恋は終わると愛になる ~富豪オレ様アルファは素直無欲なオメガに惹かれ、恋をし、愛を知る~

大波小波

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1話 海で

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 哲哉と玲衣は、二人そろってよく外へ出かけるようになっていた。
 山に、川。
 動物園に、水族館。
 そして、海。

「玲衣、カニがいるぞ」
「あ、本当だ」
 砂浜で拾い上げたカニを、哲哉は手のひらに乗せた。
「可愛いですね」
「ああ、そうだな」

 何気ない、日常。
 些細な、日々。
 だが、たまらなく愛おしい、一日。
 そんな幸せを、哲哉は玲衣から感じ取るようになっていた。

「哲哉さま、カニに挟まれてますよ!?」
「うん。少し痛い」
 だが哲哉は、カニを乱暴に投げ捨てたりしなかった。
 取るに足りない、小さな命。
 それでも、玲衣の前で邪険にすることは、ためらわれた。
 哲哉がかがみ、波に手のひらを打たせると、カニは静かに離れて行った。

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