きっと、君は知らない

mahiro

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何度試しても掴めないようで、先輩は見えている矢を見ながら悩んでいる。
俺たちも何か良い方法がないかと考え始めたとき、俺の隣にいる式神を見ていたがフランさんが視線を俺に向けた。


「グレイ、試しにムシューニに触れてみてくれないか」


「え?俺ですか?」


「あぁ」


何故だか分からないがやってみる価値はあるだろう。
俺は式神と共に先輩に近付き、試しに肩に手を置いてみた。


「ムシューニさん、あの」


「ん?ん?!」


先輩が振り返ろうとした瞬間、先輩は慌てて振り返るのを止め空中を掴んでいた手に視線を向け驚いていた。
何事かと訊ねようと口を開けたと同時に先輩の掴めた、という声が聞こえた。


「何でだ?何で掴めたんだ?」


「え?掴めたんですか?本当に?」


「あぁ。ここにある」


ここと言って何かを掴んでいるような手をこちらに向けた。
よく分からないが掴めたのなら良いかと手を外しフランさんを見れば、フランさんも驚いているようだった。


「試練に関わる人物も必要なのかと思ったんだが、どうやら当たったみたいだな」


「みたいだな。俺だけじゃ駄目だったのか。ありがとな、グレイ、フラン」


「いえ、俺はただムシューニさんの肩に手を置いただけですし」


「お礼を言われるようなことは何もしてない」


そんなこんなで矢をひとつ回収することが出来た。
何処に保管するかと悩んでいると時間経過と共に矢が自然と先輩の中に溶け込んだらしい。


「えーと、まずは1本回収な。次はキヨさんのところか。では、案内をお願いできるか?」


「分かった」


記憶を戻してからか、以前よりも口数が減ったように思う。
元のキヨさんを知っている訳じゃないから大した差が分からないけど、なんとなくそう思った。


「とりあえず山降りて西に進むぞ」


言われるがままに進んで行きながら、俺の側を離れないアレシアの様子が気になった。
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