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しおりを挟む「玲衣くん、大丈夫かい?」
「おはようございます、池崎さん」
昨日より少しだけ眼差しが明るくなった玲衣に、池崎はホッとした。
「その様子を見ると、哲哉さまはお優しかったようだね」
「……はい」
頬を染める玲衣が、可愛い。
「じゃあ、シャワーを浴びて。僕は、朝食の準備を整えるよ」
「ありがとうございます」
部屋に入る玲衣の背中を見ながら、池崎は目を細めた。
「本当に。君は哲哉さまの心に、風を通しに来てくれたんだね」
この分だと、哲哉も上機嫌なのだろう。
季節は梅雨に入ったが、今日は中休みのようだ。
雲の切れ間から、まぶしい光が差している。
あの光が、哲哉の、玲衣の心の中まで届くようにと、池崎は祈った。
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