その日君は笑った

mahiro

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作りたい気持ちはある

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泣くし笑うし悩むし怒るしといったように感情を子供のように露にする2人を見ていて、実は羨ましいと思っていたりする。
そんな風に全てをぶつけ合えるような人と恋愛がしてみたいけど、俺はあいつらのように顔面偏差値が高くないし秀でるものがあるわけでもない。
だからといってあまりにも低いわけでもなく、所謂平均的だ。
そんな凡人があの2人のような恋愛が出来る気がしない。


「おぉ、隼の愛妻弁当は今日も凄いな!」


大学の空き教室で3人で昼食を取ろうとし、隼が弁当を広げた。
そこには彩り豊かなおかずが沢山入っていた。
宝生は羨ましいと言っているが、この弁当を隼の彼氏が作るときというのは、決まって隼の機嫌を取るときだったりする。


「そーだろうそーだろう!あのお人が作ってくださった!」


豪快に笑っているが、お前は毎回弁当で機嫌取りされてるようにしか俺には見えないんだがそれで良いのかと問いたい。
問いたいが、機嫌を損ねそうなので俺は大人しくコンビニのパンにかぶりついた。


「隼の彼氏は料理が上手くて良いな」


「宝生の彼氏は作らないのか?」


「奴は焦がす天才よ。包丁も奴に持たせたら警察を呼ぶレベルだしな、専ら俺が作っている」


この弁当もな、と宝生が見せる弁当もなかなか旨そうだ。
その中で1人コンビニのパンの俺って。


「孝介は恋人作らないの?」


「何だ藪から棒に」


隼の唐突な質問はいつものことだが、どうした。
俺に恋人が居ないのなんて今更だろう。


「ほら、恋人作ればそんな毎日コンビニのパンとかじゃなくなるかもなぁって」


「恋人など作らなくても俺が作ってやろうか?」


「いや、宝生に作ってもらうと彼氏さんに怒られそうだから止めておく」


一口食べようものなら後ろから撃たれそうだし。
そんなことで息の根止められたくない。


「奴は心が狭いからな、俺と一緒で!」


「ラブラブで良いよなぁ、宝生たち」


「隼の所だってそうじゃないか」


それから2人は恋人自慢が始まり、お前らは恋話好きな女子か、と心の中でツッコミを入れておいた。
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