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番外編 希望の地
娼婦ロア
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トーバの街にはたくさんの娼館があった。
アレンは領事として赴任すると、馴染の娼婦ロアの居場所を聞きに行った、
マクレンジ―帝国に帰る時に、娼館の主に金を渡し、ロアを放免するように手配していたからだ。
もう残ってはいないだろうと思いながらも、行先を確認しようとしていた。
だが、そこで見たものは、客を取らされようとしているロアだった。
「主様、お願いです、この子を産ませてください」
ロアの声に、アレンは柱の陰に隠れる。
「子供だと!
病や月のものだと休んでいたのは噓だったのだな!
娼婦に赤子はご法度だ。客を取ればすぐに流れる、客が待っているんだ!」
「嫌です!
アレン様のお子を失くすぐらいなら、死んだ方がましです」
館の主が手を挙げ、ロアを殴ろうとしたのが目に入って、アレンは飛び出した。
ガン!
殴り飛ばされたのは主の方だ。
ロアを背に守り、アレンは娼館の主に向き合った。
「僕は一か月前、ロアの身請け金と街での生活の支度金を渡したはずだ。
それが、何故今も客を取らされているのだ?」
まさかアレンが戻って来るとは思っていなかった娼館主は、殴られた頬を押さえながら驚いてアレンを見ている。
「いえ、旦那、なんのことか」
何とか絞り出した声は、ごまかそうとしているのが感じ取れる。
「色街には色街の掟があるのです。
身請け金といったって、それだけじゃダメなんですよ。
外国の方はわからないでしょうが」
「ここはマクレンジ―帝国の統括地である。
ましてや、僕はこの地の総領事として赴任してきた」
総領事と聞いて、娼館主は小さな悲鳴をあげて後ずさりしている。
こんな若造がありえない、と顔に書いてある。
これほどの大金を用意する身分の者ならば、娼婦のことなど公にしたくないはずだ。もうここに来ないのならバレるはずもない、と着服した。
ロアは美人で客はいくらでもつく、身請けなどなかったほうがいい。
「後で、管轄の文官と兵を向かわせる。
それまでに、身支度をしておくのだな。
僕は、ロアの身請け書も支度金の領収書も持っている。
言い逃れはできまい」
アレンは総領事の特権で、娼館を潰すと言っていることを娼館主は悟った。
「旦那様、ロアはすぐにお渡しします。
それから、上納金も収めますよ、満足出来る額をおっしゃってください」
「前の総領事と同じと思っているなら大間違いだ。
僕はマクレンジー帝国の伯爵家の嫡男で、王太子殿下の側近である」
賄賂でどうにかなると思っている娼館主を鼻で笑う。
隠し持っていた短剣を取り出すと、アレンに斬りかかろうとして、手首を掴まれる。
店の用心棒だろう男達がアレンに飛びかかるが、軍の過酷な訓練を受けたアレンになぎ倒された。
「大丈夫か?ロア」
アレンが後ろのロアを振り返ると、お腹を抑えてうずくまっていた。
慌てて、ロアを抱き上げ馬車に乗り込んだ。
向かうはトーバ総領事館。
馬車の中で落ち着いて、ロアを見ると頬には殴られた跡。肩も赤くなっていて、お腹をかばい転ぶときに手をつかなかったとわかる。
聞こえてきたのは、ロアがお腹の子供を産みたいという声。
僕の子供。
タッセル王国とマクレンジー帝国の子供。
ロアは娼婦という身で、守る力は何もない。
それでも、宿る命を守ろうと我が命をかけていた。
美しいと思った。
アレンは意識のないロアの手を握りしめ、愛しいと感じていた。
アレンは領事として赴任すると、馴染の娼婦ロアの居場所を聞きに行った、
マクレンジ―帝国に帰る時に、娼館の主に金を渡し、ロアを放免するように手配していたからだ。
もう残ってはいないだろうと思いながらも、行先を確認しようとしていた。
だが、そこで見たものは、客を取らされようとしているロアだった。
「主様、お願いです、この子を産ませてください」
ロアの声に、アレンは柱の陰に隠れる。
「子供だと!
病や月のものだと休んでいたのは噓だったのだな!
娼婦に赤子はご法度だ。客を取ればすぐに流れる、客が待っているんだ!」
「嫌です!
アレン様のお子を失くすぐらいなら、死んだ方がましです」
館の主が手を挙げ、ロアを殴ろうとしたのが目に入って、アレンは飛び出した。
ガン!
殴り飛ばされたのは主の方だ。
ロアを背に守り、アレンは娼館の主に向き合った。
「僕は一か月前、ロアの身請け金と街での生活の支度金を渡したはずだ。
それが、何故今も客を取らされているのだ?」
まさかアレンが戻って来るとは思っていなかった娼館主は、殴られた頬を押さえながら驚いてアレンを見ている。
「いえ、旦那、なんのことか」
何とか絞り出した声は、ごまかそうとしているのが感じ取れる。
「色街には色街の掟があるのです。
身請け金といったって、それだけじゃダメなんですよ。
外国の方はわからないでしょうが」
「ここはマクレンジ―帝国の統括地である。
ましてや、僕はこの地の総領事として赴任してきた」
総領事と聞いて、娼館主は小さな悲鳴をあげて後ずさりしている。
こんな若造がありえない、と顔に書いてある。
これほどの大金を用意する身分の者ならば、娼婦のことなど公にしたくないはずだ。もうここに来ないのならバレるはずもない、と着服した。
ロアは美人で客はいくらでもつく、身請けなどなかったほうがいい。
「後で、管轄の文官と兵を向かわせる。
それまでに、身支度をしておくのだな。
僕は、ロアの身請け書も支度金の領収書も持っている。
言い逃れはできまい」
アレンは総領事の特権で、娼館を潰すと言っていることを娼館主は悟った。
「旦那様、ロアはすぐにお渡しします。
それから、上納金も収めますよ、満足出来る額をおっしゃってください」
「前の総領事と同じと思っているなら大間違いだ。
僕はマクレンジー帝国の伯爵家の嫡男で、王太子殿下の側近である」
賄賂でどうにかなると思っている娼館主を鼻で笑う。
隠し持っていた短剣を取り出すと、アレンに斬りかかろうとして、手首を掴まれる。
店の用心棒だろう男達がアレンに飛びかかるが、軍の過酷な訓練を受けたアレンになぎ倒された。
「大丈夫か?ロア」
アレンが後ろのロアを振り返ると、お腹を抑えてうずくまっていた。
慌てて、ロアを抱き上げ馬車に乗り込んだ。
向かうはトーバ総領事館。
馬車の中で落ち着いて、ロアを見ると頬には殴られた跡。肩も赤くなっていて、お腹をかばい転ぶときに手をつかなかったとわかる。
聞こえてきたのは、ロアがお腹の子供を産みたいという声。
僕の子供。
タッセル王国とマクレンジー帝国の子供。
ロアは娼婦という身で、守る力は何もない。
それでも、宿る命を守ろうと我が命をかけていた。
美しいと思った。
アレンは意識のないロアの手を握りしめ、愛しいと感じていた。
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