ルイとレオ~幼い夫が最強になるまでの歳月~

芽吹鹿

文字の大きさ
22 / 81

22模範になりたい①

しおりを挟む
 王との謁見を済ませたレオポルドが、足早にルイのもとに顔を出してくる。まだ時間はそんなに経っていない。さっき送り出したと思ったら、彼はすぐに戻ってきた。

「意外とお早かったのですね」

 ルイは言葉では穏やかに振る舞っているが、レオポルドとの対面にはまだ慣れていない。自身の身長が、王子の胸元程度にしか達していないことに驚かされる。どこまで成長する気だろう。これで17歳は嘘だろうと、ルイは部屋の卓をぶん投げたい衝動に駆られた。

 嬉しさが半分、焦りが半分こみ上げてくるが構わない。しばし感情を抑える。

「ルイに会いたくて、急いできたからな」

「そんなにですか。では、さっきの続きの話をいたしましょうか」

「いや、ルイのことをもっと教えてくれ。知りたいんだ」

 レオポルドはことあるごとに「ルイが知りたい」と手紙に書きつけてくる。だからこれは今に始まったことではない。おやおや、と後ろの侍女たちが盛り上がるのを、ルイはごほんと咳払いで制した。
 自分のことを語る。つまり、自分の内情をさらすというわけで、空っぽな自分をさらすことを意味している。

(故郷にもこの国にも関心がない……残っているのはこの王子と、ただ長い時間だけだ)

 そのようなルイの本性が、レオポルドにバレてしまっては困る。大人のプライドというか、年上だからこその譲れないものがある。

「レオポルド様の努力に比べたら、私なんて。語るに値しない人間です」

「そんなこと。自分を卑下し過ぎじゃないか?」

 王子とは年齢差があっても夫婦である。だから年下だとしても正直に話すべきなのか。それを語ってレオポルドが受け入れてくれるか、ガッカリするかは正直わからない。でも隠し事をひそめることが悪影響になるのなら、正直に自白したほうが良いのではないか。



「あのレオポルド様、私たちってどういう関係なのでしょうか?」

「なんだ?ルイ、それはどういう意図の質問だろうか」

「いやえっと。レオポルド様は私のことをどう思っているのかな……って。え、レオポルド様?」

 ルイの目の前で、レオポルドが顔を真っ赤に染め上げる。見るからに熱を発していた。

「それを、俺は言わないといけないか?」

 周囲を燃やしてしまいそうなほど火力が高そうな、激しい血色。苦し気な表情でいる。
 相手がどんな気持ちで接してきているのか、軽く訊ねようとしただけ。自分に憧れを抱いているならやめてほしい、あまり自分に構わなくてもいいとルイは伝えたかった。でもレオポルドの反応は常軌を逸していた。

「嫌なことを訊いてしまったのなら、ごめんなさい。別にいいですから。つい気になってしまっただけで」

 そんなに嫌なら言わないでと、ルイは慌てて訂正した。

 再会したばかりなのになんだか気まずくなり、ルイは先走ってしまったことを強く悔やんだ。血を分けた弟のように、昔は考えていることが共鳴できていたはずなのに。

 今は相手のことがわからず、まだ手紙の文面上のほうがわかりやすい。じれったいとルイは感じ、わずかに目を伏せた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない

てんつぶ
BL
 連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。  その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。  弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。  むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。  だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。  人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

【完結】おじさんはΩである

藤吉とわ
BL
隠れ執着嫉妬激強年下α×αと誤診を受けていたおじさんΩ 門村雄大(かどむらゆうだい)34歳。とある朝母親から「小学生の頃バース検査をした病院があんたと連絡を取りたがっている」という電話を貰う。 何の用件か分からぬまま、折り返しの連絡をしてみると「至急お知らせしたいことがある。自宅に伺いたい」と言われ、招いたところ三人の男がやってきて部屋の中で突然土下座をされた。よくよく話を聞けば23年前のバース検査で告知ミスをしていたと告げられる。 今更Ωと言われても――と戸惑うものの、αだと思い込んでいた期間も自分のバース性にしっくり来ていなかった雄大は悩みながらも正しいバース性を受け入れていく。 治療のため、まずはΩ性の発情期であるヒートを起こさなければならず、謝罪に来た三人の男の内の一人・研修医でαの戸賀井 圭(とがいけい)と同居を開始することにーー。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

処理中です...