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1章 追放
09 上位種の影
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3匹のグレイウルフが同時に飛びかかってきた。
「来るわよっ!」
フレアが叫び、俺の横で剣を構える。
手は震えているのに、目だけは真っ直ぐ前を見据えていた。
1匹目がフレアに向かって牙を剥く。
「はぁっ!」
火花が散り、フレアは押し込まれながらも必死に踏ん張る。
その瞬間、別の1匹が俺に飛びかかってきた。
牙が迫る。
でも――見える。
(右から来る。避けて、斬る)
考えるより先に身体が動いた。
剣が軌道を描き、
グレイウルフの首元を捉える。
血を散らしながら、魔物は地面に崩れ落ちた。
「……っ、すごい……!」
フレアが驚きの声を漏らす。
だが、残りの1匹がすぐに彼女へ飛びかかる。
「危ない!」
反射的にフレアの前へ飛び出し、
迫る顎を剣で受け止めた。
ガキィンッ!
衝撃が腕に走る。
だが、次の動きが“見える”。
(下がって、斬る)
その通りに剣を滑らせると、
グレイウルフは血を吹き出しながら崩れ落ちた。
静寂。
フレアは肩で息をしながら、俺を見つめた。
「……アレックス。
さっきより……動きが、明らかに違う……」
「まだなんとなくだけど……少しだけ……この力の使い方が分かった気がするんだ」
フレアはしばらく黙っていたが、
やがて小さく息を吐いた。
「……助かったわ。ありがとう」
その声は震えていたが、確かに笑っていた。
群れを倒し、一息ついたそのとき――
森の奥から、重い足音が響いた。
ドン……ドン……ドン……
空気が震える。
さっきまでのグレイウルフとは桁違いの“圧”が迫ってくる。
フレアの顔が一瞬で青ざめた。
「……嘘……でしょ……
あれは……ファングウルフ……?」
木々の間から、巨大な影が姿を現した。
鋭い牙。
分厚い筋肉。
グレイウルフより一回り以上大きい体躯。
Cランク相当の上位種――ファングウルフ。
フレアは震える声で呟く。
「……ダメ……勝てない……
今の私たちじゃ相手にすらならない……!」
俺も剣を構えたまま動けずにいた。
ファングウルフは一歩も近づいてこない。
ただ、静かにこちらを見据えている。
その視線だけで、背筋が凍るようだった。
しばらくの沈黙のあと、
ファングウルフはゆっくりと背を向け、森の奥へ消えていった。
フレアは崩れ落ちるように座り込む。
「……私たち……助かった……の……?」
「見逃してくれたのかもな」
「結果はどうあれ……こんなの……奇跡よ……」
フレアは震える手で額を押さえた。
「……依頼分の薬草は摘んだし……もう帰りましょう。
流石に今日は……疲れたわ」
俺は頷き、フレアを支えながら森を後にした。
---
✦帰路
夕日が差し込み、森の影が長く伸びている。
フレアはまだ少し震えていたが、
歩く足取りはしっかりしていた。
「……一時どうなるかと思ったけど……生きて帰れて、よかったわね」
「ああ、そうだな」
「ギルドへの報告は……明日でいいわ。
今日は休まないと、倒れちゃう」
俺は静かに頷いた。
(……さっきの感覚。
見えた瞬間、どう動けばいいか分かった……
あれは一体……)
胸の奥に残るざわつきは、
帰り道の静けさの中でも消えなかった。
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「来るわよっ!」
フレアが叫び、俺の横で剣を構える。
手は震えているのに、目だけは真っ直ぐ前を見据えていた。
1匹目がフレアに向かって牙を剥く。
「はぁっ!」
火花が散り、フレアは押し込まれながらも必死に踏ん張る。
その瞬間、別の1匹が俺に飛びかかってきた。
牙が迫る。
でも――見える。
(右から来る。避けて、斬る)
考えるより先に身体が動いた。
剣が軌道を描き、
グレイウルフの首元を捉える。
血を散らしながら、魔物は地面に崩れ落ちた。
「……っ、すごい……!」
フレアが驚きの声を漏らす。
だが、残りの1匹がすぐに彼女へ飛びかかる。
「危ない!」
反射的にフレアの前へ飛び出し、
迫る顎を剣で受け止めた。
ガキィンッ!
衝撃が腕に走る。
だが、次の動きが“見える”。
(下がって、斬る)
その通りに剣を滑らせると、
グレイウルフは血を吹き出しながら崩れ落ちた。
静寂。
フレアは肩で息をしながら、俺を見つめた。
「……アレックス。
さっきより……動きが、明らかに違う……」
「まだなんとなくだけど……少しだけ……この力の使い方が分かった気がするんだ」
フレアはしばらく黙っていたが、
やがて小さく息を吐いた。
「……助かったわ。ありがとう」
その声は震えていたが、確かに笑っていた。
群れを倒し、一息ついたそのとき――
森の奥から、重い足音が響いた。
ドン……ドン……ドン……
空気が震える。
さっきまでのグレイウルフとは桁違いの“圧”が迫ってくる。
フレアの顔が一瞬で青ざめた。
「……嘘……でしょ……
あれは……ファングウルフ……?」
木々の間から、巨大な影が姿を現した。
鋭い牙。
分厚い筋肉。
グレイウルフより一回り以上大きい体躯。
Cランク相当の上位種――ファングウルフ。
フレアは震える声で呟く。
「……ダメ……勝てない……
今の私たちじゃ相手にすらならない……!」
俺も剣を構えたまま動けずにいた。
ファングウルフは一歩も近づいてこない。
ただ、静かにこちらを見据えている。
その視線だけで、背筋が凍るようだった。
しばらくの沈黙のあと、
ファングウルフはゆっくりと背を向け、森の奥へ消えていった。
フレアは崩れ落ちるように座り込む。
「……私たち……助かった……の……?」
「見逃してくれたのかもな」
「結果はどうあれ……こんなの……奇跡よ……」
フレアは震える手で額を押さえた。
「……依頼分の薬草は摘んだし……もう帰りましょう。
流石に今日は……疲れたわ」
俺は頷き、フレアを支えながら森を後にした。
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✦帰路
夕日が差し込み、森の影が長く伸びている。
フレアはまだ少し震えていたが、
歩く足取りはしっかりしていた。
「……一時どうなるかと思ったけど……生きて帰れて、よかったわね」
「ああ、そうだな」
「ギルドへの報告は……明日でいいわ。
今日は休まないと、倒れちゃう」
俺は静かに頷いた。
(……さっきの感覚。
見えた瞬間、どう動けばいいか分かった……
あれは一体……)
胸の奥に残るざわつきは、
帰り道の静けさの中でも消えなかった。
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