろうな」
「いえ、問題ありません。先ほどの説明である程度の場所を特定しましたので、きっと辿り着けるはずです。私に付いて来てください」
「さすが妹だ。今ので場所を特定するなんて。因みに俺は何も分からなかったさ」
老人の言葉の意味が分かったのか、ルビーが先頭に立って歩き始める。
「みんなルビーに付いて行くぞ。この場に立ち止まっていても仕方がない」
ルーナ学園長の指示に従い、私たちは彼女に付いて行く。
すると、視界の奥に大きい木が見え始める。
本当にお爺さんが言っていた木に辿り着いたわ。
「大きい木ですね。では、ここから、右に向かいましょう」
大きい木を目印に、今度は右の道へと歩いて行く。すると、今度は石で作られた人型の像が見え始めた。
「これってなんでしょうか? 小型のゴーレム?」
人型の像に近付くと、アイリンが興味深そうに像を見る。
「これが、先ほどあの老人が言っていたお地蔵様です。正しくは地蔵菩薩と言って、命を育む力を持つ大地のように、大きな慈悲の心で苦悩する人々を包み込み、救ってくれる存在です。お地蔵様には多くの効果を持つと言われていますが、一言で言えば厄災などから守ってくれる存在でしょうか?」
お地蔵様に付いて語ると、ルビーは懐から和の国の名物料理であるお饅頭をお地蔵様の前に置き、手を合わせる。
「何をしているの?」
彼女の行動が、気になり、どうしてこのようなことをしているのかを訊ねる。
「お供物です。私たちが無事に目的地に辿り着けるように導いてもらえるようにお願いをしているところです」
「そうか、ならワタシたちも旅の無事を祈ろう。みんなもするように」
ルビーと同じ行動を取るようにルーナ学園長から言われ、私たちは両手を合わせえお地蔵様に祈りを捧げる。
どうか、シャカールが無事でありますように。そして彼が五体満足で私たちと再会できますように。
お地蔵様に祈りを捧げ、閉じていた瞼を開ける。
「それでは、向かいましょうか」
お地蔵様が向けている指の方向へと歩き始め、しばらくすると、他の家よりも大きい建物が視界に入ってくる。
これがお爺さんの言っていた民宿なのだろうか。
「ルビー、この建物が民宿か?」
「おそらくそうでしょうね。まずはこの家の人に聞いてみましょう」
ルーナ学園長が先頭に立つと、扉を数回叩く。
「すまない。誰かいるか?」
「はーい、只今向かいます。しばらくお待ちください」
シャカールが巨大なモンスターを引き止めてくれたお陰でどうにか大陸に辿り着くことはできた。
けれど、船の損傷が激しく、予定していた波止場に辿り着くことが不可能となり、急遽一番近い波止場に止まり、そこで降ろされることになった。
「それでは、ワタシたちは近くの町へと向かい、宿を取る。会場に向かう馬車があった場合、早朝に発つから、そのつもりで居てくれ」
ルーナ学園長の指揮により、私たちは近くの町へと向かうことになった。
歩くこと約1時間、目指していた町に辿り着くことができた。
町はそれほど寂れている訳ではないけれど、賑わっているとも言えないような感じの人数しか外には出歩いておらず、長閑な田舎町と言った印象をもつ。
「まずは宿屋を探すか。思っていたよりも人が少ないから心配ではあるが、多分どこかに民宿的なものはあるだろう」
私たちをこれ以上心配させないためか、ルーナ学園長が前向きな言葉で話してくる。
「すまない。ちょっとお聞きしたいのだが?」
「何かい? お前さんたち見かけん顔だな? 観光か?」
「まぁ、そんなところだ」
ちょうど近くを通りかかった男性老人にルーナ学園長が声をかけ、宿屋がないか訊ねてくれた。観光ではないけれど、話をややこしくしないために、その設定にしているのだろう。
「宿屋を探しているのだが、どこかにあるか?」
「宿屋? ああ民宿のことかい? それなら、この道をギャーン行くだろう。そしたら今度は大きい木があるケン右にギャーン行って、突き当たりをお地蔵さんが指差している方にギャーン行けば民宿があるケン」
ギャーン? 何それこの国の方言? 全く意味が分からないのだけど?
「すまない。どうやら聞き逃しがあったようだ。悪いが、もう一度教えてくれないか」
「仕方がないなぁ。宿屋? ああ民宿のことかい? それなら――」
「いや、そこから始めないで良いから」
もう一度お願いすると、老人はRPGに出て来る村人のように、丁寧に最初から一言一句間違えることなく最初から話そうとし、ルーナ学園長がツッコミを入れる。
「この道をギャーン行くだろう。そしたら今度は大きい木があるケン右にギャーン行って、突き当たりをお地蔵さんが指差している方にギャーン行けば民宿があるケン」
「すまない。もう一度言ってくれないか?」
「だから! ギャン行ってギャン行ってギャンタイ!」
ダメだわこれ、完全に省略されて意味が全然分からない。
「ギャンってなんですか! モビルスーツのことを行っているのですか! おじいさん、わたしたちにも通用する言葉で教えてくださいよ!」
埒が明かないことに痺れを切らしたのか、アイリンまでもが声を荒げ始める。旅の疲れで疲労が溜まっているのでしょうね。
「ギャンはギャンに決まっているだろう! ハーカカセルナ!」
私たちが分かるように説明してもらおうとお願いしたけれど、老人は逆ギレしてこの場から離れて行く。
「仕方がない。こうなった虱潰しで探して行くしかないだろうな」
「いえ、問題ありません。先ほどの説明である程度の場所を特定しましたので、きっと辿り着けるはずです。私に付いて来てください」
「さすが妹だ。今ので場所を特定するなんて。因みに俺は何も分からなかったさ」
老人の言葉の意味が分かったのか、ルビーが先頭に立って歩き始める。
「みんなルビーに付いて行くぞ。この場に立ち止まっていても仕方がない」
ルーナ学園長の指示に従い、私たちは彼女に付いて行く。
すると、視界の奥に大きい木が見え始める。
本当にお爺さんが言っていた木に辿り着いたわ。
「大きい木ですね。では、ここから、右に向かいましょう」
大きい木を目印に、今度は右の道へと歩いて行く。すると、今度は石で作られた人型の像が見え始めた。
「これってなんでしょうか? 小型のゴーレム?」
人型の像に近付くと、アイリンが興味深そうに像を見る。
「これが、先ほどあの老人が言っていたお地蔵様です。正しくは地蔵菩薩と言って、命を育む力を持つ大地のように、大きな慈悲の心で苦悩する人々を包み込み、救ってくれる存在です。お地蔵様には多くの効果を持つと言われていますが、一言で言えば厄災などから守ってくれる存在でしょうか?」
お地蔵様に付いて語ると、ルビーは懐から和の国の名物料理であるお饅頭をお地蔵様の前に置き、手を合わせる。
「何をしているの?」
彼女の行動が、気になり、どうしてこのようなことをしているのかを訊ねる。
「お供物です。私たちが無事に目的地に辿り着けるように導いてもらえるようにお願いをしているところです」
「そうか、ならワタシたちも旅の無事を祈ろう。みんなもするように」
ルビーと同じ行動を取るようにルーナ学園長から言われ、私たちは両手を合わせえお地蔵様に祈りを捧げる。
どうか、シャカールが無事でありますように。そして彼が五体満足で私たちと再会できますように。
お地蔵様に祈りを捧げ、閉じていた瞼を開ける。
「それでは、向かいましょうか」
お地蔵様が向けている指の方向へと歩き始め、しばらくすると、他の家よりも大きい建物が視界に入ってくる。
これがお爺さんの言っていた民宿なのだろうか。
「ルビー、この建物が民宿か?」
「おそらくそうでしょうね。まずはこの家の人に聞いてみましょう」
ルーナ学園長が先頭に立つと、扉を数回叩く。
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「はーい、只今向かいます。しばらくお待ちください」
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