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21距離感
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後ろでかしこまる侍女の顔ぶれも変わらない。皆同様に年齢を重ねているが、美しさに磨きがかかったようである。
「レオポルド様も素敵になられました」
「ほんとか?」
「ふふっ、はい。もちろん」
「学問と武の道を修めてきたからな。兄上たちを超えるのはもうすぐさ」
「また言ってる」
無限のように繰り返してきた台詞だ。ルイも承知しているように笑いながら首を縦に振ってくる。昔は「さいきょう」と叫びながら、王宮中を走り回っていた。それをルイはここでも思い出していたのだろう。
「6年も長く顔を出せなかったこと、本当にすまなかった」
「いいのです。連絡もいただいていたのですし、謝ることなんてありません」
レオポルドはルイのあらゆる魅力から、危うさを感じていた。
その色香で、別の男が惹きつけられる恐れがあるかもしれない。無意識に人を惑わしたりしないだろうか。兄や貴族、その他の人間と過剰に付き合っていたりしていないだろうか。
せめて年に1回は帰ってくるべきだった。もっと自分がそばにいるべきだったと悔やむ。これはルイを守るという意味で最も重要なことであった。
「私のことはどうぞお気になさらず、思うがままになさってください」
「ルイ……」
「お菓子、持ってきますね。少し待っててください」
そう言うとルイは部屋の奥へ。レオポルドの視線をうまく躱すようにして遠ざかっていった。
焼き菓子とお茶をもらって、レオポルドはちょうどよい時間までルイと語りあっていた。日が沈み、燭台の火が増え始めたころに従者がやってくる。よい雰囲気であった二人の時間に割り行ってきた。
「どうかしたか」
「はっ失礼いたします。レオポルド殿下、国王陛下からお呼びがかかっております」
呼ばれた側は苦虫を噛み潰したような顔をした。王はたとえ無関心でも、息子の帰りを形だけでも祝うつもりなのだろう。明らかにつまらない用事だった。そういう面倒な気遣いはやめてほしいと、レオポルドは真剣に思った。
「父上の呼び出しなら逆らえないか。いちおう、行ってくるよ。ルイ」
「はい。きっと国王陛下とも再会を喜びあえますよ」
それはどうかな、とレオポルドは首を傾げながら、扉に手を掛けていった。
「また終わったら、続きを話そうな」
「ええ、ぜひまた」
レオポルドはルイの部屋を出てからも色々と考えた。
夫婦なのにこのような軽い言葉を交えるだけでよかったのか。手を握ったり、抱きしめ合ったりしてもよかった気がするのだが。
勇気が出せなかったといえばそれまでだが、なんだかルイとの間に予期しなかった心のすき間を感じた。
「前みたいにレオと呼んでくれないのか」
どうにもならないことが勝手に口をついてしまった。
互いの心がまだ離れたままだ。そのことだけはレオポルドも痛いほど身で受け取っていた。
ーーーーー
ルイ側のカメラに移ります
「レオポルド様も素敵になられました」
「ほんとか?」
「ふふっ、はい。もちろん」
「学問と武の道を修めてきたからな。兄上たちを超えるのはもうすぐさ」
「また言ってる」
無限のように繰り返してきた台詞だ。ルイも承知しているように笑いながら首を縦に振ってくる。昔は「さいきょう」と叫びながら、王宮中を走り回っていた。それをルイはここでも思い出していたのだろう。
「6年も長く顔を出せなかったこと、本当にすまなかった」
「いいのです。連絡もいただいていたのですし、謝ることなんてありません」
レオポルドはルイのあらゆる魅力から、危うさを感じていた。
その色香で、別の男が惹きつけられる恐れがあるかもしれない。無意識に人を惑わしたりしないだろうか。兄や貴族、その他の人間と過剰に付き合っていたりしていないだろうか。
せめて年に1回は帰ってくるべきだった。もっと自分がそばにいるべきだったと悔やむ。これはルイを守るという意味で最も重要なことであった。
「私のことはどうぞお気になさらず、思うがままになさってください」
「ルイ……」
「お菓子、持ってきますね。少し待っててください」
そう言うとルイは部屋の奥へ。レオポルドの視線をうまく躱すようにして遠ざかっていった。
焼き菓子とお茶をもらって、レオポルドはちょうどよい時間までルイと語りあっていた。日が沈み、燭台の火が増え始めたころに従者がやってくる。よい雰囲気であった二人の時間に割り行ってきた。
「どうかしたか」
「はっ失礼いたします。レオポルド殿下、国王陛下からお呼びがかかっております」
呼ばれた側は苦虫を噛み潰したような顔をした。王はたとえ無関心でも、息子の帰りを形だけでも祝うつもりなのだろう。明らかにつまらない用事だった。そういう面倒な気遣いはやめてほしいと、レオポルドは真剣に思った。
「父上の呼び出しなら逆らえないか。いちおう、行ってくるよ。ルイ」
「はい。きっと国王陛下とも再会を喜びあえますよ」
それはどうかな、とレオポルドは首を傾げながら、扉に手を掛けていった。
「また終わったら、続きを話そうな」
「ええ、ぜひまた」
レオポルドはルイの部屋を出てからも色々と考えた。
夫婦なのにこのような軽い言葉を交えるだけでよかったのか。手を握ったり、抱きしめ合ったりしてもよかった気がするのだが。
勇気が出せなかったといえばそれまでだが、なんだかルイとの間に予期しなかった心のすき間を感じた。
「前みたいにレオと呼んでくれないのか」
どうにもならないことが勝手に口をついてしまった。
互いの心がまだ離れたままだ。そのことだけはレオポルドも痛いほど身で受け取っていた。
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ルイ側のカメラに移ります
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