きっと、君は知らない

mahiro

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先輩曰くあと1日で矢がある場所に辿り着くらしい。
らしいというのも先輩しか場所が分からないから、俺たちはついていくことしか出来ないし、言うことを信じるしかないのだ。


「グレイはさ、ケイトと仲悪かったのか?」


今日はもう夜も暮れていて、これ以上進むのは危険とのことで野宿の準備に取りかかっていると、アレシアが小声で問いかけてきた。
その視線の先には宿を出てからずっと先輩の側を離れないケイトの姿があった。


「まー、そうだな。嫌われていたと思う」


「そっか、それじゃあ今の状況辛いでしょ」


「そうかも。アレシアも辛くないのか?」


「俺は大丈夫!ありがとな!」


本当に大丈夫なのか不安だが、これ以上踏み込むこともできず、肩を組んできたアレシアに自分の身体を寄せた。
すると反対側からムシューニの式神がすり寄ってきて、そのまま寝る体勢に入った。
それを見た俺とアレシアはそのまま寝る体勢に入り、視界に先輩とケイトも並ぶようにして寝ている姿が目に入ったが、見てみぬふりをして目蓋を閉じた。

その日、久しぶりに夢を見た。
ケイトに退部を言い渡されたときのものだ。
有無を言わさず、決定事項だと言い切ったケイトの瞳は冷めていて、言うことはそれだけだと言って去っていた背中を俺は見つめることしか出来なかった。


「…………泣かないで」


誰の声か分からない声が聞こえ目を覚ますと至近距離にアレシアの顔と式神の顔が見えて慌てて離れた。
びっくりした、と声を出さずに心の中で呟くと見張り当番だったフランさんが俺に気付いて声をかけてくれた。


「おはよう。眠れたか?」


「おはようございます。お陰さまで眠れました」


「なら良かった。今日は一気に進むから体力温存しておかないと辛いぞ」


そういうフランさんだって温存しておかないといけないのに、一晩眠れず温存出来なかっただろうに。
フランさんこそ大丈夫か、と声をかけようとしたが先輩の起きろ、さっさと進むぞ!という声に書き消され、急げ急げと急かす先輩に促され、俺たちは予定時間よりもだいぶ早く出発をし、ついに目的地に辿り着いた……らしい。
そこは何もないだだっ広い空間で、奥には海が見えていて景色は絶景といえるような場所だった。
俺たちにはそんな風に見えているが、先輩には別の風景に見えているのだろうか。
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