ルイとレオ~幼い夫が最強になるまでの歳月~

芽吹鹿

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07さいきょうを目指して②

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 いつからか。
 ルイの自室はレオポルドのお気に入りの場所のひとつとなっている。彼は辛い勉強や剣術指南から逃げ出すときの避難先としてここを選んでいる。ちなみに今日は嫌いな家庭教師の授業から逃げ出してきたという。
 退屈な日中には、お菓子を求めるように訪ねてくることもあった。

「ちぇ……ルイが俺に授業をしてくれたらいいんだよ」

 駄々をこねるように声を上ずらせる。やんちゃで気ままなレオポルドが机に座り続けているところをルイは想像できない。彼ならむしろ、外で自由に見聞を広めてくるほうが性に合っている気がする。

「ねぇ。俺に勉強をおしえてよ。ルイはたくさん文字がよめるって聞いたぞ?」

「私なんてまだまだでございます。シオンに来てまだ3カ月で教えろだなんて、そんな無茶なこと言わないでください」

 がっくりと少年は肩を落とした。
 王家筋である長男のマルクス王子がよく学ぶ真面目人間だとしたら、次男のロイドは何でもできる秀才。そして目の前の三男レオポルドは天才肌。王宮ではそのように噂されているが、ルイはどうも腑に落ちなかった。

「ううぅ。もっと俺が本をよめるようになるしかないのか……」

 レオポルドはご覧のとおり、苦しみながらも懸命に力をつけようともがいている。地道にではあるが課題とひとりで向き合い、努力している。
 少なくともこの部屋では、自分のすべきことに取り組む愚直な努力家に見える。

 彼には夢があるらしく、「いつか兄上たちを越える!!」と意気揚々と先日も語っていた。どうやら、彼は自分磨きや勉強が本質的に嫌いなわけではなさそうだ。

「ルイ。そろそろ外で遊びたい」

「そしたらお兄様たちのようにはなれませんよ?」

「なんだと」

「マルクス様も、ロイド様も凄まじい努力をなさっているのをご存知でしょう?」

 このように発破をかけると少年は燃え上がる。兄たちに追いつけ追い越せと、勝手にやる気で満ちあふれてくれる。

「そうだ!!ぜったいに俺は兄上たちより天才になってやる!!それに力もさいきょうになるんだ。あと兄上たちよりめちゃくちゃデカくなってやるぞ」

 椅子の上に立ち、王子は勢いよく言い放つ。決め台詞だけは一丁前である。
 まだまだ単純な子ども、と言ってしまえばそれまでだが、素直で可愛らしいなとルイは思った。

 彼がどれだけ成長するかルイは心底楽しみだった。「頑張ってください」と言おうとしたけど途中でやめた。それだと他人行儀な台詞な気がしたからだ。これでもレオポルドとルイは夫婦という関係になっているわけで、彼の成長を支えるのは妻の務めであろう。

「…………」

「俺が一番すごいってところをいつかみせてやる!!楽しみにしておけ」

 そう言いきってから、レオポルドは山積みになった課題とにらめっこを再開した。わかる問題、わからない問題、彼の表情を見ているだけで必死さが丸わかりだった。
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